まだバブルだった頃、私は広告代理店の制作部門で
ヒラのコピーライターをしていました。
もちろん、マンションの広告が専門です。
あの当時、制作部門でもやたらと海外出張がありました。
ただ、私は1回も行ったことがありません。
そういう美味しいところはぜーんぶ、
ちょっと小狡い先輩や上司が持っていきました。
中には、海外出張がありそうになるといきなり首を突っ込んでくる
「分かりやすい」方もいて、かなり笑えたものです。
その会社を辞めて自分で制作会社を始めると、
他の代理店からもお仕事をいただくようになりました。
そして知りました。
そういう「海外出張かっさらい上司」というのは
どこの会社にでもフツーにいるのだ、ということを(笑)。
まあ、そんな話はどーでもいいのですが・・・
あの当時、海外出張があるような仕事は、だいたいが「リゾート」。
熱海や苗場や沖縄にリゾートマンションができるとなると
ハワイやロスやカナダにいって「視察」や「撮影」をするのです。
まあ「撮影」は分かりますが「視察」って、なんなのでしょうね?
クライアント(広告主)もいっしょなので、99%はお遊びでしょう。
まあ、それもどーでもいい話です。
私が不思議で仕方なかったのは、そんなことよりも「リゾートマンション」。
はっきりいうと「何でそんなものが必要なの?」という感覚。
例えば、熱海にリゾートマンションを買うことに、
どういう意味があるのかサッパリ理解できなかったのです。
というのは、私のような貧乏人の感覚からすると
どう計算してもコストパフォーマンスが合いません。
50㎡くらいの新築リゾートマンションを3000万円で買ったとします。
仮に、25年使うとすると1年あたり120万円。
管理費や修繕積立金が月に7万円くらいかかります。
温泉の維持費などで、リゾートマンションの管理費は高いのです。
固定資産税も熱海はかなり高いそうです。
まあ、仮に年間20万円としておきましょう。
すると、1日も使わなくても年間224万円かかります。
1日使うとシーツ代とか何とかで3000円くらい取られるのが普通。
それでは2週間に1回ずつ、一度に2泊したとしましょう。
年間26回の利用で、15.6万円の費用がかかります。
さきの224万円と合わせると約240万円。
さて、リゾートマンションなんぞ買わずに
年間240万円の費用で熱海を楽しもうとすると、
どれくらいのことができるのか?
夫婦二人、1泊5万円の豪勢な熱海小旅行が年間24回楽しめます。
しかも、こちらは飲み食い付。
年間24回というと、ほぼ2週間に1回です。
しかも、こちらは忙しければ行く必要はありません。
熱海でなくても一人5万円の予算なら、かなり豪遊できるでしょう。
ところが、リゾートマンションを所有していれば、
年間ある程度利用しないと1回あたりのコストがバカ高になります。
例えば、年に4回しか利用しないと、1回60万円です。
だったら、海外へ行った方が安上がりですよね。
そして、何よりも同じところに年間20回も行くと、飽きませんか?
それを25年間も続けるなんて・・・とても考えられませんね。
旅行なら、好きな時に好きな所に行けますよ。
そんなこと、ちょっと考えれば誰でも分かること。
だから当時から私は口をとんがらせて
「リゾートマンションは商品として成立しない」と言ってきました。
あのギンギラバブルの時代に、駆け出しの小僧コピーライターが
そんなことを言ってみたところで、
みんな「フン」と鼻で笑って相手にしてくれませんでした。
「ガタガタ抜かさないで、黙ってコピーを書け」
ということで、書きましたよ。
熱海や湯沢やその他諸々のリゾートマンションのコピー。
生涯で20物件くらいは書いたかもしれません。
私の書いたパンフレットを読んで「この物件いいね、買おう」
なんて思った方も、中にはいるかもしれません。
で、そうやって買ってしまったリゾートマンション、
今はどうなっているのでしょうか?
築22年くらいの熱海のリゾートマンション。広さ50㎡前後。
今は高いものでも800万円くらい。安いと100万円程度。
でも、熱海はまだましなのです。
悲惨なのは苗場とか湯沢といったスキーリゾート。
かつて2000万円くらいで売りだされた物件が、今はせいぜい100万円。
競売なんかにかかると10万円とかになっています。
もう「買ってくれるのならいくらでもいい」という状況。
では、「リゾートマンションは使えない、割高」ということを
世間の方もようやくお分かりになってきたのでしょうか?
