オリンピックを織り込んでも、まだ高い「豊洲」。

日経平均は勢いよく上がってとうとう15000円を超えました。
円は早々と100円を突破して、今日も102円台ですか。
高額物件も、それこそ「飛ぶように」売れている気配です。
これで、あっちこっちで書いたり喋ったりした
私の「当てずっぽう」も何とか実現。
ただ・・・よかったのか、悪かったのか(笑)。

しかし、気になることがあります。不動産系の株価が冴えません。
不動産会社の株価も、リート関係も。なぜでしょう?
また、長期金利。今日はやや下がりましたが、
異次元金融緩和以前の倍に。住宅ローン金利への影響は必至。
これから始まるかもしれない、実需市場の熱を冷やしてしまいますね。

昨日は、来月発売の某月刊誌からの依頼原稿を書きました。
テーマは「アベノミクス後の住宅購入」みたいな。
こういうの、怖いんですよね。
だって、発行時にはガラっと経済情勢が変わっていたりして。
だから、なるべく差しさわりのない書き方をしなくちゃいけないけど
どうも私は物事を明解に言い切る癖があって困ります(笑)。

さて、今日は前回の続きで、オリンピック開催決定後に起こる
湾岸エリアのマンション市場について考えます。
前回は有明だったので、今回は「豊洲」。

豊洲と有明の違いは何といっても開発の進捗度合いでしょうね。
豊洲に人が住み始めたのは何十年も前ですが、有明はつい最近。
有明のブリリア2棟の前を歩いていても、たまに人が通るくらい。
しかし、豊洲の駅前は平日でも人がたくさんいます。
もちろん、地下鉄の駅があってららぽーとがあって、
でかいオフィスビルがいくつもあるので賑わい度が違います。
なのに、有明の新築タワーマンションの表面価格が
豊洲と1,2割しか違わないのはちょっとおかしいですね。
有明はせいぜい豊洲の7割であってもいいと思います。
だから、有明のブリリアは中々売れないのです。

でも、実は豊洲の新築タワーマンションもかなり「背伸び」しています。
その背伸びの元凶は何といっても住友不動産。
言わずと知れたシティタワーズ豊洲の3棟を、坪単価300万円前後という
「ありえない」と思える高値で何年も売り続けてきました。
まあ、私が知る限り値引きはささやかな範囲内です。
それでも、少しずつながら売れてきたようです。
豊洲3丁目の世帯数は、この3年で3500ほど増えていますから。

中には「子会社に売って賃貸に回しているのだろう」と推測する人もいます。
そういうことは、あの業界ではよくやること。
特に子会社や関連会社をいっぱい持っている大企業は
そういう「奥の手」をたくさん持っています。
ただ、私は実際に買った人も何人か知っています。
すべてを子会社に売っているとは思えませんね。

さて、その豊洲で近頃話題はやはり「スカイズ タワー&ガーデン」。
何度かこのブログでも取り上げている「東京ワンダフルプロジェクト」です。
猪瀬君のバカ発言が祟って、もしオリンピックがこなければ
このトライスター型のタワーの資産価値を私は
せいぜい坪150-170万円くらいではないかと考えます。
まあ、共用施設の豪華さに目くらまされても200万円未満ですね。
実は、豪華施設は管理の負担になって中長期的にはマイナス要素ですから。
ところが、実際には坪260万円あたりで販売されるようです。

豊洲という街では、こういう珍事がなぜかまかりとおります。
今ではすっかり見かけなくなった新城が出てきて
「お台場は、僕のビーチ」なんてCFを流していたのは8年前ですか。
たしか、豊洲の長谷工マンションのひとつだったと思います。
まあ、あの頃はまだ価格的には「珍事」になっていませんでした。

2008年に竣工した「ザ・豊洲タワー」がミニバブル滑り込みで完売。
その後、シティタワーズ3棟がずっと「竣工済み・販売中」。
私も四半世紀以上マンション市場を眺めていますが、
こういう状態はかなりイレギュラーだと思います。
シティタワーズ豊洲の「ザ・ツイン」も「シンボル」も、
単体として見ていると決して悪い物件ではありません。
駅からやや離れてはいますが、遠いというほどではなく、
周辺の利便施設も十分に整っています。環境もまあまあ。
それが、竣工後何年も売れ残っている原因はただひとつ、「価格」。
明らかに、市場に逆らってバカ高の定価販売を続けてきた結果ですね。

