不動産経済研究所が発表した2012年の首都圏のマンション供給は
今年よりもかなり増えて53000戸だそうです。
震災の影響で後ズレになった物件が多く、前年比17.6%増。
こりゃあ、来年も忙しくなりそうですね。
何でも大規模物件よりも100戸未満が多くなるとか。
それ自体はいいことだと思いますよ。
この53000戸というのはどういう数字かというと・・・・
最盛期には9万戸を超えておりました。
つまりは、10年前よりかはちょっと多いくらい。
首都圏の人口を3500万人とすると、660人に1戸という計算。
マンションというのは、ご存じの通り鉄筋コンクリートの建築物。
1度作った限り、そう簡単に壊すことはできません。
特に、区分所有されているマンションの場合、
壊すためには全所有者の同意を得ることが原則。
建替えの場合でも、5分の4の賛成が必要です。
最近、チラホラとこの「建替え」が実現しているケースを見かけます。
例えばブリリア多摩ニュータウンとか、渋谷のセンチュリーフォレスト。
しかし、これらのケースはほとんど、元の区分所有者が持ち出しゼロ。
つまり、建て替えに賛成しさえすれば1年半後に
ピカピカの新しいマンションに住める、という条件なのです。
はっきりいって、そんな条件で建て替えが可能な老朽マンションは
全体の1%もないはずです。
残り99%以上のマンションは建替えができないまま、
年月を経ることでどんどん老朽化します。
そして、首都圏と言う大きなマーケットで考えると
毎年マンションが数万戸ずつ増え続けている、というワケです。
その分、人間の数も増えるのなら問題はありません。
幸いにして、現在のところは増えています。
あと、2,3年は増え続けると予想されています。
でも、その後は首都圏と言えども人口が減り始めます。
現在でも、首都圏の空家率は11%だとされています。
みなさん、自分の身の回りに「空き家」があることを感じませんか?
賃貸マンションの家賃がジリジリ下がっていると思いませんか?
資本主義社会においては、モノの値段は需要と供給の関係で決まります。
空き家が多くなっているから、家賃も下がっているのです。
これは、中古マンションも同じことです。
数年前まで、海浜幕張のパティオスという人気のマンションシリーズは
中古の価格が分譲時からさほど下がっていない状態でした。
ところが今・・・特に震災後はかなり下がってきているように思えます。
さらに、千葉都民エリアともいうべき
東京寄りの市川、浦安、船橋、習志野あたりは、
ここ数年明らかに新築マンションの供給過剰でした。
その結果、中古マンションの資産価値はどんどん低下しています。
京成線マイナー駅の徒歩限界圏(15分程度)になると、
1000万円もだせば75㎡の3LDK が買えてしまいます。
新京成や東武野田線などの支線になると、それはもう惨憺たる状況です。
マイホームを巡る市場環境は、ここ数年で大きく変わりました。
なのに、マンションを供給する側の意識にさほどの変化は見られません。
来年もまた、10年も経てば価値が半減するマンションが
山のように市場に出てくるらしいのです。
そういった物件に対して警告を発する仕事が増えて
ますます、私は忙しくなるワケです。
さて、現在発売中の週刊文春に、
私のコメントを中心に編集された記事が載っています。
みなさん、ぜひお読みになってください。
ちょっと安くなったからといって、
浮かれて湾岸のタワーマンションを買っていいのかどうか・・・
金正日君が逝ってしまったおかげで、
ゲラからは大分短くはなっていますが、
いつになく明解なコメントになっています。
さて、レポートの更新情報です。
駅前タワー対決
「武蔵小杉」 マンション市場を分析
価格 3,960円
武蔵小杉の駅前に新しいタワーマンションが登場しました。
これで2つのタワーがガチンコ対決。
どっちがどっちという大きな差はなさそうなのですが、
ちょっと供給過剰ではないでしょうか?
それに今後、新たな駅近のタワーも出てきそうです。
開発のスピードが速すぎるような気もしますね。
それに、今の価格では長く市場で滞留しそうな・・・・
そうったリスクについて、思うところを書き連ねました。
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