私のオフィシャルサイトを作っていただいている、
ホーム・ネットHDの濱中さんは「家族の未来予想図」という
ユニークな事業を展開なさっています。
これは、新しい住宅を作る時、
自分の家のインテリア、家具の配置等を
リアルなCG(コンピュータグラフィック)イラストに描く、というもの。
つまり読んで字のごとく「我が家の未来予想図」なのです。
ちょっとめずらしいでしょ。
実は、欧米や中国では割合に普及しているやり方です。
ヨーロッパ系の人々で、中産階級以上になると、
インテリアは住む人の感性や知性を表現する手段と考えられています。
だから、内装や家具には強いこだわりを持っているのが普通。
向こうの小説を読んでいると、
部屋の中の情景描写に必ずといっていいほど、
家具についてのあれこれが出てきます。
だから、新しい住まいを作るときには、
必然的に濱中さんのような方に頼んで「未来予想図」を
イラストにしてもらう必要があるのです。
中国人も同じか?
というと、ちょっと違った事情があります。
知り合いの中国人が日本で事業に成功して、
故郷の町でマンションを買いました。
「150平米ですよ」と本人もご満悦。
半年ほどたって「どう、住み心地は?」と聞いたら
「いやいや、まだ住んでないもの」という返事。
「どうして?」
「まだ全部出来てないから」と・・・
「え、出来たのを買ったんじゃないの?」
よく事情を聴くと、向こうでは日本のように
内装や設備機器まで全部そろえての分譲はあまりなく
ほとんどがスケルトンインフィルらしいのです。
つまり、コンクリートの箱を買ったわけですね。
「じゃあ、床を貼って、断熱材を入れて、壁紙を貼って・・・
さらにキッチンを入れて換気設備を整えて、バスルームにトイレ・・・・」
それぞれ全部別の業者に分離発注。
日本と中国を行き来しながら全部を整えるのに
彼は1年以上を費やしていました。
「そんなの、日本みたいに全部出来たのを売ってくれればいいのに」
聞いていた日本人は異口同音にそういいます。
「いやいや、中国じゃあダメなんですよ」
中国人は、
「壁紙の裏側にポリウレタンの断熱材が入ってますよ。
だから工事費と材料費がいくらかかりましたよ」
といわれても信用しないのだそうです。
そういう場合は、剥がして確かめないと納得しないそうです。
つまり、油断すれば必ず騙される、と思い込んでいるわけで
実際にそういうことをする業者がゴロゴロいるそうです。
やはり、「信用」の文化が違います。
まあ、それはいいとして・・・
だから、中国でも濱中さんのような仕事は大はやり。
街中に「CGイラスト描きます」という業者が看板を出しているそうです。
でも・・・濱中さんの「未来予想図」の仕事は、
日本ではあまり忙しくありません。
なぜでしょう?
それは、日本人は「パッケージ商品」が大好きだからです。
「AタイプかBタイプのどちらかを選んでください」
といわれれば、選べるのですが
「では、ゼロからご自身の好みでお作りください」
となると、ただただ戸惑ってしまうのが日本人。
何年か前に国土交通省がスケルトンインフィルを
奨励していた時期がありました。
ある大手のマンションデベが大々的に打ち出したこともありました。
でも・・・・定着しませんでした。
多くの人は、出来上がったものを見て、
「これは俺の好みだ」「あたしはこういうの好きじゃない」
ということはおっしゃいます。
だから・・・マンション販売の現場では
「モデルルーム」が欠かせない存在となるのです。
「モノを見せないと、お客さんは判断できないよ」
現場の営業マンはよくそういうことをいいます。
実際にそうなのでしょう。
もう10年くらい前でしょうか。
当時の最大手、大京が「モデルルームは作りません」という方針をたて
広告でも大々的に打ち出したことがあります。
経営危機となり、銀行からやってきた社長が示した新方針でした。
銀行の方というのは、
事業のダイナミズムを肌で知っている創業者とは違い、
物事を数字だけで判断する傾向があります。
モデルルームにかかっている費用を見て、
「なんじゃ、こりゃ」と驚いたのでしょう。
実際の建物の外に、販売センター併設のモデルルームを作ると、
「通常」のモノでも3000万円程度かかります。
30戸の事業だと、1住戸に100万円ずつの上乗せになりますね。
