年収600万円を救う生産緑地法終了

某メディアから「生産緑地法終了について」原稿を書け、
という依頼があって1本書かせていただきました。
しかしまあ、本当にあれが終わったら大変ですね。
私の十八番じゃないけれど、大暴落ですよ。
都心近郊まで暴落ラインが一気に迫ってきます。

でもまあ、「いきなり」ということはないはず。
何らかの延長策は採られるはずですから。
ただ、生産緑地はいずれなくなりますね。
そもそも後継者の問題があるでしょうから。
生産緑地は遠からずマンションや戸建てに変わるでしょう。
不動産価格には強力な下落圧力となります。

それで、もっともワリを食うのは誰でしょうね。
私の独断と偏見では、湾岸埋め立て地のタワーマンションを
35年ローンで購入したお方たちではないでしょうか。
世田谷や杉並の交通インフラが整った住宅地の価格が、
普通のサラリーマンでも買えるところまで落ちたら、
いったい誰があの荒涼とした埋立地を選ぶでしょう。
地震がくれば液状化して地下からベンゼンが
吹き上げるかもしれないところですよ。
もう、アソコを買うのは好きな人だけ、ということになります。
そうなれば、半分は中国人でしょうか。
今でも豊洲のららぽーとでは北京語が飛び交っていますが。
このままチャイニーズタウン化へまっしぐら、かもしれません。

東京都の人口は2025年から減り始めるそうです。
世帯数は2030年頃までは増え続けるとか。
今でも街を歩いていて飽和感がありますね。
木造アパートなんて空室だらけではないですか。
神田あたりを歩いていると雑居ビルも空室だらけ。
眼の色変えて開発を行う時代ではないのです。

日本の景気は悪くありません。完全雇用も実現。
しかし、貧困問題は厳然と存在します。
何なのでしょうね、このギャップ。
「週刊SPA!」という雑誌から、時々コメントを求められます。
すると掲載誌を送ってくれます。貧困の特集とか・・
痛々しい人々の話がリアルに出ていますね。

私のところにマンション購入や売却のご相談に見える方は、
だいたいが人生の成功者です。負け組は皆無。
彼ら彼女らを見ていると「日本は景気いいなあ」と思います。
また、みなさん人物が光り輝いています。
スペシャリティもお持ちです。約2割がMDだったりします。

しかしSPAに出てくる貧困の世界もまた現実。
ちょっと前に書きましたが、東京で暮らしていると
年収600万円でも貧困のクラスタに入ってしまいます。
特に住宅ローンを抱えると、もうアウトですね。

今でもちょっと郊外に行くと1千万円くらいで
中古住宅が買えるのに、どうしてみなさんギリギリの
選択をなさるのでしょうか。私には理解不能。
年収600万円のお方が1000万円の住宅を買えば楽勝。
伸び伸びと暮らせるはずです。

「年収は住むところ決まる」なんて言います。
実は私、その考えにはある程度賛同しています。
しかし、それは一定レベル以上の能力と度胸のある人。
一生会社にしがみつくタイプのサラリーマンには
そういうテーゼは当てはまりません。

サラリーマンは収入が安定していますが、それだけ。
努力しても収入が伸びるなんてことはほとんどなし。
であれば、出ていくお金をコントロールすれば、
それだけ豊かな生活が実現します。
サラリーマンがギリギリの住まいを選ぶのは見栄でしょ。

東京のような街に暮らすと、いちばんの出費は住居費。
しかし、今は昔と違います。安くあげられるのです。
20年前、普通のサラリーマンは千葉の四街道あたり
までいかないと普通の家が買えませんでした。
しかし、今なら船橋のバス便なら1500万円の
予算で戸建てが買えたりします。
稲毛のバス便なら数百万円でも選択肢があります。

でも、年収600万円の人はそういう住宅を買いませんね。
なぜか「自分は恵まれている」と思うわけです。
確かに、給与所得者の平均年収は400万円台。
そこよりもちょっとだけいいのですよ、600万円は。
だからといって、東京では低所得者でしかありません。

