本当は脆弱な東京のマンション市場

昨日(金曜)の夕べは、3カ所からの飲みの誘いを断って、
真面目に有料相談者のご質問にお答えしていました。
そのお方、たまさかお医者さんだったので、ついでに医療相談。
身近な不安を解消できたのでラッキー。

しかし、多くの人が「潮目」をいつかと気にしています。
今の都心不動産バブルがいつ頂点を迎えるのか、ということ。
私のような50代ウォッチャーは、過去2回のバブルを経験済み。
だんだん、バブルの規模は小さくなってきています。
今回は「ヒエー、そんな」と叫ぶくらいの無茶価格の取引は少な目。
まあ、これからは分りませんけどね。

前回の「不動産ミニバブル(別称ファンドバブル)」の時には
あの平成バブルを思い出した40代プレイヤーが「もっと上がる」と
イケイケドンドンの鐘を鳴らしていました。
しかし、今回はリーマンショックを30代で経験した
40代プレイヤーが、おっかなびっくりに構えています。

週刊誌系のメディアもいち早く「暴落」予言特集を組んでいます。
そのほとんどに私がコメントを提供 (笑)。
プレイヤーたちの心にも「いつが潮目か」とハラハラドキドキ感。
でも、実際のところいつ終わるのでしょう?

何度も同じことを書きますが、以下が私の見解。

1 何かのキッカケがあれば、この局地バブルは短期に弾ける
キッカケとは「ギリシャのデフォルト」」「中国のバブル崩壊」「アメリカの利上げ」などのサプライズです。

2 2016年は「賃貸の危機」
東京都心の賃貸市場は供給過剰のダブダブ状態。これが2016年には急速に加速します。ただAirbnbという変則要素はあります。

3 2017年4月の消費増税
これ、本当に10%になるのかちょっと怪しい感じです。でも10%になると確実に景気後退。不動産取引も萎むでしょう。

このあとにも「2018年の黒田日銀総裁交代」とか
「2019年の世帯数の減少開始・空家率発表」が続き
「2020年オリンピック終了&東京の人口減少開始」と、
不動産価格にとってはアゲインストの予定がびっしり。
まあ、安倍君の政権がいつまで続くかということも関わりますね。

この他にも、今回のバブルは中華系のプレイヤーが多数参加しているので
「中華系投資家の一斉逃避」という変則事態も予想できます。
これは、国際的な事件や事故がトリガーになりそうですね。
上海の株式市場も予断を許さなくなりました。

しかし、東京都心の不動産市場はすっかり国際化しましたね。
かつて、アメリカの金利までこの市場に影響を与えたことがあったでしょうか?
マンションの価格変動を考える場合に、上海や香港、シンガポールの
不動産市場まで視野に入れる必要はなかったはずです。
今は違います。東京のマンション市場は「国際化」したのです(笑)。

アハハハハ、と言いたくなりますね。
私に言わせれば、かなり脆弱なマーケットですよ。
足元の賃貸市場はダブダブのユルユルですよ。供給過剰。
「AD7」なんてのが珍しくなくなっています。

少し解説します。
賃貸住宅の大家さんは、かつて不動産屋に「手数料」を払いませんでした。
今は「広告料」という名目で、賃貸付けの仲介業者に報酬を払います。
昔は1か月が普通。ちょっと前は2か月。今は3-4か月。
「フリーレント」という習慣はオフィスから始まりました。
今は賃貸マンションでも普通。公社やURでも出てきました。

そんなこんなで、大家さんは借り手を探すのに家賃の
7か月分くらいのコストを強いられています。これが「AD7」。
業界では大家さんが払う「広告料」を「AD」といいます。
フリーレントは「FR」ですが、広義でADに含めます。

東京の賃貸住宅マーケットは、大家さんが「AD7」にしないと、
短期間で借り手を見つけられない状態になっているのです。
こんな脆弱な市場に、中華系の個人投資家はお金を注ぎ込んでいます。
まあ、仕方ありませんね。それでも表面的な魅力があるのです。
もし、うまく借り手が見つかれば4%から6%程度で回ります。

