参議院選挙の投票が近づいてきましたね。
それに、もうすぐ夏休みです。
こういうとき、人はあまり大きな買い物のことを考えないものです。
そこで、ちょっとムダ話をさせていただきます。
今、「坂本龍馬」が大変な人気ですね。
そもそも竜馬にスポットを当てたのは司馬遼太郎さんです。
NHKの「龍馬伝」の原作ではありませんが、
司馬さんの「竜馬がゆく」という作品は、
2005年の時点で累計2000万部以上売れたそうです。
その他もろもろ、あの膨大な作品を全部あわせたら
2億冊以上の「司馬作品」が日本人に読まれたのでしょうね。
まさに「国民作家」と呼ぶべき存在です。
かくなる私も、ほとんどの作品を読んでいます。
密かに「司馬フリーク」を自称していますが、
まあそんな人は日本に何十万人もいそうなので、
それだけの話題で語る必要はないと思っています。
さて、今日の無駄話の本題は、
司馬遼太郎さんの作品と、日本の総理大臣の関係。
実は、司馬さんは歴代の総理大臣にすごく影響を与えています。
でも、司馬さんが晩年に最も心配した問題は、
日本の土地問題だったのです。
そして、彼はこれについても実は、
自分の考えを総理経験者に伝えていたのですね。
まず、現職の菅直人さんの場合。
この方のプロフィールに司馬さんの作品は、はっきりと出ていません。
でも、ほぼ確実に影響しているのではないかと想像できます。
まず、息子の名前が「源太郎」。
これは、日露戦争時の陸軍参謀総長・児玉源太郎の名を取ったそうです。
いうまでもなく、児玉は「坂の上の雲」の準主役級。
去年のNHKでは高橋英樹が演じていましたね。
ドイツ陸軍の名参謀・メッケルをして
「児玉がいる限り、日本は負けない」と言わしめた人物。
そして、今回の「奇兵隊内閣」。
あの顔ぶれのどこが「奇兵隊」なのかは分からないけれど、
菅氏が強烈に「高杉晋作」を意識していることは間違いなさそうです。
もちろん、高杉は「世に棲む日々」という司馬作品で
魅力あふれる革命家として描かれています。
まあ、菅氏と「同郷」ということは十分にあるのでしょうが。
「坂の上の雲」といえば、古くは中曽根元総理。
えらくこの作品がお気に入りで、何度も読まれたとか。
ご自身も戦争中は短期現役の「帝国海軍主計中尉」で
終戦時にポツダム「少佐」にご昇進。
それを生涯の自慢の一つになさっていました。
おっと・・・まだご存命でしたね。
ちょっと気取り屋の元総理・橋本龍太郎のお気に入りは、
「峠」の河井継之助や大久保利通を上げるが、
やっぱり一番は「坂の上の雲」。そして秋山兄弟。
何だかこの人、アクが強いけれど、情も深そうでしたから。
総理前職の鳩山兄さんは「竜馬がゆく」がお気に入りだとか。
弟の方も先日、「竜馬の役を果たす」とかなんとかいって、
自民党を離党した挙句、とちってましたね。
古いところでは、元首相の故小渕恵三氏も竜馬が大好きだったようです。
娘の小渕優子代議士は、司馬さんとはほぼ縁がなさそうですが。
司馬さんの作品ではもっとも人気が高いせいか、
どういうわけか「竜馬」になりたがる人が多いようです。
武田鉄也なんて、その典型ですね。
鳩山兄弟にしても、武田鉄也にしても、
竜馬のイメージとはほど遠いのですが(笑)。
「竜馬」や「高杉」を気取りたがる方は多いのですが、
「西郷」や「大久保」、あるいは「木戸(桂)」はいませんね。
戦前だと、頭山満なんて「自分は今西郷」と思い込んでいたそうですが、
戦後のふやけた社会では「西郷ドン」は、流行らないようです。
というか、理解しにくいのでしょうね。
司馬作品では「翔ぶが如く」で西郷が描かれていますが、
いったいこの人物のどういうところが魅力だったのか、
今ひとつ明快に伝わってきませんでした。
私的には、江藤淳の「南洲残影」などというのも読み合わせて、
やっとのこと西郷の人物像が浮かび上がりました。
まあ、今の日本ではとても出てこないタイプの人格でしょう。
その昔、鹿児島に「西郷吉之助」なる直系の参議院議員がいたそうですが。
かくも有力政治家に人気があった司馬遼太郎氏。
お亡くなりになったのは1996年。
あの凄まじい「平成バブル」を目の当たりにしてこの国を憂い、
晩年は盛んに「土地公有論」を説いておられました。
天下の公有物とも言える「土地」を、
不動産屋が利得のために手前勝手に売買する愚を、
心の底から憤っておいでのようでした。
そして人を介して宮沢喜一氏にも会って、持論を展開されたとか。
でも、相手がエリート官僚出身の宮沢氏だったせいか、
いまひとつ司馬さんの情熱は伝わらなかったようです。
私は「公有」がいいとは思いません。
逆に、投機の目的になってもよくありません。
「健全な市場価格の形成」が、一番だと思います。
そのためには、いつもの結論。
手前勝手な企業に騙されないように、
買うほうも「賢く」なることです。
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