長期修繕計画は、管理会社の長期収益計画 公開講座21

新宿余丁町コーポラティブ計画の説明会をしていてよく出る質問。
「管理費はどれくらいですか?」
コーポラティブハウスが分譲マンションと違う点は、
管理費などは予め決まってはいないところ。
前にも書きましたが、これは区分所有者の総意で決めること。
つまり、マンションのオーナーは区分所有者ひとり一人。
管理会社をどこにするのか、管理費をいくらにするのか、
長期修繕計画をどうするのか、などということは、
基本的に区分所有者が決めることです。

多くのマンション購入希望者は、そこのところを理解していません。
多くのマンション区分所有者(買った人)も、いま一つ分かっていません。
管理費や長期修繕計画などは、管理会社が決めると思っている所があります。
確かに、新築分譲マンションの場合はこれらのことは決まっています。
売買契約と同時に、管理委託契約書にもハンコを押すことになっています。
これは、普通の分譲マンションの場合は避けられません。
つまり、分譲マンションの場合、購入者は管理費を自分で決められないし、
管理会社も選べないのです。
この習慣が、ほぼ当たり前の現実になっています。
でも、原則論から言えば当たり前ではありません。

私のコーポラティブハウスの場合は、これを原則に戻します。
管理費は、どれだけ管理サービスを受けるかによって異なります。
余丁町計画の場合、管理員さんに毎日来てもらうのか、週3日なのか。
どこまでの清掃業務を委託するのか、などによって費用が異なります。
それは、参加者が話し合って決めればよいことです。
ペットについても同様。
反対者が多ければ、原則禁止にすることさえあり得ます。

分譲マンションの場合は、管理規約は初めから決まっています。
最近、ペット可のマンションが増えたのですが、
困っているのはペットの毛にアレルギー反応を起こす方。
そういった子供を持つ親は、本当に困っています。
新しくマンションが買えないのです。

「なぜ、こんなに管理費が高いのですか?」
先日の相談で、こういう質問がありました。
もってこられた物件資料を見ると、まあまあの割高。
ただし、共用設備その他に管理費が高くなる要因が見当たりません。
なのに、なぜか標準の1.4倍くらい。
逆に、修繕積立金が割安な設定。

こういうのには、カラクリがあります。
まず、管理費と修繕積立金の合計額を安く見せたい、
という分譲会社の思惑があったのでしょう。
そこで、子会社の管理会社に圧力を掛けます。
「月額負担を小さくしろ」
でも、管理会社は自分たちの利益を削りたくありません。
そこで、修繕積立金を少なく設定します。

ところが、「長期修繕計画」なるものを別途策定しておきます。
そして、修繕積立金は5年後10年後15年後という節目節目で
30%ずつくらい値上げすることを管理規約に盛り込むのです。
購入者は、売買契約時に管理規約にも同意のハンコを付きますが
そんな細かな所にまで目を通しません。

入居して4年ほどたつと「修繕積立金値上げのお知らせ」などという
通知が管理会社からシレっと送られてきて、初めて気が付く方がほとんど。
それで、15年もたつと当初月額25000円くらいだった
管理費と修繕積立金の合計が45000円くらいになっていたりします。
そうやって積み立てた修繕積立金はどうなるのか?

20年目くらいに「大規模修繕」という工事が行われ、
ガッポリと管理会社にもっていかれます。
大規模修繕でお金がかかるのは、外壁工事などです。
ところが、外壁を修繕する必要があるかどうかは、
建物の劣化具合によって異なります。
しっかりと建てられたマンションなら、30年くらいは
外壁工事などは不要な場合もあります。
それでも、「長期修繕計画に従って」管理会社は
ベラボーな費用が掛かる大規模修繕を提案してくるのです。

お分かりでしょうか?
多くのマンションで定められている「長期修繕計画」は、
そのマンションのメンテナンスを第一に考えられたものではありません。
「長期修繕計画」とは多くの場合、
管理会社にとっての「長期収益計画」なのです。

管理組合がおとなしい場合、管理会社にいいようにボラれます。
「長期収益計画」の対象にされてしまうのです。
みなさんが払うことになる(払っている)管理費や修繕積立金は、
きちんとした使途に使われているかどうか、しっかりチェックしてください。
民主主義社会では、市民が税金の用途をチェックすることが前提。
でないと、政治家や役人が私利私欲に使うどこかの国の様になります。

マンション管理も同じ。
区分所有者は、自分のマンションの管理費や修繕積立金が
どのように使われているのか、しっかり監視しましょう。
難しいことはありません。
管理組合の総会に出席し、決議資料を熟読するのが第一歩。
そこで「おかしい」と思うことはその場で質問したり、
自分の周りの専門家に聞いてみましょう。

はっきり言いましょう。
管理会社を性善説で眺めてはいけません。
おとなしくしていると、いいようにカモってくる
抜け目のない不動産屋の仲間が管理会社です。
常に監視の目を光らせましょう。

そして、ダメだと思ったら毅然と改善を要求すべきです。
それでも改める態度を見せなければ、管理会社を変更すべきです。
管理会社の変更はさほど難しくありません。
管理組合の総会の「普通決議」で可能です。
つまり、出席者の過半数の賛成。
これは、多くの委任状を握る理事長の決断と等しい場合もあります。
理事長になってしまえば管理会社を変えられるのです。

この管理会社の変更については、また改めて詳しく書くつもりです。

以上  公開講座21
「長期修繕計画は、管理会社の長期収益計 」


2011/9/21 20:13 Comments (0)

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