数年前、熱海でやたらと大きな事業を仕込んで
倒産してしまったジョイントコーポレーションという会社がありました。
この会社、私から見ると倒産すべくして倒産した、といえます。
熱海に何百戸ものマンションを計画して、広告に起用したのが矢沢永吉。
確かハワイの海岸を走らせて「Re-Life」なんて叫ばせていました。
私の英語感覚だと、これは一度死んだ人間が蘇るという風に受け取れます。
だから初めてアレを見た時、私は腰を抜かすほどビックリ。
これほどの時代錯誤に、何億円もつぎ込む企業があったのかと・・・
よほど品川あたりにあったモデルルームに行って、
矢沢の出ているパンフレットをもらおうかと思ったくらいです。
行ってもらっておけばここで紹介できたのに・・・残念。
というように、まだまだリゾートマンションについて
世間では大きく誤解している人がいます。
あれは、せいぜい社員がキッチリ有給休暇を取れる
ヒマな企業の保養所程度にしか使い道がありません。
個人で所有するには、コストパフォーマンス的に
まったく成立しないシロモノなのです。
それでも欲しいという方がお買いになるのは勝手です。
でも、資産価値は先に説明した通りですので、
あとはご自身の財布と相談しながらお決めください。
さて、レポートの更新情報です。
ミッドランドアベニューという私が注目した物件が、いよいよ竣工。
しかし、まだかなりの完成在庫が残っていて販売現場ではいよいよ・・・
さらにイーストゲートスクエアという、かなりスベッた
広告展開をする大規模物件も登場しました。
「新宿線・深川エリア」
マンション市場レポート
価格 3,980円
しかしこのエリア、価格が落ちて物件も多くなってきました。
湾岸に比べればかなり狙い目ですね。
取り上げた物件は以下の通り
パークフロントテラス亀戸
グランアジール大島パークサイド
シティハウス東京森下
ザ・ミッドランドアベニュー
ルネリバースタワー東大島
ザ・グランアルト錦糸町
イーストゲートスクエア
ブランズ大島
グローリオ清澄白河
シティインデックス錦糸町
誤字の訂正です。大変失礼しました。
榊さまのこの記事、全くその通りですね。30年以上前から私はそう思っておりました。同僚が北軽に別荘を買って毎夏・冬、楽しんでいる話をうらやましく聞いておりました。といっても、うらやましいのは別荘よりも経済力の方でして、私はホテルで満足でした。
でも、探せばあるものですね.銀座や日本橋から30分圏で、リゾート地もどきの地域、別荘もどきの間取りの住宅を偶然見つけて住んでおります。普通の公団の集合住宅ですが、
近くに民営の大規模温泉ランドが2ヶ所、豪華な共用設備もない必要最低限で管理費等も普通とあれば、リゾート別荘に住みたくなるかたの気持ちもよくわかるようになりました。要は経済力の問題ですね。
そこでナゾナゾです、それが何処なのか? 博識な榊さまならすぐお気付きでしょうね。
検索エンジンで榊さんのページを知りました。お説ごもっともです。私は税金対策と家族の慰安のためにリゾートマンションを購入しております。車もガソリン代は経費で落ちるので全く気にしておりません。別荘やリゾ-トマンションは自己満足で購入する方が多いですね。管理費が高いのでホテルに泊まる方が格安と知っておりますが、そうなると意外に利用しない物です。
榊さんの記事を今後も楽しみに読ませていただきます。
頑張ってください。ご指導下さい。
風俗特区 これしかないでしょうね。
あとは老人ホーム特区かな。
ご賛同を嬉しく思います。すでに商品としての意味をなしていないのがリゾートマンションです。
2013/06/14 11:47 | by Sakaki Atsushi全く榊氏の述べる通り、。 購入代金を勘定に入れ無くても
年間の維持費が30万円前後かかる。 その三十万円を国内と
国外旅行に使った満足度と、スキーシーズン等に毎週通った
コストを足した費用も勘案すると、「一箇所ばかりでなく
自由に選べる旅行の方がいいでしょ? いらなくなっても
いくらで売却できるか分からないし、所得税まで徴収される。
現金を2-3000万円保持しても税金はかからないのに、
マンションか毎年値段が下がるし・・・」と思いましたよ
当時は・・・・。
リゾートマンションは国のものとし災害があった時の仮設住宅に転用すればいい。災害で避難している人達が一番に言うのは「とにかく風呂に入りたい」。幸いリゾートマンション近くには温泉もあるので思う存分風呂に入れる。これにて一件落着!
2012/05/22 12:40 | by 政治の季節RSS feed for comments on this post.