そして、スカイズはこのマーケットアウトしたシティタワーズを基本に
オリンピックによる「湾岸ブーム」を期待して値付けが行われた、
としか私には思えないワケです。高すぎますから。
「売れるかどうか」ときかれたら、まず売れないでしょうね。

横浜に「ブリリアシティ横浜磯子」という1230戸の物件があります。
この「スカイズ タワー&ガーデン」とよく似ていますね。
販売前に、私は「これはただの『駅徒歩15分』物件だから、坪単価は160万円。丘の上であることを考えても170万円」と指摘しました。
ところが、ふたを上げると業界内の噂通り坪220万円あたりで出てきました。
当然ながら、販売はボロボロ。
販売開始後1年くらいたった後でしょうか、大幅な価格改定。
すでに契約済みの住戸まで価格を下げていました。
私が指摘した通り、170万円あたりまで下げたようです。
果たして「スカイズ タワー&ガーデン」も同じ運命をたどるのでしょうか?

この行く末を複雑にしているのが、アベノミクスとオリンピックです。
スカイズは、何度か書いている通り「豊洲駅から徒歩12分」です。
ゆりかもめの「新豊洲」からは徒歩6分。
ただ、ゆりかもめというのは不動産屋的な価値判断としては
「バスよりもちょっとマシ」程度の位置づけになります。
これだけで判断すると、少なくとも坪単価は200万円未満です。
ところが、アベノミクスによる「景気回復」と
オリンピック開催決定による「湾岸ブーム」で、
多少の「かさ上げが」があると考えなければなりません。

前回、有明はオリンピックによる「湾岸ブーム」で、
この江東湾岸エリアの中ではもっともマスメディアに
露出する頻度が高くなると予測しました。
豊洲には、競技会場がひとつも予定されていません。
したがって、露出度は有明の数分の1になるでしょう。
でも、多くの人にとって豊洲と有明の区別はつかないはず。
「ああ、オリンピックの近くね」という感じでしょうか。

したがって、9月以降はスカイズの販売も少しは進むと思います。
しかし・・・今の価格では何年もかかるでしょうね。
アベノミクスがうまくいって年率2%のインフレになったとしても
竣工までに売り切れる可能性は限りなくゼロでしょう。
つまり、オリンピックを織り込んだとしても、あの価格は高すぎます。
もし、猪瀬発言が影響してオリンピックが来ないと、目も当てられません。
そうでなくても、中長期の資産価値や地震の影響に敏感である
クレバーな人々は、湾岸を避ける傾向にありますから。

注目は、6月だという第1期販売。
1110という戸数から考えると、最低限300戸以上を即日完売しないと
「失速」は間違いないところです。
晴海タワーズは全861戸で初速300戸未満。その後、失速しました。

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6 プレシス木場公園シーズンプレイス
7 エコヴィレッジ木場
8 木場レジデン
9 パークホームズ清澄白河
10 ジオ門前仲町 冬木
11 アデニウムコート木場
12 ウィル・リベール南砂町
13 (仮称)レジデンシャル門前仲町II
14 アデニウムコート木場公園
15 リヴシティ門前仲町
■新宿線・深川エリア
1 プレシス木場公園シーズンプレイス
2 シティハウス東京森下
3 ザ・ミッドランドアベニュー
4 プレミアムヴェール
5 イーストゲートスクエア
6 ザ・パークハウス 清澄白河現代美術館前
7 グローリオ清澄白河
8 リアナスティル森下
9 クラッシィハウス大島
10 ロワール清澄白河
11 パークホームズ錦糸町 猿江恩賜公園
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■豊洲エリア
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2 オークプレイス豊洲
3 シティタワーズ豊洲 ザ・ツイン
4 シティタワーズ豊洲 THE SYMBOL
5 シティハウス豊洲キャナルテラス
6 パークタワー豊洲
7 イニシア豊洲コンフォートプレイス
8 プレミスト ベイフォートスクエア 豊洲
■有明エリア
1 シティタワー有明
2 ブリリア有明スカイタワー
3 ブリリア有明シティタワー
■東雲エリア
1 ザ 湾岸タワー レックスガーデン
2 プラウドタワー東雲キャナルコート
3 パークタワー東雲
■辰巳・潮見エリア
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3 ザ・サウスキャナルレジデンス


2013/5/15 16:05 Comments (0)

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