今、世界で安定的に4%以上の利回りを取れる金融商品は希少。
怪しげなものならいくらでもありますが、安定的なものはありません。
「東京の不動産」は東アジアの投資家から見ればブランドです。
そこで4%以上の利回りが見込めるのであれば、投資するでしょう。
でも、賃貸市場の現実は「AD7」。「4%」はマボロシです。

世の中、理屈通りには動きません。
「合成の誤謬」なんていうのもありますね。
不動産も含めて「モノの価格」は基本的に「需要と供給」の関係で決まる、
というのが経済学の原則。これに異を唱える方はいないでしょう。
しかし、人々は時に幻影に惑わされた購買行動に走ります。

「オリンピックが開催される2020年まで東京の不動産価格は上昇」
これは、はっきりいって「幻想」です。
オリンピックは住宅の需要を増やしません。
なぜなら、オリンピックによって人口も世帯数も増えないから。

でも、東京という街は元気になるでしょう。
ただ、オリンピックとパラリンピックは数十日で終わります。
始まることよりも、終わった後を考えましょう。
東京という街に未来はあるでしょうか?

今、東京の不動産マーケットは「世界」の影響を受けています。
多分、これからも「国際化」は深化するでしょう。
市場環境が不透明なので、思惑で変動しがちな市場であることも確か。
しかし「供給過剰」という現実は、いつか顕在化します
「王様は裸だ」と世界が気づいたら・・・・
そういうことは、ここ20年以内に確実に起こります。
早ければここ数か月、あるいは数年の内です。

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今回も、うんとミニサイズで行うことになりそうです。

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いつものとおり、ゆったりとやることになりそうです。

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2015/6/27 1:55 Comments (2)

2 Comments

まろたんさん、こんばんは。

確かに、世の中は圧倒的に貧困者が多いですね。
でも、私のところに相談に見える方は富裕層ばかり。
「貧乏人って、どこにいるの?」という感じです。
でも、サイレントマジョリティーなのでしょうね。

現在、返済期間20年以上の住宅ローンを抱えている人は
かなりの確率で貧しき老後を送ることになりそうですね。
よほどの都心でもない限り、20年後の不動産は今の半分以下。
ローンを完済した頃には築数十年のマイホームが残るだけ。
売れない、貸せない、資産です。
特に郊外やニュータウン、埋立地が危険。

そのうち、そういったダメ不動産を活用する
貧困ビジネスが生まれないものかとわるだくみ中(笑)。

今回の労働者派遣法の改悪で、
今後は正社員比率がますます低下しますね。
そして、40代以上で正社員の地位を失った人は
貧困まっしぐら。

退職金や年金も無理ですから、それは大変。
30年後の70代自殺率は韓国並みになったりして。
あなおそろしや。

まあ、そんな未来の地獄絵は一昨日に置いておいて
今日もお神酒を楽しんで寝ます。

では、ごきげんよう。 榊淳司

2015/06/28 19:42 | by Sakaki Atsushi

榊さま。

今日午前中、或る会合に出席し、二時間。ヘトヘトですわ。
きょうび、ニンゲンは疲れる。

さて。
きょうび、いわゆる「貧困ビジネス」の花盛り。
これから、ますますこの路線でマーケティングされ、
そう遠くない将来には「貧困ビジネス」ばっかしになるかと。

日本は、高齢者であふれ返るようになります。
東京・首都圏も例外でないどころか、高齢者の増加数・率ともに、
日本でトップになる日が近い。

団塊世代がダンゴ状態で、そっくり持ち上がるからです。
その数、団塊だけで700万人、前後の2年を含めると、
かるーく、一千万人は超えます!

高齢者は、貧困率が大きく、人数も膨大です。
これら階層がマーケティングされ「貧困ビジネス」のお客さまに。(笑)
貧困層に限らず高齢者は「貧困ビジネス」の優良顧客ですわ。(笑)
更に、若者・中年層も貧困化して、相当のボリュームになるでしょう。
こんなカモを見逃していては「あきんど」とは言えません。

高齢化率が、まもなく3割。
20-30年後は、な、なんと4割ですとお~!(笑)

ま、まとまりませんが。まとめる気も、おまへんが。

ごきげんよう。

2015/06/27 19:22 | by まろたん

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