管理費滞納は廃墟化への道

以前、「マンションは廃墟になる」というテーマで
このブログ記事を書いたことがあります。
その内容の一部が、今発売中の「週刊ポスト」に
私のコメントとして出ています。

最近、この手のコメントを求められることが多くなりました。
世間の関心が高まっている証拠ですね。
住宅ジャーナリストを名乗る多くの方は、
収入の一部または全部を不動産会社から得ています。
だから「マンションが廃墟になる」なんて言えません。

私は、収入のほとんどをエンドユーザーさんからいただいています。
だから視点はいつもエンド側にあるので、発言はかなり自由です。
世の中には、私のようなバチ当たりが一人くらいいてもいいはずです。
だから、今日ものこの「廃墟化問題」を語ります。

前述の週刊ポストの記事の中に、不動産コンサルタント長嶋修氏の
以下のようなコメントが出ています。
「高度経済成長期に建てられたマンション群は、居住者の高齢化が進み、空き家が増えている。東京の多摩ニュータウンが典型的でしょう。1棟50戸のうち5戸しか入居していないという物件もある」
こういうマンションの他の45戸分の管理費は
どうなっているのだろう、と考えてしまいます。

前にも書きましたが、日本の分譲マンションについては
約53年前に施行された区分所有法で大まかなことが定められています。
この区分所有法は、民法の「共有」の概念を基本として、
もう少し具体的にマンションの法規を定めたものです。
憲法における民主主義の概念も混ざっています。

つまり、かなり性善説的に作られているのです。
「区分所有者は自分たちの資産価値を守るために善意で行動する」
どうも、そんな概念が基底にあるように思えます。
しかし、今の世の中はこれに合わなくなってきています。

例えば、私が知るある都心のマンションでは、どう考えても
悪意を持った理事長が管理組合を私物化しています。
例えば、築10年でまだピカピカしているそのマンションでは、
金融機関から借入までして大規模修繕工事を実施しました。
その工事実施を、管理組合の総会では賛成約70%可決。
でも総会に出席したのは全体の20%弱。
「委任状と議決権行使書を開示してください」とお願いしても、
管理組合から「委任」された顧問弁護士が拒否。

その大規模修繕工事の業者選定もかなりいい加減。
見積書の日時がバラバラだったり、一度は最安値の業者に決まったのに
その後の理事会で理事長が強引に押し戻して管理会社に決めたり。
明らかに「おかしい」と思うことがいっぱい。

善意をもった反対派が「理事長解任」を求める
全体の5分の1の議決権を集めて解任決議の総会を開いても、
利害関係の当事者である自分が議長を務め、
開示されない委任状や議決権行使書を使って否決。
もう、完全な私物化です。

別のマンションの話をしましょう。
ある都心のタワーマンションにはゲストルームがあります。
1泊数千円でけっこう豪華で眺望のいいお部屋にゲストを泊められます。
このゲストルームは、予約が始まった先からすべてが埋まってしまいます。
ある一部の住戸の外国人オーナーが申込んでしまうのです。

そして、利用するのは常に中国語を喋る方々で、毎回ちがう面々。
どうやら、そのオーナーが「ホテル」として同国人に
「又貸し」しているのではないかと強く疑われています。
また、パーティルームの利用も頻繁。
集う面々は、毎回微妙に違ってほとんどが中華系。
彼らが利用した後は、散らかしほうだい、汚しほうだい。
「飲み屋」を営業しているのですか? と疑う住民も。

これが今、日本のマンションの最前線で起きている問題なのです。
もはやこういう問題は「性善説」では対応できません。
ゲストルームやパーティルームについては、
使用細則を見直さなければ一部住民の私物になります。

前述の「私物化」理事長は、管理組合に莫大な負債を負わせました。
しかし、これを強制的に排除するには管理組合で
明白な多数の議決を要します。これはかなり困難。
管理組合の最大多数勢力は常に「無関心派」です。
自分が出してもいない委任状や議決権行使書が使われていても
まったく気付かないか気にしない方々。
そして、自分のマンションの資産価値が劣化することにも無関心。

マンションというのは、他人と一緒に暮らす住まいです。
アカの他人と資産を共有する、かなり面倒臭い住まいです。
アカの他人たちの中にはいい人も悪い人もいます。
悪い人が悪意をもって何をしでかすのを、
防いだりやめさせたりしないとかなり困ったことになります。

