ある広告代理店の営業マンは、私立中学の同級生同士で結婚。
そのせいかどうか・・・誰もが知るカカア殿下家庭。
近頃はダンナの収入も減って、浮気がバレて、
ますますカアチャンに頭が上がらない・・・(笑)。
まあ、そんなことはどうでもいいのですが、
彼は5,6年前にとうとう念願のマイホームを購入しました。
それまでに、何度も申込をしてはキャンセルの繰り返しで
最後にやっとこさ「決めた」という感じでした。
購入直後に私と二人で飲んでいるときに、
彼がポツリと漏らしたことを今でも覚えています。
「とうとう買うと決めた時、女房にいわれたんだよ。『これでやっとあなたの家族とご先祖様に顔向けができる。よかったわ』って・・・」
へえー・・・と言う感じがしました。
彼は確か43歳くらいだったと思います。
今の若い方はそんな風に考えないかもしれませんが、
その歳より年配の方は「家を買ってこそ一人前」みたいな
発想や価値観が染み付いているように思います。
結婚して、子どももできて、いい歳になったのに
「借家住まい」というのはカッコワルイ、という感じです。
そういう空気に乗って、日本の住宅産業は
全体的に見てかなり楽な商売をしてきました。
ハウスメーカーは家を売り、デベロッパーはマンションを売り、
リクルートや広告代理店はそういった情報をビジネスの種にしました。
大まかに言って、今でもそういった構図は基本的に変わりません。
つまり、住宅の供給側はビジネススキームが旧態依然。
でも、需要側のマインドはかなり変化しつつあります。
まず、「家を買って一人前」という価値観が薄れています。
その昔・・・我々の親の世代は
「家を買って」損をする人はほぼいませんでした。
今は違います。
2000年から2003年頃にマイホームを買った方は
多分ほとんど損をしていませんが、2005年以降に買った方は
人によっては「目も当てられない」状態になっています。
「家を買う」ということは人生において大きな
金銭的リスクを背負うことだということに、
多くの人々が気付き始めたのです。
次に、経済的な理由があります。
この「失われた20年」の間、日本人の個人所得はほとんど増えていません。
むしろ、直近の10年間だけみれば減少してさえします。
であるにもかかわらず、住宅産業が供給する新築の「家」の値段は、
多少の変動はあるにしろ、あまり下がっているとはいえません。
つまり、人々の家を買う購買力は相対的に下がっています。
それと、これは毎回同じことを書いているのですが、
人口ピラミッドを見れば分かるとおり、
新たに家を買うボリューム層である「30代」の人口が
10年前に比べればかなりの割合で減少しています。
その結果どういうことが起こっているのか?
まず、まだ「割高」水準にある新築のマンションは
市場でダブつき気味です。
売れた、売れたと騒いでいるのは、地域的な需給状況や、
価格的な魅力で市場に受け入れられた一部のマンション。
全体的には「販売が好調」とはいえない状態でした。
そして、この震災。
現時点では、ほとんどの販売現場が失速しています。
さらに、もっと大きな問題が中古市場。
様々なデータがありますが、中古市場も全体的には供給過剰。
市場価格もダラダラと下がり続けています。
何といっても、日本全体で800万戸の住宅が余っているのです。
だから、今よりもさらに下がってもちっともおかしくありません。
さらにさらに、最近その動きが顕著になってきたのが賃貸市場。
マンションの賃料がダラダラと下がり続けています。
この震災で失われた家屋は20万戸以上と想定されます。
だから、800万戸の空き家が780万戸になるかというと・・・
そんなことになるはずはありませんが、たとえそうなっても780万戸。
そして、日本の住宅産業は毎年せっせと新築住宅を作り続けています。
その数だけで、毎年80万戸前後。
我々は自由主義経済の下に暮らしています。
モノの値段と言うものは、基本的に需要と供給の関係で決まります。
日本の住宅は全体として、かなり余っています。
そして、今後もかなり余りそうな気配です。
人口の減少は続き、当面回復しそうにはありません。
その結果・・・・
当然「家」の値段は下がっています。
今や、過疎地の不動産にはほぼ値段がつかない状態です。
都会においても、前述の通り賃料がダラダラ下がっています。
中古マンションも、これからもっと下がるでしょう。
ところが、新築マンションはそれほど下がらないと思います。
その理由は、新築マンションの価格はおおまかに
「土地代+建築費+デベの利益+販売・広告費用」
という足し算で決まるので、この内土地代だけ下がっても
最終的な販売価格はビビッドに下がらないのです。
したがって、今後は新築と中古の差がさらに広がっていくはずです。
例えば、すでに人口減少が始まっている横須賀市あたりだと、
新築マンションを購入すると、その瞬間に約1割の資産減になり、
2年後に2割、5-10年後にはほぼ半分まで落ち込むことが予想できます。
これは、現状の中古市場を眺めていて立てた予想で、
人口減少と経済の衰退が進むと、さらに下落が加速する恐れもあります。
このように家の値段が下がる・・・ということは、
「持っている人」にとっては辛いことですが、
「持っていない人」からすれば、歓迎すべき現象。
このブログの読者は「これから買おう」という方が多いと思いますので、
以下それを前提に書かせていただきます。
はっきりいってしまえば「持っていない人」にとって
これからの時代、住む家をかなり幅広い選択肢から選べます。
借りてもいいし、買ってもいいのです。
「買うと言っても、まだまだ高いし・・・」
とお考えの方は、もう少し柔らかく考えてください。
新築マンションの広告ばかり見ていると
「まだまだ高いし・・・」となります。
そうではなく、ヤフーの「不動産」から
「中古マンション」や「中古の一戸建て」を探してみてください。
「エエッ、こんな家があったの!」
と、驚くような低価格物件があるはずです。
もちろん、「駅に近くて新築同然」なんてのはありませんよ(笑)。
はっきりいって、定期収入がありさえすれば
年収が300万円くらいの方でも十分に家が買える時代です。
また、これからはますます「買いやすく」なるはずです。
年収の3倍くらいでラクにローンを払いながら
「持ち家」に暮らせる時代になっているのです。
そして、「借りる」と「買う」を選択する場合、
価格が低いほど「買ったほうが得」ということになる傾向があります。
つまり、郊外で暮らすなら、
中長期で見て「買ったほうが得」なことが多いのです。
何よりも、今の時代に絶対やってはいけないのは
「郊外型の新築マンションを35年ローンで買う」こと。
これをやると、経済的にはもちろん、
精神的にも深い傷を負うことになると思います。
以上、公開講座「マンションって何だろう」11回目
今日のテーマは「誰でもマンションを買える時代」でした。
この項目については拙著
「年収200万円からのマイホーム戦略」に詳しく解説しています。
駅近の資産価値が残るでしょう。 郊外は二束三文になって行くでしょう。
2013/02/13 21:24 | by 匿名RSS feed for comments on this post. TrackBack URL