30年前に私がサラリーマンをしていた時の年収は300万円。
その時には「600万円なんてすごい」と思いました。
物価水準は今と変わりません。むしろ今の方が安いくらい。
でも、私は独り者でしたから300万円でも暮らせました。

しかし、結婚して子どもを作るとなると300万円では無理。
600万円でも一人の中学受験がギリギリですね。
奥さんがパートに出てもらわなければいけません。
傍で見ていると大変そうです。

なのに、家計を切り詰めてギリギリの住宅を買います。
マイホームの価格も、いつもサラリーマンのギリギリ水準に
設定されているのです。ご存じでしたか?
年収600万円で何とか買える水準は、昔は3500万円。
今は4800万円くらいでしょうか。ほんとギリギリ。

しかし生産緑地法が終了すると、住まい選びの風景は
かなり変わってくる可能性があります。
世田谷は無理でしょうけど、練馬区や北区なら
3000万円台で普通の戸建てが買えるようになります。
私が普通の戸建てというのは、敷地が30坪以上です。
マンションなら2900万円もあり得ますね。
中古住宅ならその2,3割安。
年収600万円の方でも何とかなるでしょう。
まあ、金利次第ということもありますが。

湾岸エリアには生産緑地など皆無ですが、
近郊の不動産価格下落の影響をもろに受けます。
ただでさえ五輪後は「祭りの後」の寂寥感が漂うでしょう。
それで地震でも来ればスリーアウトです。
チェンジの次は人口が増加に転じるまでありません。
何十年も先か、二度と来ないか。
どちらにしろ生産緑地法の終了はメガトン級の暴落爆弾ですね。

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2017/8/18 0:10 Comments (2)

2 Comments

まろたんさん、こんにちは。

東京に暮らしていると、中々底辺の方々と
接触する機会がありません。
貧困が刻まれた「険しい顔」のトシヨリ・・・
なんてのには近づきたくありませんね(笑)。

時々、方々の区会議員の集会に呼ばれることがあって、
顔を出すとそういうお方らしきを見かけますね。
底辺に暮らしているけど、
自己の存在だけは確認したい、みたいな。
そういうお方も自己アピールはしたいようで。

エラそうなことは言えませんが、
お金の稼ぎ方は様々です。
「給料でもらう」というのがいちばん稚拙。
収入を増やす道は「給料が上がる」しかありません。
ゴマをするか、実績を上げるか、
奴隷のように長時間働くか・・・
どれも自由を売り渡すことです。

アル中さんは確かに奇特なお方ですね。
こんなやりとりをモニターくださるとは。
トスカ兄さんでしたっけ、どうぞご参加ください。

こちらは午前中晴れましたが今は曇り。
夏らしいような、そうでないような。

それではまた ごきげんよう 榊淳司

2017/08/18 14:01 | by Sakaki Atsushi

榊さま。

「貧困」は人類永遠のテーマですね。
「貧困の連鎖」もまた永遠のテーマでしょう。

しかしインフラは整い物は溢れかえっている日本。
黄金の国・ジパング、なのに片や貧困。

底辺のタミは底辺の仕事に就きます。安い賃金で。
この状態で何十年も生きて来ると顔に出ます。
当地でも見かけますわ。
貧困が刻まれた「険しい顔」のトシヨリを。

どんな人生であったのか知る由もありませんが、
多少は人生のほろ苦さを知った68の小生、
うーん、であります。
思いさまざま交錯し、ただただ、うーん、であります。

終わり良ければ、すべてよし、と。
ワカモンならば、そのうちイイコトがあるよ、
とエールを送れますが、トシヨリには明日がない。
厳しいよなあ。過酷であります。
心掛け次第で・・・うーん、どうでしょうか。

思いっ切り暗くなったところで〆ますわ。
さて。
前回のブログの「アル中」さんの書き込み。
榊さまと私のキャッチボールを読んでおられると。
奇特な御仁であります。(笑)

ごきげんよう。

2017/08/18 07:07 | by まろたん

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