その銀行出身社長の目には、それが「非常識」に映ったようです。
ただ・・・これは数年を経ずして元に戻りました。
つまりは、うまくいかなかったのです。
榊に無料相談を寄せてくださったある方は、
都心の2つのタワーマンションをどちらにしようか迷っていらっしゃいました。
「Aタワーは場所が気に入っていて9千万円だけど、
モデルルームを見たら仕様がひどかった。
Bタワーはちょっと気に入らない場所だけど1億2千万円。
こちらの仕様はすごく気に入った。両方とも予算の範囲内だけど
どちらにしたらいいでしょう?」
という内容だったと記憶しています。
うらやましい限りの贅沢な悩み(笑)。
ここで、不動産屋なら間違いなくBタワーを勧めるでしょう。
「毎日暮らす場所ですよ。それは気に入った空間でなければ」
とかなんとかいいながら。
でも、この場合はAタワーで十分です。
なぜなら、仕様が気に入らなければ、
ご自身で変えればいいだけです。
床を変え、壁を買え、建具を変え、キッチンをグレードアップし・・・・
ぜーんぶ変えたとしても、差額の3000万円に達するには
相当の「贅沢品」を採用しなければいけません。
それで・・・濱中さんにCGを頼んでとしても、多分数十万円も払えば
ウルウルするような絵を仕上げてくれるはずです。
それに、「仕様が気に入らない」といっても
モデルルームで見ておっしゃている限り、
全てを理解してから判断されているのかどうか・・・・
モデルルームとは、あるコンセプトを基に作られた
いわば「仮想空間」なのです。
例えば・・・
30代の夫婦と中学生の娘さんがひとり。
ダンナは古いカメラが好きで、奥さんはパスタ料理が得意。
娘さんは私学に通いバイオリンを習っている・・・
なんていう想定を元に、内装を決め、家具を選び、小物を配していきます。
ダイニングテーブルには、必ずといっていいほど
お皿を敷いたスープボウル。左右にはナイフとフォーク・・・・
年収700万円くらいのご家庭が、
スープから始まるフルコースのディナーを1年に1回でも、
家の中で食べるでしょうか?
それは・・・あるかもしれませんね。
でもそれは、家族にとってまたとない「ハレ」の日だったりします。
モデルルームとは、そこに住む家族の
最大に「幸せ」な状態と時間を表現しているのです。
いってみれば、日常からかなり離れた「仮想空間」が
作られているのが、新築マンションのモデルルーム。
でも・・・・
「Aマンションのモデルルームはよかった」
「Bマンションのモデルルームはちょっと寂しかった」
という単純な感想を元に、
ご自身の購買行動をお決めになる方もいらっしゃいます。
オプション(追加料金が発生)だらけの
モデルルームをさらっと見ただけでは、
そのマンションの本当の価値は分からないのではないでしょうか?
かねがね、榊がモデルルームに抱いていた疑念や、
本音の感想。そして、何よりもどういう「眼」でみれば
そのマンションの価値が見えてくるのか・・・
8月2日の「モデルルーム見学会」では、
そのあたりをじっくりお伝えしようと思います。
まだ、定員に達していません。
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「榊淳司と訪ねる、モデルルーム見学会」
は、好評受付中です。
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申込みフォーム からお願いします。
ご協力いただくモデルルームの都合により
「埼玉県および板橋・練馬区在住者限定」です。
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一般の方々を対象とした
マンション購入に関する無料相談を引き続き行っています。
私に土地勘があるのは首都圏および近畿圏が中心ですが、
一般的な内容なら全国どこのマンションについてでも
ご相談にお答えしています。
ただし、2回目からは有料となります。
榊からのアドバイスがなぜか「迷惑メール」に入るケースがあります。
だいたい2,3日から4,5日で返信していますので、
その間は迷惑メールボックスにもご注意いただけると幸いです。
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