新築マンションは「裸を想像しながら見るべし」 (16回)

先日、またしても不意にわが事務所に昔の仕事仲間が集まり、
おのずとダラダラ酒盛りが始まってしまいました。
私はもう、不動産広告の世界から半分足を洗っているので、
低ストレスな日々を送っておりますが、昔の仲間はまだまだドップリ。
まあ、何ともお気の毒です。

その席で「髪の毛、染めているの?」と聞かれてしまいました。
いんエ、髪の毛なんかテレビ出演の日以外は梳くこともございません。
ましてや染めようなどとは考えもしません。
そいでもって、散髪屋さんがあきれるほど「髪が多い」のです。
白髪はチラ・・・・くらいでしょうか。
ノーテンキでナルな性格がそのままアタマにでています。

実は、今年度は次女が通う小学校で「PTAお父さん会」に入っています。
この間から2回の会合、1回の飲み会に出てまいりました。
「私は最年長だろうな」と思いつつ参加したら、
4歳年上の先輩がおいででした。
ただ、中心は30代から40代前半まで。
それでも・・・頭髪が私の様にほぼ青年のママ、という方はかなりの少数派。
減少や変色などで、原形が想像できない方が多数派でした。

ほとんどがサラリーマンなので「ストレス多いんだろうな」と、やや同情。
まあ、それでもボランティアのPTAサポートをなさろう、
という方々だけあって大半の方が善人の顔相。
不動産屋や広告屋さんの平均よりも善人度は高いと感じました。

さっきも、取材に訪れたライターさんと話していたのですが、
広告屋や不動産屋というのは「誰かを騙す」のが仕事の一部ですから、
自然と人相も悪くなっていきます。
まあ、善人のままでいることもできますが、そういう人は出世しません。

不動産広告というのも、広告業界では「鬼っ子」のような存在。
それをやらずに食えるのなら、誰も手を出さないでしょう。
時々「不動産広告が大好き」と公言する人がいますが、
そういう方は得てして「それしかできない」部類の人々。
まあ、10年もやっていれば、他はできなくなりますけど(笑)。

例えば、広告の世界にはいろいろな「賞」があります。
それなりに権威のあるものから、くだらないものまで多種多様。
でも、不動産広告がメジャーな賞を取ることは、皆無とはいいませんが超レア。
つまり、広告マンにとって不動産広告をやる魅力は、
「数字づくり」以外にほとんどない、といっても過言ではありません。

それだけ嫌われている理由は、やはり特殊性でしょうね。
旅行や流通の広告は「面倒臭さ」で嫌われています。
でも、不動産広告が嫌われる最大の理由は、
その「面倒臭さ」プラス不動産業界ならではの特質。
無理難題は山のようにふっかけられるし、時間はタイト。
そして、ほとんど正論は通じません。というか「論」がない世界。
それでいて、横柄で傲慢な連中がウジャウジャしています。
「アタマのあったかい」方がやたらと多いのも、あの業界ならでは。
もちろん、全部が全部とはいいませんよ。
でも、どう見ても他の業界に比べれば、
かなりはっきりとそういう特質が認められます。

そこから生まれてくる広告ですから、
業界独特の空気を見事に体現しています。

1 話が大げさ
2 本質に関係ない内容が多い
3 誤解を招きやすい(故意的)
4 デメリットを悪質にごまかす
5 ほとんど絶叫
6 洒落っ気が皆無

例えば、こういうコピーを恥ずかしげもなく打ち出します。

RAINBOW village構想
今までにない●●●●の街、はじまる。

これを関西風に突っ込むと

「そんなもん、同じ街が二つもあったら困るわい。当たり前のことやないかえ。そもそもRAINBOW villageて何やねん。大阪のなんばに『虹のまち』ちゅーのがあるけど、何を勝手にパクっとんねん。だいたい「village」てゆうときながら『街』とはどーいうこっちゃ。国語も英語もおかしいで。もう1回、小学校から勉強し直してこいや」

とまあ、こうなります。

まさか、こんな幼稚な広告に騙される方が多いとは思えません。
でも、こういう広告をするマンションに人が集まると、
「こういう表現がいいのか。よし、では次もこの路線で」と
即物的にお考えになる方が多いのが、アノ業界。
場所が変わって、モノが変わって、ターゲットが変わっても
「ああいうのを作ってください」となります。

