「指名手配」中ですが、公開講座の第1回

久しぶりにお会いした業界関係者の一人が、
私の顔を見てニヤっと笑いました。
「お前、指名手配されているんだって?」
「ええ、まあ・・・そうらしいですね」

これは3週間ほど前に大立ち回りを演じたことで、
桜田門あたりから「指名手配」が出たのではありません。
念のため・・・誤解なきように。
あの件は私の判定勝ちで、もちろんお咎めなしです。

「あの野郎、ブチ込まれればよかったのに」
と臍をかんでいただいている方は多いと思いますが、
私は業界関係者からすごーく嫌われているせいか
「世に憚る」ことはわりあい得意なのです。

さて、私を「指名手配」してくださっているのは
他ならぬマンションデベや販売会社の方々だそうです。
「あいつだけは許さん」という声が轟々と上がっているとか。
非常に光栄なことと存じます。

このブログでいろいろと書いているのも、
彼らを怒らせている原因かと思いますが、
やっぱり私の有料レポート「買ってはいけない」シリーズが
もたらした影響力というのは少なくないと思います。

実は、最近そのうちの2題を最新情報に更新しました。

買ってはいけない大規模マンション
神奈川編 全20物件
価格 2,490

買ってはいけない大規模マンション
首都圏編 第4弾 23物件
価格 2,690

この作業を行っていてつくづく感じたことは・・・
「売れていない!」
ということ。
本当に、見事なまでに売れていません。

この2題とも、実は9ヵ月ほど更新していませんでした。
しかし、首都圏編なら昨年6月に更新したときの
25物件のうち、完売したのはわずかに3物件。
神奈川編は18物件のうち、完売はたったの1物件。

お読みになった方はお分かりだと思いますが、
取り上げている物件はほとんどが「竣工済み」ですよ!
中には「竣工後4年」なんてツワモノまでいます(笑)。

更新作業でそんな物件たちのHPを見ていて何度か笑ってしまったのは、
私がレポートの中でケチョンケチョンにけなしたことを、
シレっと修正していたりするのです。
(おおっ・・・これはレポートを読んだな!)
つまり、売主もしくは販売関係者が
私のレポートをご購入して「研究」されたのかもしれません。
もしそうだとすれば、御礼申し上げます。
「ありがとうございました!」

これらのレポートで取り上げたマンションが
この9ヵ月でほとんど「完売できなかった」のはなぜでしょう?
残念ながら、私が「買ってはいけない」に入れたからではなく、
もともと「売れない」要素がたくさんあったからでしょう。
私のレポートはそれをクローズアップさせただけです。

でも、数えてはいませんが私の有料レポートは累計で何千本も売れています。
マンション市場に与えた影響は決して無視できないはず。
だからこそ、誉れ高き「指名手配」をいただいているのでしょう。
でも、誰も私を「逮捕」しにこないのは、ちょっと残念ですね。

さて、早速ですが始めましょう! 公開講座
最初のテーマは、やっぱりコレですね。

住まいが集まっているから「集合住宅」

もう30年近く前のことですが、
私はとある友好訪問団の一員として北京を訪れました。
まだ、あの国が貧しかった頃です。
過密スケジュールをこなし、クタクタになってホテルに戻っても、
冷蔵庫は1台しかないので冷えたビールはあっという間に売り切れ。
ジュースは一瓶ずつ入っている量が異なり、
ストローは内側に蝋を塗った紙製で、すぐにフニャフニャ。
まあ、そんなことはどーでもいいのですが・・・

私の乗ったバスには、非常に聡明な女性の通訳兼ガイドがつきました。
日本語はほぼ完璧。でも、聞けば英語の方がもっと得意だとか。
ある時、街を歩いていてあの当時では珍しい
近代的な鉄筋コンクリート造の建物を見つけました。
「アレは何ですか?」
その女性、なぜかちょっと顔を赤らめて
「・・・マンションです」
「ええっ、マンションですか?」
「はい、日本にもあると聞きましたが・・・」

根掘り葉掘り聞くと、共産党幹部の住宅だそうです。
今は、珍しくもなんともないのですが、
当時はエレベータが付いて、窓がサッシュの
鉄筋コンクリートの建物に住めるのは「特権階級」だったのでしょうね。
まあ、それもどーでもいいことです。

