生き物として最も健全なのは「沖縄人」

それにしても、暑さが和らぎませんね。
連日「これでもか!」とばかりに、陽光がギンギン。
先々週出かけた京都も暑かったけれど、東京も全然負けていません。
その京都・・・四条通という繁華街を車で通り抜けたのですが、
何とシャッターを閉じた店がチラホラ。
「エエッ、四条通もシャッター商店街?」
まだそういうには早いのでしょうが、兆しはありましたね。

京都市というのは、あの規模の割には
地場産業がしっかりしているので、まだマシだと思います。
しかし、いわゆる「支店経済」に頼っている街は、もう目も当てられません。
新潟、福島、郡山、岐阜・・・
関東の身近なところでは前橋、高崎、宇都宮、水戸・・・
そして、その衰退の波はヒタヒタと首都圏の郊外に向かって
押し寄せてきているように思えます。

「人口の自然減」というのは、日本の歴史始まって以来の現象。
当然のように、今、日本中で「住宅」が余っています。
実は、オフィスも余っています。
不動産全体が、余っているといっていいでしょう。
もちろん、こういった現象もかつてなかったこと。
その割には、この国の不動産業や住宅産業の連中には
危機意識が見られません。
長谷工は相変わらず郊外に大規模なマンションを作っているし
住友不動産はタワーマンションをせっせと計画しています。
そして、ハウスメーカーは住宅展示場にきらびやかな「見本」を飾り、
大東建託やレオパレス、旭化成といった企業は
地主にアパートを建てさせようと、その耳元に口を寄せて
「家賃保証」というワードをちりばめた甘い囁きをおこなっています。

いってみれば、みんな「景気はいずれ回復するだろう」という
あまーい期待を胸に、なんにも体質改善をせず、
事業の基本方針も見直さず、古い体制と考え方のまま
とりあえず今の危機をやり過ごそうとしているのです。

ここで問題です。

 では、景気が回復すれば不動産業や住宅産業は、元気を回復するのでしょうか?
 そもそも、景気は回復するのでしょうか?
 日本の人口減少に、いつか歯止めはかかるのでしょうか?

以下は、私の答え。(但し、私は「榊」であって「神」ではありません)

 景気が回復すれば、少しは元気になるでしょうが、元に戻ることはあり得ません。なぜなら、総需要量が減り続けるからです。

 現状、企業業績は回復しつつあります。しかし、円高などで株価は低迷したまま。おまけに、左翼出身者が中心の菅政権は経済オンチ。つまり、国内要因で景気が回復することは期待薄。アメリカ、中国、新興国の景気回復頼みといったところです。

 人口減少に歯止めをかけるのは、今のところ無理だと思います。

で、今日のテーマは「なぜ、人口が減るのか」。

榊らしく、最も根源的なところから始めましょう。
何度か書いたとおり、人間という生き物はサルの亜種です。
亜種といってもサルには違いなく、生き物としての本能は備えています。
その本能の基本的なところは「種の保存」もしくは「発展」。
社会的な言葉に直すと「子孫繁栄」でしょうか。
要は、「子どもをたくさん作って自分の遺伝子をできるだけ多く残そう」という
本能を誰しもが備えているワケです。
当然、日本人もこの「子孫繁栄」をめざす本能を持っているはずです。

ところが、最近の日本人には、この「本能」を無くしてしまったのか、
または無理に抑制しているのか、
はたまた逆の志向に陥っている人が多いですね。
整理すると、つぎの3パターン。
.「子どもを欲しいとは思わないとする人」
.「子どもは欲しいけれど、育てるのが大変だから作らないと考える人」
.「子どもなんか大嫌い。自分の遺伝子は残したくないという人」