まあ、普通にモノを考える方には向いていません。
不動産広告の制作というお仕事は。
といいながら、20数年もやってきた私は、
このようにすっかり捻くれた性格になりました。

「それは、元からやろ!」と、自分で突っ込んでおきます。

実際、ああいう広告でも人が集まったりします。
広告に騙されるのではなく、価格的な魅力でやってくるのです。
それが証拠に、市場価格よりも低い価格設定のマンションは、
ロクに広告など打たなくても、短期間で完売しています。
折り込みチラシや、ポストへの投函を一度もやらなくても
完売してしまうマンションだってあるのです。

つまり、本当に「おいしい物件」は、ド派手な広告などしません。
こそっとネットに情報を流し、あっという間に完売しています。
鈍い人は、そういった存在に気付かないでしょう。
だから、新築マンションの購入を検討されている方は、
自宅に入ってくる広告を待っているだけでは
ロクでもない物件にしか出会えない可能性が高いのです。

そして、毎週毎週チラシが折り込まれたり、
ポストに投函されている物件は、紛れもなく「不人気物件」です。
つまり、価格とモノのバランスが悪い物件。
ハッキリ言ってしまえばモノの割には高くて売れない物件です。

しかし、だからといってそういうマンションのモデルルーム出かけると
営業マンが揉み手で迎え、低姿勢な態度で
「買ってください」と頼んでくるとは限りません。
さらに、売れ残ったからといって、必ず値引きをしてくれるとも限りません。
アノ業界の人々は、未だに「売ってやる」という
時代錯誤も甚だしい感覚を持っているケースが多いもの。
下手をすると「会社丸ごと」そういうゴーマン体質だったりします。

実に困ったものです。
でも、みなさんはまず「広告に騙されない」ようにしてください。
明らかに違和感のあるイメージビジュアルや、
さっと読んだだけでは何を言いたいのか分からないコピーは、
「見なかった」ことにして、情報だけを吸い取ってください。
あまりにもド派手なイメージや、タレントが出ている場合は、
売主側にとって「隠したい」デメリットがあるのでは、と勘繰ってください。

新築マンションは、広告だけ見るといかにも華やかなイメージを抱きます。
でも、何年か住んで中古で売りに出すときには、
誰もそんな広告なんて出してくれません。
いってみれば、裸の状態で流通市場に出ていかねばならないのです。
この「裸の状態」の時に見えるものが、その物件の「本当の姿」です。
新築マンションは派手派手しく着飾り、
厚化粧をした「よそ行き」の姿。
その衣装やメーキャップの役割を担っているのが「広告」です。

以上 公開講座16 「マンションの広告を信じるな」でした。


2011/5/27 19:13 Comments (2)

2 Comments

たしかにWは下品だな。
最終的にWWWWWWWWWWWWWWWWWWWWWWとかになる。

(笑)が良いみたいですね。

榊さん応援してます(笑)

2011/05/28 07:49 | by ちょっとまって~

木神様へ苦言申し上げます。

このHPをみていたところ文末に無駄なwを使用し(笑)と読ませる箇所がありました。
wを(笑)と表現するのは私の知る限り2ちゃんねる(NHKではない)で多用されています。
2ちゃんねるは一般的に知られるものではなく
本来、便所の壁の落書きとして認識した者のみに閲覧されるべきものです。
ある程度高名な榊様のHPで使用されていいものではありません。

何が言いたいかと申しますと
私の知人でリタイアを向かえ悠々自適な生活をした初老の方がいらっしゃいます。
その方は2ちゃんねるなどという過激な便所の落書きを知ることなく定年を迎えました。
今まで持つ事の出来なかった自由な時間をPCの前でやすらかに過ごされていました。
しかしながらテレビやインターネット上で2ちゃんねるの表現や2ちゃんねるという情報を知ってしまい
今ではPCの稼働時間=2ちゃんねる閲覧時間=起きている時間-食事の時間となってしまいました。
それもこれも榊様のような方がwなどという低俗な表現をするからに違いません!
ええ、そうです。
その方は私のおとう(ry
お後がヨロシイヨウデ・・・・。

2011/05/28 00:26 | by からあげ

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