麗らかな春の陽気が続いていますね。
なんと、私のセミナーは満員御礼となってしまいました。
お申込み下さったみなさま、ありがとうございます。
6月に別の場所、別の主催者のセミナーにゲスト講師で
招かれそうなので、今回「申し込み損ねた」と言う方は
そちらの方にご参加ください。
詳細が決まりましたらお知らせいたします。
今日は、とあるビジネス誌の広告部門から取材を受けました。
マンションの広告特集の巻頭インタビューだそうです。
「これ、本当に私でいいの?」という世界。
まあ、デベロッパーにとって差し障りのないところだけ
かいつまんで記事にするのでしょうね。
さて、今日の話題です。引き続き脱線(笑)。
お題は「雇用」です。
日本人の大多数は、誰かに雇われています。
つまりは、サラリーマン。
雇用形態は様々で、正社員、契約社員、派遣社員、パート・アルバイト。
日本の雇用形態は正社員を頂点とするピラミッドカーストですね。
同じ仕事をしていても、正社員と派遣では給料が倍ほど
違うケースがごく一般的です。
で、正社員にはどうやったらなれるかと言うと、
新卒時に採用してもらうのが一番スムーズです。
日本人は住宅でも新築が大好きですが、社員も新卒が一番。
中途採用社員は中古住宅みたいに「穢れた」存在的に見られがち。
でもまあ、中途でも正社員になれれば何とか。
しかし、このヘンなカースト制度は正社員以外にとって嫌なもの。
同じ職場にいても、正社員はすごく安定していますが、
派遣はいつ切られるか分からないし、契約社員は更新時にビクつきます。
パートやアルバイトは、それこそ吹けば飛ぶような存在。
ここで何度か書いているように、私は25年前に広告代理店の
契約社員を辞めて以来、誰かに雇われたことはありません。
20年弱ほどは、人を雇う側の人間でありました。
正社員、契約社員、アルバイト・・・派遣はいませんでした。
まあ、契約社員やアルバイトというのは雇用側にとっては
至極都合のいい形態です。いつでも切れますから。
アルバイトで雇い入れて、正社員にしたコピーライターがいます。
最初の2年ほどは、ほとんど使い物にならなかったのに、
ある時急に目覚めて今では第一線のディレクターになっています。
まあ、そんなことも時にはありますね。
しかし、契約社員や派遣社員、あるいはアルバイトというものは、
あくまでも「非正規」な存在にすべきで、主役ではないはず。
雇用の基本は正社員であるべきではないでしょうか。
しかし、今国会に提出されている労働者派遣法が改悪されると、
この国の雇用形態の主流が派遣社員になってしまう可能性があります。
はっきり言うと、「労働基準法骨抜き法案」あるいは
「労働者派遣完全自由化法案」と位置付けるべき内容です。
この法案の陰には、人材派遣会社大手の影がちらほら見えています。
「正社員なんて必要ない」と嘯く方が会長の企業です。
その会社にとって、この法案はまたとないビジネスチャンス。
法案が施行されると、10年で正社員が半減するかもしれません。
資本主義というのは、基本的に競争社会です。
能力にあった仕事を行い、ふさわしい報酬を得られるシステムが健全。
しかし、競争のルールを資本家有利に作りすぎると、
企業社会の上位者のみが富を得る歪な構造を招いてしまいます。
私は、この国に「派遣社員」というシステムが浸透したことと、
出生率が下がったことには、何らかの因果関係があると思います。
雇用や収入が安定しなければ、結婚もできず、出産を決意できません。
弱者を搾り取るシステムよりも、強者が不当に富を集めない仕組みを
この社会の理想とすべきではないでしょうか。
悲しいことに、人間には個別に大きな能力差があります。
同じ企業に採用されたA君がB君の10倍の業績を上げている、
といったような例は珍しくもないでしょう。
その場合、B君は完全なダメ人間であると判断すべきでしょうか?
私はB君にも人並みの結果を出せる職場や職種があるのではないか、
という考え方をする人間です。
その企業にふさわしい部署がなければ、他社に移ればいいのです。
ところが、現実はちょっと違っているかもしれません。
たまさか正社員に採用されたB君が、派遣社員のA君の上司だったら
A君はB君の半分以下の給料でB君にはできない業績を上げる・・・
今のシステムでは、こういう光景は珍しくなさそうですね。
みなさんのまわりにも、そういうことはありませんか?
