小沢君無罪よりも、もっと深く報道すべきことは?

小沢君が無罪になって、昨日は大騒ぎでした。
有罪とする証拠が不十分だから無罪にせざるを得ない、
というのが実情のようで、何とも腑に落ちない結果です。
まあでも、そんなことはどうでもいいといえばどうでもいい話。
なぜなら、たとえ有罪になっても必ず控訴するだろうし、
鈴木の宗さんみたいに実刑を食らうとはとても思えませんから。

それにしても不思議なのは、小沢君が無罪になったからといって
やれ消費税関連法案の成立が危うくなっただの、
解散が遠のくかもしれないなど、様々な観測が出ていること。
それは目先の話で消費税法案が通る、
通らないは大事かもしれないけれど、
なんかピントがずれているように思えて仕方がないのはなぜ?

まず、消費税率を上げなければ財政がパンクして
社会保障費が賄えない、というのは財務省の描いたストーリー。
でも、5%から7%や8%にして税収は増えるのか?
その昔、3%から5%に上がったとき、
日本経済が途端に沈滞して税収自体は減ったことをお忘れか。
今度だって、そうなることはほぼ確実。
つまり、日本経済が弱って納税者も政府もお金がなくなるワケです。

しかし、財務省は遮二無二消費税増税にこだわっています。
その昔、細川首相だった時代からそう。
あの時、小沢君は消費税増税派だったことを、私はしっかり覚えています。
今、彼が消費税増税に反対なのは、それをやれば
選挙に負けて自分の子分が激減するのが目に見えているから。
このあたり、政治家としての嗅覚は野田君より鋭いのです。

さて、財務省はなぜに消費税を上げたがるのか?
ひとことで言ってしまえば「アホだから」というのが、
一番的確な答えです。
それだけじゃあ不親切なので、もう少しだけ詳しくいうと
「自分達で使うお金を増やしたいから」
財務省というのは、そもそも予算配分研を握っています。
だから、役所の中ではもっとおエラそうにしているわけです。
他の省は、いっていれば財務省から予算をもらっている立場。

日本の場合、政治家はほぼ役人の操り人形です。
予算の配分は役人が勝手に決めている、といっていいでしょう。
財務省の役人は、予算の元になる税収があればあるほど、
他省庁に対してエラそうにできるわけです。
だから、消費税をどんどこあげようというわけ。

でも、さっきも申し上げたように、消費税を上げると
税収全体が減るのは目に見えています。
なのに、なぜ財務省は消費税の増税にこだわるのか?
そこが、彼らがアホたるゆえんなのです。
まず、3%から5%に上げたときに税収が落ち込んだのは
「一時的現象」だという風に思っていること。
経済が回復すれば結果的に税収が増えると考えているのです。
彼らは決まった給料をもらっているので、
日本経済が増税によって停滞し、倒産が増えて
巷に失業者があふれようと基本的には関係なし、という発想。

ところが・・・今回の増税は「一時的」な税収の落ち込みでは
済まないと予想できる材料がたっぷりあります。
日本経済は、明らかに衰退期に入っているので、
今回の増税は減速を加速する可能性が高いこと。
では、なぜそんな簡単なことを財務省の役人は分からないのか?

彼らは間違いなく、日本の学校教育的人間評価の中ではトップ。
東大法学部を卒業して、国家公務員試験を上位合格。
しかし、この評価基準のもっとも脆弱なところは、
そういった学校秀才になればなるほど、
想像力と創造性が欠ける傾向にあること。
つまり、正解がある問題を解かせたら間違いなく超一流。
ところが、答えの見つからない問題については、
てんでに役立たずなのです。
いっていれば、過去に事例がないような問題は
彼らのような学校秀才には絶対に解けません。
よく言うでしょ、役人ってふた言目には「前例がありませんので」。

今の日本がおかれた状態がまさにそれ。
歴史上、初めて人口減少・経済衰退期に入っているのに
彼らにはそのことをまったくといっていいほど理解せず、
相変わらず「税収が落ちたら増税」というコチンコチンの発想。
もう、救いようがありませんね。

