文章にもその人の品性が出てしまう

世の中というのは、理屈に合わないことがけっこうあります。
そもそも、人間の感情というものは非合理の局地みたいなもの。
「好き」と「嫌い」に理屈なんてありません。あってもほぼ後付け。
ところが、人間は理屈よりも感情で動く場合がほとんどです。

マンション選びでも、その感情が大いに影響します。
中国人と同じく湾岸の豪華共用設備付タワーマンションを選ぶか、
代々木上原や広尾のしっとりとした低層を好むかは、
人間の内なる価値観が決めます。価値観のベースは感情。

もちろん、氏素性や育ち方、親の価値観も大いに影響しますね。
人間の「品」というものは、後付けが効きません。
生まれ育ちや、身に着けた教養が自然に出てくるものです。
心の内側が卑しいお方が上品に振る舞っても、自ずと透けて見えます。

これは、立ち居振る舞いや話す言葉だけではありません。
20歳以降であれば、ほぼ顔に出てしまっています。特に男性。
温厚な性格の方は、自然に優しそうなお顔になります。
ずるいことばかり考えているお人の顔は、見るからに貧相。
自尊心ばかり強そうな人の顔は、どこか傲岸不遜。

大人になってからの人生は、履歴書になって顔に刻まれるのです。
これは、ある意味恐ろしいことですね。
女性は男性と違って「己をよろこぶもののために顔をつくる」方々。
職業によっては笑顔を振りまくことが課せられたりします。
だから、男性に比べれば幾分分かりにくいのですが、基本は同じ。
歩んできた人生が顔に刻まれていきますね。

さらにいうなれば、顔だけではありません。
その人の書く文章にも、品性や性格が出てきます。
私は、ブログやSNSで知り合った方とお会いすることがよくあります。
まず、前もって抱いているイメージと実物が違いません。
これは、文章の綴り方の巧拙とは少し違いますね。

私は、もう30年以上も文章を書くことによって食べてきました。
世に名前は知られていませんが、一応はプロだと思っています。
だから、他人の書いた文章の巧拙を見分けるには長けています。
微妙なニュアンスの意味するところも、ある程度嗅ぎ分けているつもり。

しかし、そういうことよりも、やはり文章には内面が出ます。
短いSNSの文章の中にでも、そのお方の内面が宿るのです。
SNSはお互いの顔を合わせていませんから、表情は読めません。
でも、言い回しや前後のニュアンスで真意が見えたりもします。
その手法は現国の入試問題を解く作業に、やや似ていますね。

私、今はこんな仕事をしていますが、学校時代の国語は不得意でした。
他人の書いた文章の真意など、どーでもいいと思う性格。
それに、実のところ作者の真意ではなく出題者の解釈への
同意を求めるのが、現国という科目の特異性ではないかと思います。

私ごとで恐縮ですが、18歳の時よりも今の方が受験問題はよく解けます。
その理由は「耳したがう」。私はまだ60にはなっていないのですが(笑)。
つまり、人生経験を経ることによって「他人が何を考えているか」
という人間関係術をたくさん学んでしまったのです。
だから、出題者の意図も18歳の時よりも掴みやすくなっていますね。

ついでのことながら、受験が終わって以降も古文や漢文を
好んで読んでいたせいか、文法問題以外はスラスラ解けます。
何年か前に、遊び半分でセンター入試の国語を寝ころびながら
解いて見たら85%ほどの正答率だったと記憶しています。
「もう一回受験するか」なんてのはジョーダン。

まあ、自分が書く文章というものは、ある意味「恐ろしい」もの。
私なんかは「恥多き人生」だと開き直って何でも書いています。
それに、書かないことには稼げないという最強の言い訳もあります。
これからも、このブログに限らずたくさん書いていくことでしょう。

ところで、私は最近「ウソ」を書くことがほとんどなくなりました。
しかし、20数年の間「コピーライター」を生業にしていましたので、
それはそれはもう大量の「ウソ」を書いてきました。
「ウソ」といっても、厳密な意味での嘘ではありません。
多くの人を意図的に誤解へ導くためのコピーを書いてきたわけです。

その「誤解」の中身を少しだけ解説すると
●駅徒歩15分のマンションでも「便利に暮らせ」「資産価値は安定し」「資産価値も悪くない」と思わせる
●200戸くらいの普通のマンションでも、そこは「家族の楽園であり」「家族が幸せになれ」「永く快適に暮らせる」というイメージを植え付ける。

まあ、だいたいはそういったことです。
本当にそうなら、それは素晴らしいことです。
でも「どう考えても違うだろ」という物件も多くありました。
それでも、仕事ですからキレイごとをたくさん書きました。

新築マンションのパンフレットなら千冊くらい書いたかもしれません。
その2,3倍の数の折込チラシをつくりました。
モデルルームはその半分くらいは見ているでしょうか。
あんなに意味のないものはありません。ただのイルージョン。

バラしてしまうと、パンフレットが50ページくらいのボリュームでも
集中してやれば1日で書けてしまいます。
チラシのキャッチコピーなんて数分で2,3案。
もっとも、私のライティングは「業界最速」らしいのですが(笑)。