「派遣社員」という制度は、正社員を「解雇しにくい」という
今の日本の雇用制度のスキを突いて社会にのさばってきた
じつにイビツな雇用形態である、と私は思います。
いってみれば「必要悪」みたいなものです。
傍から見ていると、実に不健全です。
何よりも、二重に搾取されている派遣社員の身分が悲しすぎます。
私に言わせれば「解雇しにくい」という条件を緩和すればいいのです。
例えば「雇用期間に応じた退職手当の支給により無条件で解雇可能」。
退職手当は雇用年数×1か月。10年雇用していれば10か月分の基本給。
そうすれば、雇用保険と合わせて2年半の求職活動が可能です。
派遣社員というシステムも歪なら、「正社員を守り抜く」という
今の労働基準法も、どこか胡散臭いサヨク的な色合いを帯びています。
基準法によると、残業は1.25倍の手当てを支払うことになっています。
ところが、現実にはサービス残業と言う名の奴隷労働が横行。
こういう歪な労働慣行は即座に改めるべきですね。
例えば、労働者にサービス残業を強制した経営者は
刑事罰を適用すべきですね。
なぜなら、奴隷労働を禁じた憲法に違反していますから。
その代わり、1.25倍という非現実的な規定は緩めるべきでしょう。
サービス残業というのは労働者側の甘えの部分もあると思います。
気合を入れてやれば8時間で終わる仕事をダラダラやった結果、
10時間かかったけれど、残業代は請求しない、みたいな。
みなさんも少なからず経験があるのではないでしょうか。
私は短いサラリーマン時代、他人が8時間でやる仕事を
4時間か5時間で片づけて、残りは遊んでいる人間でした。
すっかり上司からは問題児扱いされていましたけど(笑)。
私は、あのダラダラ仕事が大嫌いな人間です。
まあしかし、こういうことを私がここで言ってみたところで
国会の審議には寸分の影響も与えないでしょう。
ただのボヤキみたいなものですね。
でも、みなさんの雇用がこの法案改悪によって20歩くらい
怪しくなる事実にはしっかり気づいてください。
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まろたんさん、こんばんは。
まったくおっしゃる通りですね。
連合の胡散臭さは、民主党のインチキ臭さに「連なって」いますね。
しかし、よくもあんな派遣法改悪ができるものです。
安倍君は多分」、なーんも実態を分っていません。
お友達の竹中君に「よろしく」と言われてやっているのでしょう。
派遣会社で二重に搾取されている哀れな労働者、
ブラックで搾取されつくしている若者たち、
いずれも「自力更生」しか救済策はありません。
奴隷国家ニッポンですね。
くれぐれも自分や家族は奴隷側に回りたくないと思います。
この問題、またいずれ取り上げます。
それでは、ごきげんよう。 榊淳司
2015/05/10 19:26 | by Sakaki Atsushi榊さま。
暑くも寒くもなく、草木は緑したたると。
まっこと良い季節、丸もうけの季節ですね。(笑)
さて、派遣問題の追録を、いま少し。
今、日本の雇用されている労働者総数は、ざっくり「5千万人」。
うち、いわゆる「非正規雇用」は、ざっくり「2千万人」。
つまり、4割・非正規。
非正規・2千万人のうちの大部分は「パート・アルバイト」雇用で、7割を占める。
問題の「派遣」は、250-300万人で、非正規の15%程度。
他は「契約社員」や「嘱託」ですね。
で「派遣」は「250-300万人」非正規の「15%程度」ですが、
他の非正規と比べて、何が問題なのか?
ズバリ「間接雇用」という雇用形態に、問題の根源があります。
他の非正規は、すべて「直接雇用」です。
「間接雇用」=派遣を使う企業には「雇用関係」がない。
これは、使う側にとって「都合がよい」カタチです。
「雇用の責任」なし、ですから。
「都合よく人員調整」できますし、更に、派遣に対して、
「ケガと弁当は、自分もち」ということですから。(笑)
笑ってるばあいでは、ない。ですね。
この点は、他の非正規にはない「都合よさ」ですから、
パート・アルバイトよりも「時給単価」は多少高くても、
「十分ペイし、場合によってはオツリが来る」ということ。
もちろん「人件費」は「総額」で「正規=正社員」より激安。
月給以外の「ボーナス」「社会保険料負担」「通勤手当」
更には「退職金」に至る「正社員の人件費総額」と比べたら、
「激・激・激安」で、笑いが止まらん、アゴが外れると。(笑)
その結果、当然ですが、企業の利益に特大プラスですわ。
一度やったら、アジをしめて、止められないでしょうね。
そして「間接雇用」ですから、実質的に「手配師」たる派遣会社は、
「中抜き=ピンハネ」で、汗をかくことなく、濡れ手にアワ。
おお、コレは「近代以前」、中世の社会絵図では、有馬温泉。
榊さまも触れられておりますが「自ら立ち上がる」しかない。
それこそが「自分の身は、自分で守る」方法のひとつです。
今、低辺・下流のタミ草ほど「分断されて」います。
ズタズタに分断され「孤立させられて」います。
「分断して、統治する」が、
