まあどこの世界でも一緒でしょうが、
マンション業界も基本的には「結果オーライ」。
売れてしまえばそれでOK、みたいなところが多分にあります。
特に新築マンションの場合、売買契約さえ交わしてしまえば
営業担当者が掌を返したように不親切になる話は良く聞きます。
当たり前なのですが、一旦契約すると購入者側は
手付金を放棄しなくては契約を解除できません。
だから、販売サイドはあの手この手を使って契約書に
ハンコを押させようとします。
結果、営業力の強い会社が業績を伸ばすことになるのです。
こういった現象は、あまり望ましいことではないと思います。
例えば、同じようなマンションでも営業力の強い会社が販売すると売れて、
そうでない場合は売れない、といったことが起きるからです。
そして、日本人は一概に他人の影響を受けやすい性向があります。
「人気が高い」「他の人も買っている」「即日完売した」
そんなマンションなら闇雲に「これはいい物件だ」と信じるのです。
確かに、市場を巨視的に眺めてみると「売れている」というのは
市場から高い評価を受けている、と解釈することが出来ます。
逆に「売れていない」というのは市場からソッポを向かれていると言えます。
市場の「見えざる手」によって優勝劣敗が決まっていく、
という自由競争の原理ですね。
しかし、マンション業界の場合はこの法則がすべての
物件に当てはまるワケではありません。
まず、消費者は必ずしも合理的な購買行動をとるとは限りません。
カンタンに言えば「広告にダマされる」ということがままあります。
典型的な例を挙げましょう。
9年ほど前、プラウド新浦安という物件が売り出されました。
売主はもちろん野村不動産。全部で733戸のスケール。
京葉線の「新浦安」駅からバス11分徒歩1分という場所。
不動産の資産価値としてはクズです。
それを、ミニバブルの勢いにのせて坪単価200万円超で販売開始。
渡辺謙を使ったド派手なプロモーション。
キャッチフレーズは「凛区」。ワケわかりませんね。
すごい集客でした。
実は、私も一見学者として行った覚えがあります。
とても手が出ない高額物件。
「いったい誰が買うのだろう」と不思議でした。
時代だったのでしょうか。ああいう立地で坪210万円のマンションを、
建物も出来ていない段階で買ってしまう人がいるのですね。
第1期そして第2期・・・・大人気で次々と売れていきました。
いわゆる当時の「人気物件」。
毎週何百人もの見学者がモデルルームに殺到。
でも、やはり無理がありました。
浦安で坪200万円以上の100平米マンションを買う人間は
733人もいなかったのです。
2007年末に竣工したけれど、その時点で全部は売れていません。
2008年にリーマンショック。さらに売れ行き鈍化。
野村不動産は怒涛の値引き販売を始めます。
私のところに寄せられた購入相談を分析すると、
最盛期には坪単価120万円台まで値引きされていました。
キャンペーン開始の頃に、坪210万円で購入契約を結んだ人は
とんだバカを見たことになりますね。
悲劇はそれだけでは終りません。
「ディズニーランドの花火が見えますよ」
販売センターでそういうトークを聞いた人は多いはず。
確かに、毎週金曜日の花火がよく見えました。
しかし・・・同じ野村不動産が隣の敷地でマンションを建て始めました。
その物件が「プラウド新浦安パームコート」。
建物が建つと、すっかり花火が見えなくなりました。
もちろん、「騙された」購入者は怒り心頭。
一時期は「野村不動産に騙された」という横断幕が出たそうです。
悲劇はまだまだ続きます。
2011年3月11日、東日本大震災が起こりました。
ご存知のように、新浦安は液状化で散々な被害を受けました。
そんな中、新浦安エリアで最も激しい被害を受けたのは
他ならぬ「プラウド新浦安」だったのです。
それはもう、恐ろしい状態。まさに悲劇です。
さて、結局のところこの物件はハズレだったと思います。
今や新浦安でもっとも中古で売却しにくいマンションのひとつ。
あの人気沸騰の時に契約して、坪単価200万円前後で購入された方が、
竣工してまだ5年しかたっていないのにどれほどの評価損を
