日本のマンションは「同潤会」から
東京の前身である「江戸」は、おおよそ人口100万人。
一時期は世界最大の都市でした。
この街は同時期、欧州その他で栄えている世界の大都市の
どこにもない特徴をいくつも備えていました。
例えば「完全リサイクル」の資源利用システム。
江戸という街は、ほぼゴミがでなかったのです。
例えば、糞尿でさえ貴重な資源として重宝がられていました。
本題ではないので、ここでは詳しく語りませんが。
そういったソフト面ではなく、都市としてのハード面でも
江戸と言う街はかなりユニークです。
最大の特徴は、建造物がほぼ100%木造だということです。
その中心である、江戸城でさえ木造なのです。
これはもう、驚異といっていいことだと思います。
去年の暮れ、家族旅行で信州に行きました。
帰りには、松本城によりました。
あまり一般には知られていませんが、
あそこはお城の天守閣が昔のまんま残されている希少なスポット。
大坂城とか小田原城なんかははっきりいって
観光用に作った鉄筋コンクリートの建物なのです。
でも松本城と姫路城は、その昔にきっちり木造で造ったお城。
今度、もし姫路城や松本城の天守に登る機会があれば、
そういう視点でご覧になれば面白いと思いますよ。
さて、その松本城・・・かつて江戸の町に聳え立っていたという
千代田城(江戸城)とは比べるほどもない小さな天守です。
でも、かなり立派。それが、基本的に木で造ってあるのですから
ディテールを見ているだけで一種、感動します。
「昔の大工はすごいなー」「こんなの、誰が縄張り(設計)したのかな?」
日本の近世以降の木造建築の粋は、城郭にあると思います。
残念ながら、民間住宅においてはせいぜい数奇屋風くらいしか
私の興味をそそるような題材を見出せません。
時代は明治となり、東京にも西洋風の建築物が立ち始めました。
やがて大正となり、日本の住宅建築史上の一大事件が起こります。
1923年の関東大震災です。
大げさではなく、東京の街は灰燼に帰しました。
当時の建築関係者は大いなる危機感を持ったと思います。
世界に冠たる大日本帝国の首府が、
ただ一度の地震で壊滅してしまったのですから。
その反省から、東京は新たな都市計画に着手しました。
コンセプトはもちろん「地震に強い街」。
先頭に立ったのは、東京府知事だった後藤新平。
「後藤の大風呂敷」などと陰口を叩かれたそうですが、
今の東京の基本設計はこの時代のものです。
さて、前置きが長くなりましたが、今日のテーマである
「同潤会アパート」が生まれたのは、そういう時代背景の元でした。
簡単に言えば、日本の鉄筋コンクリート造集合住宅の黎明は
この同潤会アパートから始まったといえます。
もちろん、全戸が今で言うところの賃貸用でした。
それまで、単身者や若い新婚夫婦が住宅を借りるとなると
それこそ「間借り」か「長屋」「離れ」のように
著しく不便かプライバシーに不都合が多い形態でした。
それも、アタマを下げて「お願いして」、保証人を立てて、
感謝の印に「礼金」まで払って・・・・・
そんな社会背景があったので、同潤会アパートは随分人気があったようです。
入居したくても中々出来なかったと思います。
でも、家賃がベラボーに高いと言うこともなく、
隣とはコンクリートの壁で仕切られています。
しかも、ただのコンクリートの箱ではなく、
人が暮らすための機能をあの当時としてはかなりの高水準に整えています。
1930年にできた大塚女子アパートは
エレベーター・食堂・共同浴場・談話室・売店・洗濯室、
屋上に音楽室・サンルームなどが完備されていたそうです。
まさに、当時としては先進的な集合住宅であったのです。
驚くのは、その建築的なデザインや外観、
敷地配置など、今のマンションと比べて遜色ないどころか、
「すばらしい!」と声を上げたくなるものまであります。
日本のマンションは、実に素晴らしい「原点」をもっているのです。
そして、同潤会アパートは鉄筋コンクリート造だったので、
戦災で焼失することなく、多くは戦後も住宅として使われ続けました。
ただし、戦後は入居者に払い下げられるなどして権利関係が錯綜。
老朽化する中で次々と「再開発」されました。
ただ、人々の記憶の中には「同潤会」=「ハイカラ、モダン」という
イメージが強く残り、それが今の日本人のマンション志向へとつながっています。
同潤会アパートが建てられていた頃、
日本の住宅市場はまったくもって需要過多・供給不足でした。
にもかかわらず、戦災で多くの住宅が焼失しました。
戦後、同潤会を引き継いだ住宅公団が、次々に公団住宅を建設。
ニュータウンを造成し、それこそ鉄筋コンクリートの
集合住宅を量産していきました。
あっと気が付けば・・・・
我々は「量」を作ることばかりにかまけて、
同潤会アパートの持っていた、慎ましやかながら
品の良いモダンさをどこかに置き忘れてしまったみたいです。
例えば、長谷工がよく造っている郊外のバカでかい
工業製品のようなファミリーマンションは、
今から70年ほど立ったとき、
同潤会アパートのように「保存運動」が起こるのでしょうか?
ただのコンクリートの箱と文化的な建造物の違いは
とてつもなく大きく広がってきたような気がします。
さて、3月うらら。
この時期、マンションの契約と内覧、そして引渡しのラッシュです。
ご存じない方が多いと思いますが、住んでみたあとで
「あの時しっかりと・・・しておけば」
と後悔するケースはかなり多いものです。
そして、その大半がこの時期ラッシュの「契約」「内覧」なのです。
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