7月もそろそろ終盤を迎えます。
なんか、この月は短かった印象があります。
いろいろなことがあって、光陰矢の如し。
ちなみに、私はもうすぐ51歳になります。
20代の頃は50過ぎのジジイなんてとんでもない年寄りに見えました。
今、自分がそうなってみて・・確かにジジイですね。
身体の動きは鈍くなったし、目も見えなくなってきています。
食欲もかなり減退しました。
酒を飲みに行っても「二次会は勘弁」という感じ。
きれいなお姉さんを見ても「あ、キレイね」でおしまい(笑)。
そりゃ、キレイでないお姉ちゃんを見るより気分はいいですが。
その昔は「人間50年」と言いました。
われらの先祖が猿と変わらない暮らしをしていた頃は、
50年も生きる個体は100にひとつもなかっただろうと思います。
つまり、私が今も健康なのは文明のおかげです。
例えば、今の日本人は私のような庶民に至るまで
江戸時代のどのような王侯諸侯、富豪富貴よりも贅沢な暮らしをしています。
うまいものを食べて快適な住居に住んでいるのです。
江戸時代には扇風機や冷暖房がほとんどありませんから。
食べるものだって、江戸時代人に吉野家の牛丼を食わせたら
その旨さに卒倒するのではないでしょうか。
先日、ある不動産会社の研修会に呼ばれたとき、
こんなお話をしました。
「日本の住まいはこの数十年で大きく変わっています。たとえば、東京の人はマンションに住むようになりました。ところが、マンションというのはエアコンがなければ暮らせません。エアコンがなかった時代、日本人の多くは風通しの良い木造家屋に住んでいました。そうでなくては夏を過ごせなかったからです。鎌倉時代の随筆に徒然草というのがあります。書いたのは吉田兼好という人。彼はそこで『家づくりは夏を旨とすべし』といっています。冬の寒さは耐えられるけど、夏の暑さには耐えられない。だから風通しのいい家を作るべき、ということなのです」
実は、少し話に飛躍があります。
住宅公団がこの国に団地を作りはじめたのは約半世紀前。
その頃は今ほどエアコンが普及していませんでした。
「3C」といって、カラーテレビにクーラー、カー(車)は
多くの家庭にとって憧れの「文明の利器」だったのです。
私も新卒で就職したころ、エアコンのないワンルームに住んでいました。
夏は死ぬほど暑かったですね。今では考えられません。
今、東京のマンションでエアコンのない部屋などほぼないはず。
実は私、エアコンが嫌いです。
私の事務所にはもう一人50オヤジがいるのですが、彼は私以上に冷房嫌い。
だから、ほとんどエアコンを付けません。
私一人なら、猛暑の昼間はさすがにエアコンを付けます。
暑すぎて頭が働かず、原稿が書けませんから(笑)。
でも、もう一人は何があってもエアコンは付けませんね。
私の事務所は街中のビルの4階。
窓を開け、玄関ドアも半開きにしておくと風が通ります。
実は、マンションであっても風通しさえよくしておけば
そこそこ自然の涼風が入ってくるはずなのです。
特に高層階になればなるほど風が強くなりますから。
まあ、タワーマンションのように20階以上ともなると、
今度は逆に風が強くなりすぎて窓を開けると危険が大きくなります。
今の時代、ほとんどのマンションは「通風」などということを
まったく考慮せずに設計されています。
「夏はエアコンを使えばいい」という安直な発想です。
だから「内廊下設計」をホテルライクと自画自賛しています。
私は内廊下のマンションにも住んだことがありますが、
あれは妙に人工的で好きになれません。本当に、ホテルみたいです。
ホテルは内廊下でいいのです。短期間しか滞在しませんから。
でも、毎日暮らす家に自然の空気が流れないのは嫌ですね。
どうやら、私は個人の好みとして「人工的」なものが嫌いみたいです。
例えば、埋め立て地の街並みはどうしても好きになれません。
月島のような街は好きですが、みなとみらいには疎外感をもちます。
マンションも、好感が持てるのは8階建てくらいまででしょうか。
40階以上のタワーマンションのそばによると眩暈さえ感じます。
中に入ったりするのはわりあい平気です。
ホテルで高層階の部屋に泊まるのも大丈夫。
でも、毎日暮らすのは絶対に御免ですね。
そして、エアコンが嫌い。
絶対にダメというわけではありませんが、
私の事務所では年に50時間も使わないと思います。
自宅は家族がいるのである程度使いますが。
まあ、私は自分が少数派だと思っています。
でも社民党ほどではないはず。
せいぜいみんなの党の支持率くらいはあると思います。
こんな「人工嫌い」のためのマンションを、
どこかのデベロッパーが作ってくれないでしょうか。
できれば、緑のカーテンとかメンドクサイことをしなくても
自然の風が通り抜けるような住まいを、です。
夕刊フジの公式サイト zakzak
に榊淳司の連載コーナーが設置されています。
どうぞ、みなさん寄って行ってください。
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