マンション市場に9月需要はやってくるか?

先日、親しくしているデベ社員から久方ぶりに電話がありました。
ひとしきり業界の情況を話した後「ところで、本題なんですが・・・」
なんと、自分が買おうとしているマンションについてのご相談。
「・・・・・の物件、どうしてこんなに安いのでしょうね?」
思わず笑いそうになってしまいました。
もちろん、あとで調べてキチンとメールしておきましたが(笑)。
まあ餅は餅屋と言っても、自分が当事者になったら不安になる?
それは高い買い物ですから仕方ないと思います。

ところで、評者には「ポジショントーク」という禁忌があります。
つまり、自分のポジションを擁護するために客観めかしての発言。
それって、他人にとってはあまり参考になりません。
そういう時は「私はこの立場だから」とことわるべきでしょうね。

さいわい、そのデベ君の検討物件に対して私は何の利害関係も無し。
というか、私はほぼすべてのマンションに利害関係はありません。
私のような仕事をしている者は、逆にそれがあっては困るのです。
ただ、マクロな話で地価は下がるよりも上がって欲しいと思います。
でも、思ったようには上がりませんね。
今年は最後のチャンスかと思ったのですが・・・もう少し見守りましょう。

景気が本当に回復すれば、マンション市場も上向きます。
景気が回復するには、株価が騰がることが必要条件。
そして十分条件である個人所得の伸びが加わると本物。
ところが、その株価がここのところさえない展開。
ヘッジファンドの暗躍等が伝えられますが、もっとも効いたのは
先日発表された成長戦略のインパクトのなさでしょう。

上流な人々と付き合いのある知り合いの某氏が、
最近何人かの財務官僚と話す機会があったそうです。
「我々のいうことを聞く政権は長続きするが、逆らうと短命に終わる。それに、我々を敵に回したら何もできない」
と、連中は嘯いていたそうです。
何だか驕り高ぶった発言ですね。
まるで自分たちがこの国を支配している、みたいな。
まあ、実質的にはそうなのですが(笑)。

しかし、ちょっと腹が立ちます。
だって、財務官僚に騙されて内閣と政権を崩壊させてまで
消費税の増税法案を通した野田内閣が哀れではないですか。
もっとも、野田君は財務官僚から未だに評価が高いとか。
そりゃそうでしょう。悲願の増税を実現させたのだから。
でも、残念ながら日本は民主主義の国です。
財務官僚の評価が高くても、国民に見放されたら政治家はお終い。
そういう意味で舛添さんの引退は残念です。有能だったのに。

さて、今の安倍さんです。
株価をドカンと上げる方法があります。
それもいたってカンタン。そいでもってみんな大喜び。
きっと景気が良くなって来年は給料も増えます。
それは何かというと、言わずと知れた消費税据え置き。
今の時点で「据え置きます」とやっちゃえば、
翌日の株価が500円以上騰がることを請け合いますぜ。
でなくても、少なくとも9月までには判断すべきでしょう。
そうなれば株価は年内2万円。今度こそバブルがホンモノに(笑)。

しかし、先日の成長戦略を見ているとそれはまずないと思いました。
だって、あれってほとんど内容のない官僚の作文ですもの。
つまり、安倍さんは財務省や各省庁の言いなりになっているのです。
市場はそれを知っているから、景気回復に自信が持てない。
だから、ちょっと上がったらすぐに売って利益確定。
アメリカのヘッジファンドはそこを見透かして売りを仕掛けています。
よくないですね、この悪循環。

マンション市場は落ち着いてきました。
どうやら、株長者の需要が一巡した観があります。
もう一度株価が15000円に達するようだと、ブーム再到来?
でも、今の動きを見ているとしばらくそれもなさそう。

で・・・このあとの注目は、「9月需要」がどの程度か?
9月末までに契約すれば、引渡しが来年4月以降でも消費税は5%。
だから、2年先に竣工するような物件でも、
この6月から7月の「販売開始」を睨んで動いています。
もっとも注目されるのはTomihisa Cross(富久クロス)と
SKYZ TOWER&GARDEN(スカイズ タワー&ガーデン)です。