抱えていらっしゃるのか・・・恐ろしいばかりです。
もちろん私は5年前から、あの物件だけは「買ってはいけない」と
叫び続けてきました。
どうぞ、このブログの初期の頃の記事をお読みください。
さて、『人気』が必ずしも適正な評価にシンクロしないことは
「プラウド新浦安」の事例でご理解いただけたと思います。
これと幾分似ている興味深いケースをひとつご紹介しましょう。
それは「プラウド南麻布」という物件。
最近、完売しました。
「フランス大使館の敷地」と言うのが最大のウリでした。
60年の定期借地権。でも価格は分譲並みに坪単価400万円超。
「高いじゃないか」というのが、私の見解。
日比谷線の「広尾」駅から徒歩7分です。
港区物件としては、生活利便性がかなりダメダメ。
この物件ははっきりいって「フランス大使館」というだけがウリ。
それでも売れてしまったのです。
まあ、80人ほどの奇特な方がいたということです。
定期借地権物件と言うのは、資産としては脆弱です。
「あと00年」しか使えないことが確定しているからです。
流通市場も整備されていません。
だから、私は所有権の7割程度でいいと思っています。
さらに「広尾」駅徒歩7分のマンションなら
ガーデンヒルズでもない限り坪単価は所有権で350万円前後。
だったら定期借地権だと200万円台中盤がせいぜい。
それなのに、この物件は400万円で約80戸が売れました。
「売れればいい」というのがこの業界の不文律。
だから、売主の野村不動産はそれで万々歳でしょう。
でも、買った方はどうなるのでしょう?
彼らは本当に坪単価400万円超の価値のものを手に入れたのでしょうか?
その答えは、5年後、10年後に「売ろう」と思った時に分かります。
同じ麻布エリアでも麻布台パークハウスという定借物件は
「事業計画見直しによる販売中止」に追い込まれました。
こちらは三菱地所レジデンシャルの物件です。
アメリカンクラブの敷地を定期借地しているところは
プラウド南麻布とよく似ていますね。
価格が所有権並みに高かったことも同じ。
でもプラウド南麻布は完売して麻布台パークハウスは事業中止。
この違いは何だと思いますか?
私が見るところ、プロモーションと営業力。
野村不動産は見事に「してやった」という他ありません。
でも、それを買った人はどうなるのでしょう?
本当にいいものを買っていれば言うことはありません。
でも「プラウド新浦安」のような運命が待っているかもしれないのです。
少なくとも、私はとても割高な買い物をなさったと思います。
さて、レポートの更新情報です。
江戸川区はコストパフォーマンスが抜群。
価格も都心に一歩先んじて適正化しています。
プラウドシティ船堀は苦戦、ザ・パークハウス一之江参入
「船堀・一之江」
価格 2,890円
プラウドシティ船堀
ルフォン船堀
日神パレステージ江戸川船堀
コージーコート一之江駅前
クレストフォルム船堀サウスステージ
ヴァルセーナ船堀ファーストレジデンス
イニシア一之江駅前
アルファグランデ一之江六番街
ザ・パークハウス 一之江
ゼルクハウス船堀
ザ・パークハウス葛西臨海公園が苦戦!
「葛西・西葛西」エリア
価格 3,890円
アトレ南葛西 パークサイドレジデンス
モナークレジデンス西葛西
クレストラフィーネ西葛西
グリーンホームズステーシア
スカイクレストビュー西葛西
アルファグランデ西葛西
プレシス西葛西ヴェルデ
ファーストシーン葛西elise
ザ・パークハウス 葛西臨海公園
プレシス葛西臨海公園アスール
対応が悪すぎる。
たらい回しで、全て同じ回答。
マニュアルどおり
上司に代わって欲しいと言ったら、
オペレーターよりもマニュアルどおり以上だった。
マンションだけでなく、野村は戸建でもやらかしているみたいね。
日本人を敵に回してどうやって日本で商売するんだろ
2015/06/16 17:54 | by資産性だけの狭い視点はどうかと思いますよ。
60年間、あの場所に住みたい人や運用を計算
した、とても賢い方やお金持ちが買ったので
しょうから。大成功だと思いますよ。
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