しかし、現役の時にはそんなことは言いません。
「イヤー大変ですよ、ページ数多いから」なんてしんどそうな顔。
というのはページあたり1万円から1.5万円のコピー料を
請求しなきゃいけないので「1日で書けます」なんて、
口が裂けても言えないのです。
「お前、一日で・・十万円も稼ぐのか!」
なんて、余計な感情を持っていただいても面倒なだけですから。

当たり前ですが、毎日50ページのパンフレットを書くほど、
たくさんの仕事があったワケではありません。
私は1日で書けても、それを使ってページをデザインするには
とても1日の作業ではできません。
グラフィックデザインの作業時間は、コピーの軽く3倍以上」です。
まあ、それはどうでもいいことですが。

広告屋時代、私はきっと毎日浮かない顔をしていたと思います。
クライアントに打合せに行き、理屈の分からない担当者と話し、
売上と利益額を最優先にする代理店の営業と交渉し、
その間の空いた時間でコピーをシャシャッと書く日常。

楽しみは、移動時間に楽しむ読書くらいでした。
儲かっている時は愉快なのですが、赤字になると最悪。
毎月何百万円ものお金が消えていきます。
それは、きっと浮かない顔をしているでしょうね。

あのまま50歳になっていたら、きっと今よりも
ひどい顔になっていたことでしょう。
まあ、今でもこの程度ですから酷いと言えば酷いのですが(笑)。
また、ストレスが多いので病気になっていたかもしれませんね。

何よりも「ウソ」を書かなくていいのが助かります。
仕事とはいえ、みなさんの誤解の元を提供して
お金をいただくことには少し心が痛んでいました。
今は、その逆。いたって伸びやかに仕事が出来ています。

考えてみれば、広告屋時代とは真逆のベクトルでモノを書いています。
あの頃は、不出来なマンションでもひたすら「いいですよ」。
今はダメなマンションには「ダメ」。いい物件には「買っていいですよ」。
どちらが精神衛生上よろしいかといえば、当然後者。
さらに言えば、理屈に合わないことを平気でのたまう
不動産屋さんたちのご意向を伺わなくてもよくなりました。
私立文系の代理店営業に、理屈を説明する必要もありません。
あのストレスからの解放は、何よりもこの仕事に変わっての収穫です。

さて、資産価値レポートの更新情報です。
今回は「大阪市のタワーマンション」。
前回更新した2月時点の顔ぶれがあまり変わりません。
ただ、今回から登場した中之島のタワーは場所が面白いですね。
戸数も半端なく多いので価格政策が注目。
まだ分からないので、レポート内では私の相場観を書きました。

大阪のタワーマンション
価格 5,290

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6月29日の月曜日に、中央区の産業会館で
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2015/6/1 15:46 Comments (2)

2 Comments

まろたんさん、こんばんは。

私のように実名をさらして斯様な戯言を書き続けているのは
まさに「恥さらし」もいいところなのでしょうね。
自分でもよく分っているつもりです。
まあしかし、能無しの私には他に稼ぐ手段を知りません。
と、最強の言い訳。

この歳になってよく考えます。
「私には他に何ができただろう?」
色々できた気もするし、だめだったかもしれない、とも思います。

しかし、いくつかいえること。
真面目に一つのことを長くやるほど根気がありません。
世間をバカにしているので、何事も一生懸命やりません。本気出しません。
朝早く起きて満員電車に乗るのが大嫌いです。
自分よりおバカな上司や客の前でヘイコラし続けるのには耐えられません。
しかも、お金儲けは下手です。強欲でもありません。

まあ、こうやって並べると言い訳ばかり(笑)。
結局、今のようにテキトーに喋くり、書きまくって生きていられるのは
私にとってはよかったのかと思わずにいられませんね。
ビジネスマンとしては平均以上であっても、飛び抜けてはいませんから。

私は、つまるところ竹光でチャンバラしながら生きているわけで
とても文章の「真剣勝負」なんてレベルではなさそうですね。

涼しくなった宵は、お湯割りで神様と話しながら眠気を待ちます。

ごきげんよう。 榊淳司

2015/06/01 23:30 | by Sakaki Atsushi

榊さま。

「文は人なり」と申します。

御意。しからば、
文筆で身を立てるからには、それなりの覚悟がいる、
ということでしょう。

と、大上段の構え。
以上は、すべからく「覚悟の上」を必死とした、戦前のお話し。
戦後は如何と?
誰かれの言をまつまでもなく、榊さまも御覧のとおり。

5年か10年か、昔のこと。
或る六〇がらみのオナゴが、新聞で書かれていたエッセイ。

このオナゴさん、或る分野で「それなりの」活躍をされて来たご婦人。
で、齢六〇に達したとき、或る出版社から言われたそうで。
「そろそろ集大成、ご本を書かれませんか?」と。

このオナゴさん、その場でバッサリ、お断りなさったそうです。
ええ、なんで?
ですよね。まあ、おおかた。

このオナゴさん、書かれるには。
「わたくしが、この世から消えた後も、書き物が残る。
そんな恥ずかしいことは出来ません。死に切れません」からと。
おお。やまとなでしこ。おお。

ま、お考え、いろいろですからね。

「文は人なり」

男もオナゴも、武道で言えば、真っ赤な血しぶき、
血したたる「真剣勝負」でしょうか。

6月ですね。
梅雨入りは、まもなくでしょうか。

ごきげんよう。

2015/06/01 21:04 | by まろたん

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