富久クロスの方は、販売時期が「9月上旬」となっています。
本当にそこで仕掛けるのでしょうか? やや疑問。
スカイズ タワー&ガーデンは「6月下旬」。
ここでやるのなら、そろそろスケジュールが発表になるはず。
なんだか、7月にズレこみそうな感じもします。

というのは、ここにきて漏れ聞こえてくるデベの発言は
なんだか弱気なものが多くなりましたから(笑)。
富久クロスは坪単価350万という声もありますが、
実際のところはまだよく分かりません。
野村不動産はマーケット感覚が非常に明敏なことで知られます。
そしてここ2,3年は「無理をしない」スタンスです。
まあ、いくらになるのか楽しみに待ちましょう。

スカイズ タワー&ガーデンは、今のままではほぼ失速でしょうね。
もし、第1期300戸くらいが即日完売したらバブルは本物です(笑)。
坪単価は250万円台と言われていますが、グロスで6千7千万円あたり。
そこって年収1500万円前後だから、かなり中途半端。
稼ぐ奴は軽く2000万円を超えますから8千万以上の都心寄りへ流れます。
6千7千万の湾岸、駅から遠い物件は・・もっとも需要層が薄いと思います。
大量集客は必ずしも販売好調へとはつながらないのです。

かつて「プラウド新浦安」というミニバブル物件が
おそらく2万組以上を集めながら733戸を売るのに何年もかかりました。
スカイズ タワー&ガーデンもその軌跡を辿りそうな気がします。
まあ、オリンピックが来れば少し足が早まるでしょうが。
それでも、ここまでマーケットアウトすれば竣工までの完売は無理でしょう。

さて、この2物件の他にも「9月需要」を睨んだ物件が目白押し。
ところが、ここにきて長期金利が上昇の気配。
日銀の黒田君も相当頭を悩ましていそうですが、
固定金利オペという伝家の宝刀はまだ抜いていません。
しかし、長期金利の上昇は確実にマンション市場を冷やします。
だって、マンションの価格が上がるのと同じですから。
また、高額ユーザーになればなるほど金利上昇には敏感。
「9月需要」はデベが期待するほど盛り上がらない
可能性が高いのではないでしょうか?
まあ、今後の株価や金利動向に大きく左右されますが。

参考レポート東京のタワーマンション
全解説51物件
価格 12,900

アークヒルズ仙石山レジデンスー
アトラスブランズタワー三河島
インプレスト芝浦 エアレジデンス
ウェリス愛宕虎ノ門
大崎ウエストシティタワーズ
OWL TOWER
大江戸タワーレジデンス
勝どきビュータワー
CAPITAL GATE PLACE
クラッシィタワー東中野
グランスイート麻布台ヒルトップタワー
クレストタワー品川シーサイド
クレストプライムタワー芝
(仮称)京成曳舟駅前東第三地区再開発
コンシェリア西新宿TOWER’S WEST
ザ・山王タワー
ザ・パークハウス 青砥
ザ・パークハウス浅草橋タワーレジデンス
ザ・パークハウス西麻布
ザ・パークハウス 晴海タワーズ
ザ 湾岸タワー レックスガーデン
SAION SAKURAZAKA
THE ROPPONGI TOKYO
シティタワー赤羽テラス
シティタワー麻布十番
シティタワー有明
シティタワー上野池之端
シティタワーズ豊洲 ザ・シンボル
シティタワーズ豊洲 ザ・ツイン
品川タワーレジデンス
SKYZ TOWER&GARDEN
東京豊島区再開発プロジェクト
東京ベイシティタワー
Tomihisa Cross
パークシティ大崎
パークタワー板橋
パークタワー山王
パークタワー高輪
パークタワー東雲
パークタワー渋谷本町
パークタワー滝野川
プラウドタワー大泉学園
プラウドタワー白金台
プラウドタワー高輪台
プラウドタワー千代田富士見レジデンス
ブランズタワー文京小日向
ブリリア有明シティタワー
ブリリア有明スカイタワー
ライオンズタワー目黒川
ル・サンク大崎ウィズタワー
ルフォン白金台 ザ・タワーレジデンス

夕刊フジの公式サイト zakzak
に榊淳司の連載コーナーが設置されています。
どうぞ、みなさん寄って行ってください。


2013/6/12 17:49 Comments (0)

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