情けないのは、彼らにいいように使われている政治家たち。
野田君なんて、財務省の「使い捨て」にされるのが
もう丸見えに見えているではないですか!
だって、来年の7月までに総選挙があるのは確実。
それが衆議院議員の任期いっぱいですから。
そこで民主党が惨敗するのは120%確実。
野田君が来年の7月以降も首相でいられる確率は
だれがどう考えても0%。
だって、消費税を上げようとしているのですよ。
もし、本当に増税したら国民に総スカン。
逆に、あげられなかったら指導力欠如。
どっちに転んでも、いいことは何もありません。

だから、歴代の首相は財務省が必死に「ご説明」しても
消費税増税などという火中の栗を拾いには行かなかったのです。
それを、コロリと騙された野田君は、ただのお人好し。
財務省にとっては野田君の政権が続こうと途切れようと
消費税さえ上げられればOKなのです。
だから、野田君は財務省の「使い捨て」。
消費税増税に「政治生命をかける」なんてドンキホーテ首相が現れて、
財務省の幹部連中は内心ホクホクしているのではないでしょうか。

でも、なぜ野田君は財務省にコロリと騙されたのか?
それはまず、彼の中に「秀才コンプレックス」というべきものが
あったのではないでしょうか?
彼は早稲田の政経学部出身。
ここの出身者、なぜか東大コンプレックスが多いように思えます。

答えが必ずある試験で優秀な成績が収められる、
というのは人間のひとつの技能であって、
だからといってすべての面において優れている、
なんてことはあり得ません。
子どもでも理解できるそんなカンタンな情理を
どこかに押しやってしまう厄介な心の傷がコンプレックス。
「彼らは私が落ちたあの難しい試験に合格したのだから・・」

試験秀才がオールマイティなら、日本はもっとマシな国になっていますよ!
だってこの国は明治以来百数十年、試験秀才を優遇して
国家を動かす官僚にしてきたのですよ。
彼らは平時や成長期には優れた事務処理能力を発揮して
国務の遂行に大きな役割を果たし、その発展に寄与します。
しかし、動乱期や衰退期には為すべき改革を阻む
頑迷固陋な既得権擁護者にしか過ぎないのです。
野田君よ、なぜそれに気づかない?

メディアの報道を見ていると
「これで総選挙が延びた」「いや近づいた」などと騒いでいますが、
解散総選挙なんてこの1年以内のどこかで必ずある話。
そんなことよりも、
●なぜ消費税の増税が必要なのか
●増税したら、どれくらい経済に影響があり
●税収はどれくらい伸びて
●財政赤字の解消にどれくらい寄与するのか
そういったことを、もっと掘り下げてほしいですね。
財務省の出す数字なんて、それこそ「答え」づくりの秀才たちが
「もっとも国民が消費税増税に納得しやすい数字を出しなさい」
という問題に取り組んで出した模範解答なのですよ。


2012/4/27 16:47 Comments (2)

2 Comments

僕はちょっと考え方が違います。
増税は必要、なぜなら日本人のかなりの部分は貰うことばかり要求して負担は嫌がることがあまりにも普通のことになったからです。
自分の家庭で収入が300万なのに600万とかそれ以上の生活をして続く訳がないじゃあないですか。こんな分かりきった状況になっているのに借金して子供に払わせればいいという親、これが日本国民の大多数になったからこんなことになってるのではないですか?
理屈ばかりこねている大人が多すぎる。

2012/05/01 09:42 | by ねずみ

小沢裁判は有罪に「なんとしても」したかったけど有罪たる証拠がどうしても不十分だったから「残念だけど」無罪… という司法(というか時の権力)の意図が透けてみえるような気はします。
消費税だって国家破産をちらつかせて財務官僚の権限保持のため?とかアメリカの意向?の増税ですよね。
菜種と百姓(国民)は絞れば絞るほどいいといいますもの(苦笑)

2012/04/27 20:09 | by にゃん

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