の人は、結婚相手が「欲しい」といえばそれに従い、
できてしまってから大喜びすることも多いので、ここではスルーします。
もっとも、結婚という行為自体をしない人も多いのですが・・・
の方も、本人がそう考えるのなら致し方ないので、これもスルー。
特に、都会に住んでいる人に多いのがのパターン。
簡単に言えば「金がかかる」「競争社会に生きるのは大変」だから、
本当は欲しいのだけれど作らない。
または、2人以上欲しいけれどひとりでガマンみたいな・・・

合計特殊出生率(一人の女性が生涯産む子どもの数)を
都道府県別に見ると東京が最低で、最高の沖縄の約半分です。
これは「お金」と「競争」が大きな要因だと思います。
その東京の中で、最も出生率が高いのは「江戸川区」。
なぜでしょう?
それは、行政(江戸川区)の育児へのサポートがかなり手厚く、
また様々な支援システムも整っているからです。

では、江戸川区のように、子育て環境のハードとソフトを整えれば、
女性がたくさん子どもを産んでくれるようになるのか、
というとその答えは幾分イエスで、大半はノーでしょう。
なぜなら、江戸川区の出生率は東京23区の中では高くても、
せいぜい全国平均をちょっと上回るくらい。
目標の「2.0」に近い沖縄県に及ぶべくもありません。
それに「沖縄県の育児サポートが全国一手厚い」なんて話も聞きません。

では、なぜ沖縄の出生率は高いのでしょう?
それはつまり「気持」の問題だと思います。
沖縄には何事もおおらかで、優しい人が多いですね。
それに南国らしく「なんとかなるさ」という感じで生きている人も多そうです。
東京に住んでいる沖縄出身者は違うようですが・・・

東京と沖縄・・・同じ日本ですから公教育の制度は同じ。
物価は沖縄の方が若干安いでしょうが、大幅に違うことはないはずです。
なのに、出生率は2倍近く違うのはなぜでしょう?
その原因は、東京の人間に心の「ゆとり」がないからだと思います。

我々は、競争社会に生きています。
それ自体がいけないとは思いません。
子どもをいい学校に入れようと思ったら、お金がかかります。
いい学校を卒業して社会に出ると、さらに厳しい競争が待っています。
「他人よりたくさんお金を稼いだり」
「他人よりエラくみえる肩書きを持ったり」
「他人よりスゴイと思われる何かをする」ためには、
ある程度競争を勝ち抜かなければなりません。
でも、だからといって、今の日本では「そんなものどうでもいい」という
価値観をもって生きることも可能です。

人間というのは、長く生きても所詮100年。
どんなにお金があっても、高い地位についても、
スゴイことをやってのけても・・・よく生きて100年。
そして、生きるために必要な健康も幸せも、お金だけで購えるわけではなく、
また、エラくなったからといって漏れなく付いてくるものでもなく、
もちろん、名誉名声があるから得られるものでもありません。

沖縄の方は「金・地位・名誉」という、競争社会の「ニンジン」を
東京の人間ほど「欲しい」とか「必要」と思っていないのかもしれません。
つまり子育てに関わる「お金」や「競争」を
東京人ほど深刻に受け止めていないから、子どもをたくさん作れるのです。
その結果、日本国内でダントツの出生率につながっていると想像できます。

私は、単純に「子どもをたくさん生むのがいい」とは思いません。
ただ、今の大方の日本人、特に大都市とその周辺に住んでいる人々は、
生き物が本来持っている「種の繁栄」という本能が、
不健康なカタチで減退しているのだと思います。
つまり、日本の都会人は生き物として
かなり不健全な状態(気持ち)に陥っているのです。
人間はやはり、自分たちよりも多くの子どもを作り、
育てようとする意欲をもってこそ、
生き物としては健全なのではないでしょうか?

