週刊誌というのは、そもそも新聞で取り上げないような
「センセーショナル」さが求められているモノです。
今日、私のところに「週刊スパ」が届きました。
先々週に取材を受けた見本誌です。
私の出ているのは、いわゆるイチトク(第一特集)。
「40代年収200万円台時代」
私が出ている所があるので一応読み始めたのですが、
いたたまれなくなって半分ちょっとで挫折。
例えば、40歳で年収280万円の大沢(仮名)さん。
「10歳、8歳、2歳とまだ手のかかる子どもが3人もいる。特に長男は『将来大学に行きたい』って言っているけど、今の状況じゃ無理。私に似ないで頭がいい、自慢の息子だけどね」
家計簿が出ていて、ひと月の食費が45000円。
一家5人で一日1500円ですか・・・・
我々は競争社会に生きていいます。
私は、そのことに不満を唱えるつもりはありません。
この大沢さんという40歳のお父さんは、
残酷にいえば競争社会の負け組です。
負けたには負けたなりの理由があるはずなので、同情はしません。
しかし、「自慢の息子」君が行きたい大学に行けないのは
何とも切ない話ではありませんか。
せめて、何らかの奨学金でも得られて
本人の希望がかなうことを願うばかりです。
ウチにも高二、中三、小五と3匹のガキがいます。
つくづく思うのは、「教育には金がかかる」ということ。
実はわが家の支出の大半は教育費です。
それは、公立の小中に行かせて高校は都立。
大学は国公立が無理なら通える私立にでも行けば
そんなにお金はかからないかもしれません。
しかし、それぞれ本人の希望を聞いて、それがかなう
コースに乗せてやろうとすると・・・・
ベラボーなお金がかかるワケです。
意外に思われるかもしれませんが、
日本という国はあまり教育にお金をかけていません。
どちらかというと、個人負担率が高いのです。
例えば、フランスなどは教育費が基本的にタダ。
優秀であれば無料で教育が受けられます。
優秀でなくても、能力に応じた教育が受けられます。
ところが、日本はどうでしょう?
学校の勉強ができるかどうか、というのは
これまた残酷な言い方をすると、ほぼ遺伝子で決まります。
努力しなくてもできる奴は出来るし、
できない奴は人の何倍勉強しても出来ません。
だから、出来るからといってエバることはないし、
出来ないからといってひがむこともありません。
人にはそれぞれ向き不向きがあるのです。
ちょっと脱線しますが、ハリウッドのヒットメーカーである
スティーブン・スピルバーグは「学校バカ」だったそうです。
いわゆる学習障害の一種。
しかし、彼が映画の世界で残した業績は誰も否定できません。
反対に、東大を卒業して大学の先生までやっていた
元首相の鳩山某は、アメリカ人に「ルーピー」と呼ばれました。
分かりやすい日本語でいうと「クルクルパー」です。
しかし、彼が学校秀才であることも確か。
まあ、どうでもいい話で恐縮です。
向いてない人は大学になんか行く必要はありません。
逆に「学びたい」と思う人はどんどん行けばいい。
ただし、学ぶことが向いていない人は無駄な努力をするよりも
自分の向いた道を早めに見つけるのが効率的。
そして教育というのは、基本的に社会が行うものです。
したがって、教育に関わる費用は社会全体で負担すべきです。
それは国や地方政府や、あるいは志のある企業です。
それを、各個々人に求めると、今の日本の様になります。
親に学費負担能力のある人間が大学に行き、何も学ばないで卒業する。
また、そんな学習意欲のない学生の授業料をアテにした
ロクでもない大学が雨後筍の如くわいている状態。
逆に、前述の大沢お父さんみたいな親の子どもは、
たまさか「頭がよく」ても大学に行くことができません。
こんな制度を続けているとどうなるのか?
バカ高い教育費の負担を嫌った大人たちは子供を作らなくなる。
裕福な家の子どもだけが高い教育を受ける。
貧乏人の子に生まれれば、教育を受けられずに貧乏なまま。
お金持ちの子どもは教育を受けて高い収入を得る。
社会の階層固定化が一層すすみます。
「俺は中卒だけど、大卒には負けないぞ」
そんな生き方が実践できるのは、中卒の1%もいません。
競争社会は残酷です。
しかし、教育を受けるチャンスは平等に与えられるべきです。
貧乏に生まれても、学習能力と意欲があれば
それなりの教育を受けられるシステムが必要です。
今の日本は、それが失われつつあるように思えます。
そうなると、多くの人々が人生への意欲を失います。
社会全体に元気がなくなるのです。
今のニッポン、なんとなくそうなっていませんか?
東京裁判で死刑となった広田弘毅という人がいます。
明治11年、福岡県の生まれ。
幼い時から頭が良かったのですが、家は貧しい石屋。
でも援助してくれる人があって、東京帝大へ進学。
外交官となって、後に総理大臣に。
文官として唯一死刑判決を受け、絞首台に消えました。
彼の進学を援助したのは玄洋社という団体に属していた
来島恒喜という人間。今風にいえば「右翼活動家」。
ちなみに「左翼活動家」が個人としてそういう善行を行ったとは
寡聞にして聞いたことがありません。
昔は、裕福な篤志家が身の回りにいる有為の青年に
経済的な援助を与えて学窓に送り出すことが良くありました。
明治大正昭和期の偉人たちの伝記や回想記を読むと
そういうエピソードにあふれています。
日本という国は、昔から「公」ではなく「私」のレベルで
極めて個人的な奨学制度が機能していたのです。
例えば、明治の世になって領地を失った大名家は
東京で華族として暮らしながら旧家臣の子弟で
学業に優れた者に経済的な援助を与えていました。
「坂の上の雲」に描かれた秋山兄弟や正岡子規が
伊予松山藩主久松氏の援助を受けていたのも、その一例。
高速道路や使用頻度の低い空港を作るよりも
公平性が行き届いた奨学金制度を整える方が、
国の未来を明るく開くことにつながるのではないでしょうか?
なぜ、役人や政治家はそのことに熱心でないのか?
その答えはひとつ。そこには美味しい利権がないからです。
こんなことを続けていれば、日本もいつか支那や韓国の様に
世界から敬意を払われない国になってしまいます。
こんな時代に、我々はどうすればいいのか、一緒に考えてみませんか?
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場 所:ルーテル市谷センター 第1・第2会議室
東京都新宿区市谷砂土原町1-1
地下鉄有楽町線「市ヶ谷」駅徒歩1分、JR中央線「市ヶ谷」駅徒歩5分
電話 03-3260-8621
参加費:お一人様5000円(ご夫婦で参加の場合は二人で7000円)
定 員:50名(定員になり次第締め切り)
お申込:下記の申込フォームに必要事項を入力の上、お申し込みください。
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講師 根布和明(A.Cast.Partner’s㈱ 代表取締役)
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