本日の日本経済新聞・朝刊の「M&I」面の記事、
「家の売却で後悔しない」に私のコメントが2ヵ所載りました。
しかし・・・いつも思うのは新聞記者ってタイヘン。
私の他にコメントが出ている人が二人。
多分、この記事を書くのに全部で5,6人以上の話を聞いているはず。
だって、私のところに取材に来たのは先月の半ば過ぎだったような。
それだけの手間暇時間をかけて半ページ分でしょうか。
担当の記者さん、ご苦労様でした。
まあ、書いてあることは業界の常識の範囲内。
特に不動産屋さんは読む必要ありません(笑)。
さて、では今日は中古マンションの取引について
初歩的な知識を語りましょうか。
夕刊フジに書くレベルの話です。
まず、新築と中古の大きな違いのひとつは取引相手。
新築マンションのというのは野村不動産や
三井不動産レジデンシャルといった企業から買うことになります。
いっちゃあ悪いのですが、連中は基本的に傲慢です。
どちらかというと「売ってやる」という意識が強いもの。
特に人気のある物件になると「客を選ばなきゃ」なんて
平気で嘯くのが大手デベロッパーの連中。
まあ、それはいいのですが・・・・
中古の場合、ほとんどが個人から買うことになります。
たまに、仲介業者が買い取ってリフォームしたような物件もあります。
はたまた、竣工して1年以上経過した新築マンションは中古扱い。
そういった場合は業者から買うことになります。
では、相手が企業と個人では何が違うのか?
いろいろあるのですが、タイムリーな話だと消費税。
個人が相手だと消費税が付きません。
それと、もっとも重要なことは保証。
新築マンションを企業から購入すると、2年間の保証がつきます。
正確な法律用語で言うと瑕疵担保責任というやつです。
これは法律で決まっているので、エラそうに言うことではありません。
また、竣工後10年間は構造部分にも瑕疵担保責任がおよびます。
「竣工後7年目に雨漏りが発生した」となると
もとの売主がこれを補修しないといけないのです。
もちろん、地震などの災害の場合は話が別です。
中古マンションの場合、これがありません。
ただ、売買契約で瑕疵担保条項を入れれば話は別ですが、
通常は「現況有姿」といって「あとで文句言わないでね」という取引。
そう考えると、新築の方がいいように思えますね。
ちょっと話をズラします。
私は、建築精度的なダメ物件(雨漏りがしたり、壁がはがれたり)を
買ってしまう確率は、中古よりも新築の方が高いと思います。
ある条件のもとに、ということですが。
なぜかというと、新築の購入は「ババ抜き」みたいなものだから。
欠陥住宅というのは、ほとんど工事現場の手抜きから生まれます。
あるいは、施工監理のずさんさから生まれます。
人間がやることですから、必ずどこかで発生します。
まるっきりなくしてしまうことはできないのです。
数年前に市川のタワーマンションで起きた「鉄筋が足りない」みたいに、
売主が大手企業、施工が一流ゼネコンでも発生します。
だから、確率は100分の1以下かもしれませんが、
新築マンションを買う限り「ババを引く」可能性はあります。
しかし中古マンションの場合は、よく注意するとそれを回避できます。
特に、築10年以上のマンションにおいてそうだと思います。
私は「最初の10年に大きな欠陥が発見されなければ、次の10年、20年も大丈夫である可能性が高い」と考えています。
雨漏りやタイルの剥落、コンクリートのひび割れといった
致命的な欠陥はたいていが最初の10年で発生するからです。
また、建物の傾きや工事精度の粗さからくる様々な現象も
10年もたてば如実に出てきます。
したがって、しっかりとそういう点をチェックすれば
そのマンションが買っていいかいけないか判断できるはずです。
チェックに自信が無ければ、信頼できる専門業者に依頼すればいいのです。
話を戻します。
中古マンションはたいていの場合、個人から買うことになります。
あるいは、個人を相手に売ることになります。
その間、仲介業者というのが介在します。いわゆる、街の不動産屋さん。
東急リバブルや三井のリハウスなんていう大手もありますね。
彼らは買い手と売り手からそれぞれから
売買価格の3%+6万円という手数料を取ります。
ちなみに、この手数料には消費税がかかります。
ある物件の売却を依頼された業者が、買い手も自分で見つけてくれば
いわゆる「両手」という双方からの手数料を独り占めができます。
当然、多くの業者がこれをやりたがります。
そのために、様々に歪な現象が発生します。
それについては、この日経新聞にも出ていますのでご参考に。
ここでは、記者には話したけれど、記事にならなかった話を書きます。
まず、中古マンションを買うにも売るにも
「業者選び」ということが最重要です。
なぜかというと、多くの業者は客よりも自分の利益を優先します。
例えば、売却を依頼された業者はなるべく早く、
自分で客付をしようと考えます。
ぐずぐずしていると誰かが買い手を見つけてくるかもしれません。
そうすると買い手側の手数料をもらえなくなります。
そこで「この物件なら0000万円くらいですね」と、
本来の市場価格よりも低めで売却するように売り手に迫ります。
なぜなら、安い方が売りやすいからです。
こういうことを、民法では「利益相反」といいます。
つまり、客と業者は「敵と味方」という位置づけになるのです。
それで「両手」をやるとなると、それぞれの敵と味方を演じ分け。
これは基本的に民法で禁止されている「双方代理」になって、
立法の精神に反する制度だと思います。
買い手の場合も同じ。
「そういう物件だったら0000万円出さないとありませんよ。それよりもこういう物件はどうです?」
こんな感じで、客の要望よりも「今ある」物件を売ろうとします。
なぜなら、その方が面倒臭くないからです。
さらに、客の値引き要請にも嫌になります。
値引きした額で売主が承知しないと取引が成立しなくなるからです。
彼らは取引が成立して初めて手数料が稼げるのです。
だから、値引きでゴネる買い手は嫌われます。
中古の値引きノウハウについては、こちらをご活用ください。
まあ、こういう悪癖は仲介業者全般にはびこっています。
むしろ「お客様の立場に立って」という業者の方が少数派。
だから、良心的な業者(担当者)に出会える確率は極めて僅少。
私のところに相談に来られる方がよく
「仲介業者さんって、どうしてああなのですか?」と
よく愚痴られますが、それはもう諦めるしかありません。
実は私とて、何度もイライラした経験があります。
よくアドバイスするのは
「売るのも買うのも大変です。カンタンだとは思わないでください。できるだけ多くの業者さんに会って『これだ』と思う人を見つけてください。そして、その人に任せてあげてください。そうすればきっとうまくいきます」
ただそういう人に出会うためには、
おそらく10人以上の業者に会う必要があるでしょうね。
あの業界は人材のレベルがかなり低いですから。
夕刊フジの公式サイト zakzak
に榊淳司の連載コーナーが設置されています。
どうぞ、みなさん寄って行ってください。
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