フニャフニャ頭で考えた政府の借金削減策

最近、歳をとったせいでだいぶ頭が硬くなったのですが、
昔から他人に比べて脳味噌がフニャフニャなところがあります。
「柔らかい」といえば自慢になるのですが、単にフニャフニャ。
ありていに言えば、堅苦しく考える能力に乏しいのです。
例えば「人間は早起きした方がいい」とか「社会のルールを厳守」
みたいな風には全然考えないタイプでございます。

さて、ウチの子どものひとりが音楽系の勉強をしています。
私は音痴で楽器は全ダメ。リコーダーですら1曲も吹けませんでした。
ただ、どの科目もそうなのですが学科は得意。
保健体育でも技術、美術、音楽など実技はダメでも学科で点数を稼ぐタイプ。
ヤな奴なんて思わないでくださいね。
実技ができないからそれ以外で点を取る必要があったわけです。
まあ、それはどーでもいい話ですが。

絶対音感というのがありますね。
音を聞いたら、それをドレミで言える能力。
うちの子もそれはあるのですが、ピアノ科とバイオリン科では
その能力に微妙な差があるそうなのです。

どういうことかというと、ピアノ科は鍵盤単位でしか音を聞き取れません。
つまり、ドレミファソラシドと♯と♭単位。
もう少し突っ込んでいうと半音階単位。
ところが、バイオリンなどの弦楽器は鍵盤ではなく、
指の位置で音が決まります。だから半音階単位でなく、
その間の音も聞き分けられるのです。

無題

例えば「G♯より少し低い」「ミとファアの間でミ寄り」とか。
フーンと感心しました。ここでフト疑問に思ったこと。
ソはミとの間にソ♭という音が入ります。
鍵盤でソとファの間に黒鍵がありますね。
鍵盤楽器でソ♭を出す時は、アレを叩きます。
ところが、ファとミの間には黒鍵がありません。なぜか?
それは、ファとソの間は1音階(85.5ヘルツ)離れていますが、
ミとファは半音階(39.2ヘルツ)しか離れていないのです。
へえー、知らなんだ・・・という世界。

そこで私が思ったこと。
「なんでそんなややこしいことにするのよ」
いっそのこと、すべての音を半音階単位で表現すりゃいいじゃん!
多分、コンピューター上の認識ではそういう風になっているはず。
ピアノなどの鍵盤楽器も黒鍵の位置を今のように変則とするのではなく、
すべての白鍵の間に黒鍵を作ればいいじゃないか、と。
そうすれば、ピアノを弾くときに手を動かす幅を狭くできて
今よりも簡単に弾けるようになるんじゃないの!
また、楽譜も♯や♭を無くしてすべて半音階単位で単純明快にしてしまえばいい。
それを音楽をやっている子どもに言うと「???」という顔。
「そんなことをすれば、今までの楽譜は全部書き換えなきゃいけないし、ピアニストは全部の曲を練習し直さなきゃいけない」
まあ、確かにその通り。でもその方が合理的ですが。

もうひとつ、全然違う話。
黒田総裁の異次元金融緩和で、日銀は毎月数兆円の国債を買っています。
正確に言うと、政府が発行した国債を一旦は民間の金融機関が購入し、
それを日銀が「買い取る」というカタチになっています。
日銀のような中央銀行が政府から直接国債を引き受けることは
財政法5条で禁止されています。
これは世界中で適用されているルール。なぜならそれをやりだすと、
政府は無尽蔵の財源を持つことになり、通貨の信頼性が失われるから。
・・・というのは、実は表向きのルールだと私は思っています。

国債というのは政府の借用証書みたいなものです。
借りるのが政府だからとりっぱぐれはない、とみんなが思っています。
世界史をひも解けば、国債が紙くず同然になった例が山とあります。
日本だって、この前の戦争に負けた時はそうなりました。
いってみれば、それなりにインチキ臭いものです。
ただ、他の証券に比べればインチキ度が薄い、というだけです。

それに円やドルという通貨自体も、幻想のタマモノです。
1万円札に1万円分の価値があるとみんなが思っているから
1万円分のモノと交換できるわけです。
サルから見れば1万円札はタダの紙切れですね。
1本のバナナよりも価値は劣ります。

国債はもとより、通貨自体も人間が恣意的に作り出したものです。
だから、倫理的に管理されなければいけません。
その倫理性の骨幹は、「恣意的に発行しない」というもの。
中央銀行といえども、巨視的に見れば政府の一機関です。
中央銀行は、その国の経済規模に見合っただけ通貨を発行する、
というのがタテマエになっています。
「政府に金が足りないから」という理由でジャンジャカ通貨を
発行すれば、その信頼性が失われます。
そのルールのひとつとして「中央銀行は国債を直接引き受けない」。
簡単に言えば、中央銀行は政府に直接お金を貸さない、ということ。
でもね、民間の銀行から買い取るカタチとはいえ、今の異次元緩和は
実質的に日銀が国債を引き受けているのと同じ状態。
便宜的に民間銀行を経由しているだけではないですか!

ただ、同じようなことは世界中で行われています。
アメリカ、ユーロ、支那という世界経済の主な担い手がここ数年、
ぜーんぶ同じようなことをやって来たのです。
日本はこれまで、生真面目にそれをやらなかっただけ。
だから、私としては異次元緩和は全然オーケーですよ、といいたい。

さらに踏み込んで、こういうのはどうでしょう。
国債の発行残高が増えると「子孫に借金を残す」なんて
危機感をあおる方がいますよね。
まあ、理屈の上ではその通りです。
でも、我々の子孫に残された借金は誰に返すのでしょう?
日銀がこのまま国債を買い続ければ、発行された国債の
半分以上は日銀の金庫に積み上がることになります。
実際は証券が積み上がるのではなく、
コンピューター上の記録に残るだけですが。
そうなると、我々の子孫は高い税金を政府に払い、
政府はそのお金を日銀に返す(償還)のでしょうか?
この図式、なんだかリアリティがりませんね。

いっそのこと「なかったことにしましょう」。
つまり、日銀が買い上げた国債は、最初からなかったことに
してしまえば八方丸く収まりませんか?
日銀だって腹の痛む話じゃないでしょ。
実際、「日銀が消却しろ」と唱えるエコノミストもいるみたいです。
もちろん、今の法律ではできません。
また、表だってやれば一気に円が暴落するでしょう。
そこは財務省お得意の「知らない内にそうなっていた」作戦で(笑)。

実は、本当かどうか知りませんが過去にイタリアが
それと同じことをやったそうです。
思いっきり財政赤字があったのに、ユーロに加盟する時点で
「アラ不思議」、基準値以内に収まっていたとか。
なんか、イタリアらしいでしょ。
日本もそうすれば、累積債務の半分は消せますね。

先に述べたように、通貨というのはそれ自体が幻想の産物。
ましてや国債なんてさらにあやふやな理屈の上で流通する債権。
みんなが困らないのなら、臨機応変に操作すべきではないか、
とフニャフニャ頭の私は常々考えている次第です(笑)。

夕刊フジの公式サイト zakzak
に榊淳司の連載コーナーが設置されています。
どうぞ、みなさん寄って行ってください。


2013/5/29 13:45 Comments (0)

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