「和をもって貴しとなす」というのは、
聖徳太子の17条憲法にもあるフレーズ。
相手と異なる主張はあえて表に出さず、
なるべく争いが起きないようにしようとするのは日本人の特長。
例えば、韓国が不法占拠している竹島について
日本の外務省が抗議をするのは年に1回だけだそうです。
それじゃあいつまでたっても解決しませんね。
こういう「相手がうるさいから黙っておこう」というスタンスは、
日本の社会の中で「声高に主張した者勝ち」という風潮を生んでいます。
つまり、ギャーギャーと騒いだ方が有利になるのです。
まあ、騒いだ側の主張が正しければ問題はないのですが、
そうではない場合はただの「ゴネ得」を許しているだけです。
世間ではひどく好イメージを持たれている東京ディズニーランド(TDL)ですが、
不動産広告の世界から見ると、彼らはかなり傲慢です。
というのは、まずTDLの建物が映っている写真を
広告上で使うなというのです。
園内で撮った写真ではありません。外観もダメだというのです。
空から取った写真に、TDLが写っているのもダメ。
だから、広告の中で浦安近辺の航空写真を使う時は
かなり気を使わなければなりません。
また、広告上の地図の中に「東京ディズニーランド」という
文字を落とすことさえ拒否しているそうです。
なぜそういうことをするのか・・・・
私は聞いたことが無いので、どのような理由なのかは知りません。
マンションの広告では、周辺の環境を説明するために
学校や病院、スーパーなどの写真を掲載することは日常茶飯事。
それらの管理者に掲載の許可を求める場合がありますが、
まず断られることはありません。
ところが、TDLは絶対にダメ。
無断で載せようものなら、かなりどぎつく抗議されるそうです。
さて、そもそも施設や建物の写真を印刷物やネットに掲載するのに、
そこの管理者の許諾は必要なのでしょうか?
またTDLのように、航空写真で写ってしまうことまで拒否する
法的な根拠はあるのでしょうか?
私が理解する限り、答えはノーです。
TDLの写真を、マンションの広告に使ったところで
どのような法律に触れることもないはずです。
強いて言うならば、TDLが建物の外観や空からの写真を
広告に掲載されたことで損害を被った場合、
民事上の賠償責任が生じる・・・くらいでしょうか。
しかし、もしTDLがそれでもって訴訟を起こした場合、
その広告によってどのような損害がいくら生じたかという
因果関係と損害額の算出根拠をキッチリと立証しなければいけないのです。
そんなこと、ほぼ不可能です。
だいたい、写真を載せられたからといって
TDL側に何かの損害が発生するとは考えられません。
著作権法上の問題があるのでは、とお考えになる方もいるでしょう。
実は、そんなものは何もありません。
私は著作権法を隅から隅まで何回か読んだことがありますが、
それに相当する条文はついぞ見つけられませんでした。
地図に乗せたり、写真を使っただけで商標権を侵害することもありません。
勝手にロゴマークを使用するのはよくないでしょうが。
つまり、TDLは法的な根拠が何もないのに、
他社の広告上で写真を載せられたり
地図に名称を落とされることを拒否しているのです。
不思議ですね。
広告を出す方も、TDLがウルサイからといって唯々諾々と従っています。
そんなの、無視すればよいのに・・・・
うるさく抗議してくれば
「どうぞ、どこへでも訴えてください」
といってやればいいだけの話。
警察も裁判所も相手にしないでしょう。
同じようなことをやっているのが、鎌倉の有名寺院や神社。
こちらの方は少々浅ましく、写真を広告に乗せる場合はお金を要求します。
その、名目は「お布施」だそうです。
「写真使用料」なら収益事業となって税金がかかりますが
「お布施」なら宗教活動なので無税・・・だからでしょう。
アホみたいな話です。
そんな、無視して勝手に掲載すればいいのに、
と私はいつも思っていました。
ゼネコンや設計会社、広告代理店には山のように理不尽を強いる
マンションデベロッパーも、外からちょっと抗議されるとすぐに腰砕け。
なんでも「ご無理ごもっとも」になっているのが不思議。
まあ、単純に連中は「強きに弱く、弱きに強い」そこいらの
つまらないサラリーマンの集団ですからね。
ちょっとでもトラブルになりそうなことは何でも避けようとします。
TDLも鎌倉の寺社仏閣も、いってみれば公共的な存在です。
自らの施設や建物の写真を広告その他で使われるのは当然。
それに対して、根拠なき抗議を行ったり金銭を要求するのは
それこそ自らの公共性を否定する行為だと思います。
また、それを「ゴネ得」にしている側の姿勢にも、大いに問題があります。
まあ、業界の知的レベルはさほど高くないので、ほとんどの人が
「法的根拠がない」という事実を単純に知らないだけかもしれませんが。
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