また、悪い人がいなくても、住む人自体がいなくなることもあります。
前述の多摩ニュータウンの老朽マンションみたいに
9割が空家になってしまうとかなり困ります。
空家でも管理費と修繕積立金がきちんと集まっていれば問題なし。
でも、それが集まっていないと、廃墟へのレールが敷かれたも同然。

前にも書きましたが、マンション管理の中で起こる様々な問題は
「お金」に関することで、これが基本中の基本。
つまり、管理費や修繕積立金をきっちり徴収して適正に使う。
マンション管理とは、言ってみればこれに尽きます。
それさえできていれば、マンションは廃墟になりません。
誰かに私物化されて、いつの間にか管理組合の資産が
蒸発してしまうようなこともないはずです。
でも、これが簡単そうで難しいから様々な問題が起こるのです。

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2015/2/4 16:07 Comments (2)

2 Comments

まろたんさん、こんにちは。

マンションの出口戦略はいまだ迷走中ですね。
競売物件の背後には、その数倍の任売物件があります。
任売物件の背後には、その数倍の滞納物件が・・・・

こういった問題を解決するには、
日本も住宅ローンはノンリコースにすべきですね。
日本では責任を融資する側ではなく、お金を借りる個人に押し付けています。
これがローン破産や自殺率の高さに結びついています。
もっとも、韓国では老人の自殺率がやたらと高いみたいですけど。
まあ、あんまり関係ないですか(笑)。

先日、東京都住宅供給公社が「フリーレント2か月」なんてやっている広告を見ました。
おっと、時代はそこまで来たか、という感じです。
田舎に住んだら、住居費なんてタダですよ。
30年前なら考えられない事態。
でも、こういうことって分かっていたみたいですね。

困ったことに、今の日本で東京居住者が一番分かっていません。
人口が減るというのはどういうことか、ということを。
それでオリンピックだのと騒いでいます。
オリンピックで人口は増えないけれど住宅は増えます。

東京人が人口減を実感するには、あと5年はかかりそう。
その後、不動産価格はズズズと下がりますよ。
そんなこと、ちょっと考えれば分かることなのですが
多くの方には想像力が欠如しています。
もう、わらって酒飲むしかありません。
ということで、今夜は湾岸へ出没します。埋立地で一杯。

それでは、ごきげんよう。 榊淳司

2015/02/05 17:44 | by Sakaki Atsushi

榊さま。

週刊ポストの記事は読んでいませんが・・・。
区分所有は「専有」と「共有」の、異なる権利の混合で、
成り立っていますから、単なる共有とは違う難しさがあります。

更に、ふつう50とか100世帯での共有です。
新築入居時こそ、各世帯の経済は似たり寄ったりでしょうが、
30年後には、各世帯に大きな「格差」が生まています。
30年は長いですからね。

時代も相当変わりますし、各入居者の人生も変わります。
100世帯のマンションならば、100世帯X30年、
1棟全体で、3000年分の、人生の変化があります。

しかも、変化の実体は、30年の単なる「総和」ではなく、
各世帯の浮き沈み、悲喜こもごもの「積分」ですから、
大きな「変化・格差」が避けられません。
で、全体の足並みを揃えるのは、そもそも無理がありますね。

管理費・修繕費が払えない世帯は、将来も概ね支払い不可能でしょう。
高齢者がほとんどで、生活の建て直しは無理でしょうから。
従って、待つだけ滞納額が増え、管理組合も処理が困難になります。
打開策としては、最終的には「退居」してもらうしかない、
ように思いますが、如何?

とは言え「難しい」手続き・処理になりそうです。
大事なだけでなく、語弊はありますが「汚れしごと」です。
ネコの首に鈴を付ける、というイヤな役目ですね。
果たして、組合役員にできるでしょうか?

さて。
不動産の「競売」のウェブサイトがあります。
榊さまもご存知のことと思いますが、私は時々閲覧しています。

毎日、100ー300件位の新規物件が出るようです。
年間では、どの位になるのかは知りませんが、
おそらく、ゆうに万は超えるでしょう。

今、全国で3000件、うち関東地区で1000件が入札可能と。
マンションも、相当数出ていますね。
「特別売却」物件というのは、入札者ナシでしょうか?
田舎の物件に多いようで、買い手が付かない、ゴミクズ?

ま、こういう現実を見ますと、やはり、思いますね。
長期高額ローンを組んで、ハンパなマンションを買いまんの?
ってね。
チンタイのほうが「つぶしが、効きまっせ」
住宅コストをみても「お得でっせ」
ってね。

ま、ヒトサマのこと、大きなお世話ですけどね。(笑)

ごきげんよう。

2015/02/05 01:00 | by まろたん

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