しかしこのちょっと困った状況は、今後ますます強まっていくと思います。
これを改善するには
江戸川区やフランスのように「ハードとソフトを整える」
だけでなく、やはり最後は「気持」の問題です。
みんながみんな「競争」に背を向けてしまえば、
かつてのソ連圏が辿った衰退への道と同じ。
「競争」は必要だけれども、それ以外の価値観も否認しないで、
お互いに認め合う社会をつくることが必要であり、
今の日本はそうなりつつあると思います。
あとは、一人ひとりの心の中の問題です。

ここで、話を「住まい」に戻しましょう。
日本人にとって、長らく「家」というものは「人生の象徴」でした。
成功の証(あかし)、ともいえるし、その逆でもあります。
だから、いい場所に、広くて、ピカピカにカッコイイ家を建てて住む。
あるいは、誰もが見上げるようなタワーで、世間を見下ろしながら暮らす・・・
といったことが、競争社会を勝ち抜いた人の「成功の証」になっています。
まあ、確かにそういう面もあって、それもいいことです。
タワーマンションは別として、
広尾あたりの豪邸なら私も住んでみたいと思います。
でも、だからといって自動的に「幸せ」を手に入れられたり、
100年を生きる「健康」な身体に生まれ変わったりはしません。
タワーマンションなんか、健康面ではその逆ではないかと思えるほどです。

「年収200万円からのマイホーム戦略」という本を書いているとき、
様々な「家のカタチ」を取材させていただきました。
どちらかといえば、低予算で買われたり、リノベーションをされた家です。
これは前にも書きましたが、みなさんとても幸せそうでした。
彼らは「ピカピカの豪邸」や「タワーマンション」という、
凝り固まった観念からとっくに抜け出して、
実にのびのびと自分たちが「幸せになれる家」を、
世間の常識からするとかなりの「低予算」でゲットされていたのです。
なぜ、そんなことができたのか、というと、
彼らは「自由な発想」と「固定観念に囚われない価値観」を
家づくり、家探しを通して獲得されていたからです。

先ほど、日本の出生率を上げるためにはハードやソフトの他に
「気持が大切」と書かせていただきました。
「出費」や「競争」を恐れて子どもを作らない方と、
「ピカピカの豪邸」や「タワーマンション」が成功の証と考えて、
そこを目指して日々をアクセクとゆとりなく過ごされている方は、
幾分似ているのかな、と思ったりします。
つまり、自由な発想や価値観を持てず、
他人の決めたワクの中でもがいている・・・

この前のミニバブルのときに踊っていた東京のマンションデベが
調子に乗って大量にリゾートマンションを作ろうとしていた地域は、
この前ご紹介した「熱海」の他に、もうひとつあります。
それは、他ならぬ「沖縄」です。
そして、それらのマンションデベはほとんど倒産したか、その予備軍です。
沖縄の方で、彼らの作ったマンションを買う方など、
ほとんどいなかったと思います。
首都圏と変わらない価格のマンションをありがたがって買うほど、
沖縄人の心は不健康ではないと私は希望的に推測していました。
もちろん、資金力の有無が最大の理由ではあるのでしょうが・・・
でも、私から見ると、生き物としては東京人よりもかなり健全な沖縄人は、
東京資本が作るリゾートマンションに相当の違和感を覚えたと想像します。

さて、私が「幸せな住まい」とは何かを語らせていただく
セミナーを9月12日の日曜日に開催いたしますが、
お席にはまだまだゆとりがあります。

どうぞ、コチラから内容をお確かめの上、お申込みください。
参加費2500円で、「買ってはいけないタワーマンション」付。
希望者には、その場で「無料相談」も実施したします。


2010/8/16 20:38 Comments (1)

1件のコメント

子供の数が多い生き物は途中で淘汰される率が高い種類だと思います。種全体として十分な数が生き残れるなら余分な子供は作らないようになるでしょう。種の中での生存競争が無駄に厳しくなりますから。それとは別に、沖縄から米軍基地がなくなるとなったら出生率も変わるような気がしますが…。

賃貸に住んでいて家賃も遅れずに入れていましたが、この数ヶ月は家賃保証されていたはずのオーナーに渡っておらず、集金していた管理会社は倒産と。不動産業界は子沢山が続くでしょうね。

2010/08/17 01:09 | by Que

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