私は、彼女がなぜ「マンションです」といったときに
顔赤らめて言いにくそうにしたのか、長らく誤解をしていました。
ずっと、そういう特権階級が社会主義の国に
存在することを恥じていたのかと思っていました。
でも、よーく考えると、そうでもなさそうです。
そんなの、当たり前ですから。

英語に堪能な彼女は「マンション(mansion)」というのが
気恥ずかしかったのではないかと、今は思っています。
なぜなら、mansionというのは「風と共に去りぬ」の
オハラ家みたいに、庭が何エーカーもあるような「大邸宅」だからです。

なのに、75㎡くらいのせまっ苦しいコンクリートの箱が
いくつもギュっと詰まった建物をmansionと呼んでいるのが、この国。
英語を解する件の通訳嬢は、
この日本語にかなり違和感をもっていたのでしょう。
この何ともチグハグなネーミングは、私たち日本人の
「マンション観」を象徴しているように思えます。

いつもの「そもそも論」を始めます。

日本には江戸時代から「長屋」と呼ばれる集合住宅がありました。
西洋でも、ローマ時代から「ドムス」と呼ばれる
今のマンションの元祖みたいな集合住宅があり、
家主が家賃を取って店子に住まわしていたそうです。

そもそも、なぜこのように住まいを「集合」させていたのでしょう?
答えはいたって簡単で、限られた土地に数多くの人間を
住ませるためには「集合」させると効率がいいからです。
プライバシーや居住性に多少目をつぶっても、
「集合」の利点が大きかったのだと思います。

でも、昔は人も少ないし、土地の値段も今ほどでないし・・・
といった疑問はありますね。
ただ、移動の手段を考える必要があります。
自動車や地下鉄、さらに自転車もない時代。
馬を持つのは値段も維持費も相当にかかるので、ほんの一部の人々のみ。
二本の足を交互に前に出して進む以外、
移動する手段をほとんど持たない時代です。

だから、街に住む人間はどうしても仕事場に
歩いて行ける場所に住む必要があります。
もちろん、そんな昔でも街中では土地に限りがあり、
住宅を「集合」させる必要があったのです。
これは、世界のどの都市にも見られる現象。

日本のように木と紙と土で組み立てるか、
西洋のように石や煉瓦で造るかの違いはありますが、
住宅を「集合」させるニーズはどこも同じなのです。
いってしまえば、さほど金持ちでない労働者を
職場の側に住ませるための簡便な手段なのです。

だから、世界のどの街でもちょっと郊外に行くと、
集合住宅はほとんど見られなくなります。
でかい工場でもあって、その労働者を
住ませるための宿舎みたいなのは別ですが。

このように、住宅を集合させるのは
土地が限られているので「仕方なく」行ったことです。
また、住み手にとっても、集合住宅に入居するのは
経済的あるいは時間的制約から「仕方なく」
というのが最大の理由でした。

例えば、ニューヨークの若いビジネスマンの多くが
街中にある「タワーマンション」みたいな高層住宅に住んでいるのは、
ある程度「仕方ない」と諦めながら・・・というのが本音でしょう。
お金や時間、それに家族ができると、
より人間らしく暮らせる郊外の一戸建てに移るのが
彼らの平均的なライフスタイルだと思います。

ところが・・・今の日本は「マンションに住む」ということが
最終目的化しているような風潮が見られます。
別にそれが「いけないこと」だというつもりはありません。
ただ、そもそも集合住宅は何のために生まれたのか、
というルーツはしっかりと認識しておくべきでしょう。

例えば、郊外の一戸建てばかりの街にも、
なぜか大きなマンションが分譲されたりします。
そのマンションは必要だから生まれたのではありません。
分譲業者が「儲かる」から事業を行っているだけです。
でも、彼らは「マンションは一戸建てよりも快適」みたいな
広告で購入者を集めたりしています。

でも、もともと必要(需要)がないところにできたマンションです。
一時、広告に騙されて買う人もいるでしょう。
でも派手な広告を行う販売が終わってみれば、
不必要な存在であることが浮き彫りになります。
当然、中古価格は暴落します。現に暴落している物件も数多・・・

なぜ、そういう物件を買ってしまうのでしょうね(笑)。
長くなったので、今日はこれくらいに。
次回は「集合住宅における日本と欧米の違い」です。


2011/2/25 18:02 Comments (0)

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