いつの時代も有効な統治の要諦ですから、特に低層タミ草は、
ズタズタに分断されて、統治者のイイようにされています。
そしてこの先、更に押し込まれ、吸い取られてゆくこと、必定です。
最後にヒトコト「連合」の「不義」について言いたい。
労働者の権利を守るべき「連合」に、まったく「正義なし」。
「連合」は守るどころか、労働者を売り渡すのと引き替えに、
自分たちは「命乞い」して「労働貴族」の椅子に、ふんぞり返っている。
「労働貴族」と言われますが、精神は「奴隷根性」です。
「不義」で仲間を裏切り「命乞い」する「奴隷根性」そのものです。
政治家・官僚・財界人・派遣会社経営者たちの強欲は、
言うまでもありませんが、
「連合」幹部の「不義・裏切り」は「A級戦犯」と言いたい。
長くなりました。
もっと言いたいことはありますが、ちーと、くたびれました。
ま、このへんで。
ごきげんよう。
2015/05/10 11:04 | by まろたんまろたんさん、こんばんは。
いや、お詳しい。
考えてみれば、そっち系統のプロでいらっしゃいますものね。
先日の資本主義の成れの果てではありません、
今の世の中しっかりと「奴隷制度」が生きています。
江戸時代の農民の方がまだ自由ではないかと想像するほど。
ブラック企業で働く人なんか、まるで自分を大事にしていません。
派遣社員制度は、あのクソみたいな日本国憲法が
守ろうとした「人間の尊厳」をものの見事に踏みにじっています。
かといって、それを唯々諾々と受け容れている
今の惰弱な大衆日本人も私は嫌いです。
陰で文句を言っているだけではこの国は変わりません。
文句があるなら、政治活動をすべきです。
奴隷になるのが嫌なら、自由になるスキルを持つべきです。
奴隷でしかないくせに憲法で守ってくれる権利を、
重箱の箸をつつくみたいに主張するなよ、と言いたくなります。
しかし、そんな骨のあるやつはごく少数。
大半はブチブチ文句を言いながら奴隷を続けます。
ローマ時代の奴隷に財産権があったように、
今の日本の奴隷には私有財産権も、自らを「奴隷的身分」から
開放する権利もあります。多少の努力は必要ですが。
しかし、金持ちどもが金儲けをしやすくしようとする
あの労働者派遣法改悪には虫唾が走ります。
ちとヒートアップしました。
それではまた、ごきげんよう。 榊淳司
榊さま。
> 派遣社員だらけになる、ニッポン。
ええ、もうバカだらけになってます。(笑)
ま、それはそうとして。
そもそも、今、世間で言われている、労働者「派遣」は、
昔は、労働者「供給」と呼ばれていたそうです。
戦後、1947年「職安法」が制定され、これが全面禁止となった。
では、戦前はと言いますと、職安法のような取り締まる法律がなくて、
法ナシ=無法状態で「人夫供給業」なる業者が、ヤリタイホーダイだっだそうです。
で、戦後「職安法」が定められ「全面禁止=全禁」になったそうですわ。
「人夫・人足」とは、時代がかった「昭和ことば」ですね。(笑)
ところが、その後の世情の変動によって、労働者供給を合法化したいとなった。
そこで、職安法で禁止する労働者供給の例外として、1985年、
労働者派遣法を制定し「13の職種」限定で公認した。
これが、戦後の合法的な「派遣」の始まりです。
それから今日までの三〇年間、4-5年ごと、5回、改定されました。
どのように変わったのか?
概略を言いますと「派遣対象職種を拡大」するための改定です。
つまり、当初の「原則禁止」で、例外・13職種公認から、
「原則自由」で、特定職種を「例外禁止」にするように変えた。
これを「ポジティブ方式」から「ネガティブ方式」に、と呼んでいるようです。
そして今、国会に提出されている「改定派遣法」では、
「全ての職種」を派遣対象として合法化するためのものです。
どんな職種でも、派遣として認められる。
いったい、どんな「労働市場」になってしまうのでしょう?
更に今回の改定で、派遣労働の「期間の制限」が「実質的」になくなります。
企業が望めば「ず~っと」派遣労働者に仕事をさせることが出来る!
つまり、1985年・派遣法を制定して13職種限定で、
例外的に合法とした派遣労働を、今回の改定により、
全ての職種で合法とし、かつ、派遣期間の制限なし、とする。
将棋で言えば「王手!」「詰み!」ですね。
経営者団体が三〇年をかけた、念願の派遣労働の「完了形」でしょうか?
今国会で「このまま」改定されたら、この先、
労働市場は、どのように変わるでしょうか?
つまり、経営者たちは、雇用を「どのように変えて来る」でしょうか?
ほぼ間違いなく、経営者たちは、
「正規社員を派遣に」かつ「無期限に」と変えて来るのでは?
でなければ、
「敢えて、わざわざ改定などしないでしょう」に、ね。
榊さまの、ご指摘の通り、
わがニッポン「派遣社員だらけになる」可能性や大、でしょう。
特に、賃金の高い割に、パフォーマンスの低い「中高年」正社員。
経営者たちは「いじりたく」なるのでは、有馬温泉?
おお、ミゼラブル!
ごきげんよう。
2015/05/09 17:52 | by まろたんRSS feed for comments on this post.