公開講座14「にっぽんのマンションは廃墟になるか?」

もう6,7年も前のことになりますが、
千葉の奥にある宅地分譲地の広告を作ったことがあります。
成田の空港からそう遠くないところですから
東京への通勤は「ほぼ無理」。
駅までも車で20分くらいはかかるので、
「誰が住むの?」といいたくなるような場所。
そこに何百区画もの戸建て用宅地が造成されていました。

私が見に行ったときには、ほとんどの区画で草ぼうぼう。
道路のアスファルトもひび割れ、その間から逞しい雑草がニョロニョロ。
造成されたのはバブルの末期ということでした。
その頃、2街区30戸くらいは建売住宅として売り出されたようです。
当時のバブル価格で4000万円弱だったと聞きました。
実際、当時に購入して住んでいる人もいます。
その2街区だけに家が立ち並んでいるのですが、残りは前述のとおり。

そこをまるごと、東京のとある不動産会社が競売で落札したのです。
そして、今度は宅地として売り出しました。
なんと、1区画(だいたい200-400㎡くらい)が200万円から400万円。
坪にすると3万円弱から、高くて4万円。
そりゃあ、売れますわな(笑)。
それでも、その不動産会社は競落価格の3倍くらいに吹っかけているのです。

まあ、典型的な「バブルの宴の後」。
傍で見ている分にはいいのですが、
バブル期に4000万円近くも払ってその家を買った方は、
何ともお気の毒な話です。
今の市場価格は、贔屓目に見ても500万円くらいですから。

さて、それをまるっきり他人事だと笑ってはいられない事態が、
マンションの世界では今も進行しています。

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最近、以上2つのレポートを最新情報に更新したのですが、
やはり多いのは「買ってはいけない」と断罪できるマンション。
中には事業主が「狂っている」としか思えない物件もあります。
つまり、20年後には「値がつかない」どころか、
誰も住まなくなるのではないか、と思える物件があるのです。
そういうマンションでも、今は何億円もかけて広告しているので
なんとなく「いいマンション」に見えてしまうのかもしれません。

高齢化社会や人口減少は、もはや他人事ではありません。
「今、自分たちの社会で起こっている危機」なのです。
冒頭で紹介した千葉の奥地の大規模造成地は6、7年前の時点で
まだ「叩き売り」価格によって買い手が見つかりました。
しかし、10年後20年後、駅から歩けない大規模なマンションは
中古としての価値が限りなくゼロに近づくのではないかと危惧します。

これは、少し冷静に考えれば誰もが予想できることです。
今、そういう「長谷工的」な郊外大規模マンションを購入する人は
小さな子供を育てているか、これから生んで育てるファミリーです。
20年後、大人になったその子たちはほとんど実家から離れるでしょう。
大学に通うにも、就職するにしても、そういう不便な家よりも
都会の便利な場所に安くて快適な住まいがいくらでも借りられるからです。
そのうち、経済的な余裕のある人々も、より便利な場所に移り住むでしょう。
そういう場合、中古で売れる場合はまだましです。
20年後は今よりもっと日本の住宅が余っているので
そういう不便な場所の工業製品的な中古マンションを買わなくても
駅から歩ける場所で、しかもお手ごろ価格の物件がいくらでも見つかるはず。
つまり、出て行った家族の住戸は空き家になる可能性が高いのです。

例えば、全戸数の5分の1でも「空き家」になったり、
管理費・修繕積立金の滞納が発生した場合は、
共用部分の管理や修繕に著しい支障をきたすはずです。
すると、ますます「みすぼらしい」マンションになるでしょう。
あとは加速度的に「廃墟」への道をたどることが想定できます。

フランスでは、そういう共同住宅に行政が介入して
強制的に取り壊したり、買い上げたりする制度があります。
でも、今の日本にはありません。
20年後にはできている可能性が高いでしょう。
でも、それは「廃墟」を犯罪の巣窟にしないための措置であって、
けっしてそういうマンションの価値を高めることにはつながりません。

すでに、郊外には「廃墟」予備軍がたくさんあります。
1990年以前にボコボコ建てられた郊外のバス便大型マンションを見てください。
先に紹介したレポートで取り上げた「買ってはいけない」マンションの
近くには必ずそういった「廃墟」予備軍があるはずです。
もしかしたら予備軍からさらに一歩進み、
すでに廃墟になりかかっているマンションがあるかもしれません。

老朽化マンションは、今後まちがいなく社会問題化します。
ただ、都心にあるマンションにはこの問題が起こりません。
同潤会アパートは基本的に都心にあったので、ほとんど再生できました。
郊外の、駅から歩けないマンションは再生できません。
行きつく先は「廃墟」です。

そういったマンションは、間違っても「買ってはいけない」のです。

以上、公開講座「マンションって何だろう」14回目
「にっぽんのマンションは廃墟になるか?」でした。


2011/5/6 15:55 Comments (2)

2 Comments

 千葉のような田舎は広さと低価格を売りにして駅近に対抗したマンションを造るのが良いと思います。

2013/02/13 21:32 | by 匿名

建設がストップして廃墟だった頃の平壌の柳京ホテルって、超高層なのに最上階まで各部屋がちゃんとコンクリート壁で仕切られているように見えますね。

形が三角錐で安定してるからでしょうか。

ああすればタワー型マンションでも各部屋が分厚いコンクリート壁で仕切れるような感じしる。

いまのタワー型マンション作ってるとこ見たけど、あんな薄い石膏ボードで仕切られてるようじゃ防音などまず無理。

ケンカなんかしたら向こう三軒までばれると思います。
(。・ロロ・。)

なのでこれからのタワー型マンションは柳京ホテルのような造りがいい。

勝どきのThe Tokyo Towersとか…
G(≧∀<;)Q
大 っ 嫌 い!

2011/05/07 12:12 | by TTT

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