マンションの名前ってどうしてヘンなの?

マンションの広告を作っていると
ヤマのようにバカらしいことを経験します。
発注するマンションデベや販売会社の知能レベルが低いことに
起因する事象が大半なのですが、中でも飛び切りアホくさいのが
ネーミングとロゴづくり。

マンションの名前なんて、短くてシンプルが一番です。
だいたい、住んでから自分の住所を書くときに長ったらしい
マンション名は面倒くさくて仕方がないじゃないですか。
例えば「ザ・パークハウス 晴海タワーズティアロレジデンス」。
これ、全部で23文字もありますよ。住所よりも長くなる(笑)。
かといって略して「ザ・パークハウス 晴海」ではダメ。
だって「ザ・パークハウス 晴海タワーズクロノレジデンス」
というのがあるから、どっちか分からなくなる(笑)。
かといって、下の「クロノレジデンス」とか「ティアロレジデンス」
だけでは部外者には全く分かりません。
本当に住民泣かせな名前ですよね。

でも、この「クロノレジデンス」とか「ティアロレジデンス」
というミョウチクリンな名前が決まるまでには、普通なら
100くらいのネーミング案が死んでいるはずなのです。
しかし・・・クロノとかティアロといわれても、全然意味分かりませんね。
別に知りたいとも思えませんが。

この2つの物件の近くに、住友不動産が出している
「DEUX TOURS CANAL&SPA(ドゥ・トゥール)」というのがあります。
これは、誰がどう見てもネーミングの完全な失敗作です。
その昔、山手線の愛称を「E電」にしようとして大失敗したのよりも
さらにひどい失敗だと思います。
だって、まったく意味が分かりませんから。

私は元が広告屋です。
広告の世界では「ネーミングは最強のキャッチコピー」というのが常識。
そういった意味で、この「DEUX TOURS CANAL&SPA(ドゥ・トゥール)」は
もっとも「やってはいけない」見本となるものですね。
だって、全然意味が分からないし、覚えにくい。
一番覚えやすい方法は「コーヒー屋さんみたいな名前」だと
頭に入れることでしょうか。
だって、ドトールとドゥ・トゥールだと日本人にはほぼ同じに聞こえます(笑)。

どうしてこんなバカな名前を付けたのでしょうね?
きっと、責任者がバカだからに違いありません。
また、そういう愚行を許す企業体質なのでしょう。
こういうおかしなことを「おかしい」という人が
マンションデベの世界にも、その取り巻きの広告屋にもいないのです。
だから、これからもどんどんおかしな名前のマンションが現れるはず。

あの業界は、財閥系企業からしてネーミングには至極いい加減です。
ネーミングとかブランド構築というものへの出発点からして
間違っている場合が多いように思えます。
例えば、三井不動産レジデンシャルの看板ブランドが「パークホームズ」。
他にも「パークシティ」とか「パークタワー」、その他「パーク・・」がいっぱい。
三菱地所レジデンスのそれは「ザ・パークハウス」。
こちらも「パークテラス」、「パークハビオ」なんてのもありますね。
住友不動産には、最近使っていませんが「パークスクエア」。

みんな「パーク」が付きます。
どうして? そもそも「パーク」ってなに?
アメリカのコンドミニアムの名前を調べたことがあるのですが、
Parkというのを使っている場合は、本当に公園のそばです。
公園というのは、文字通り誰でも入れる場所。
パークサイドというのは分かりますが、ただのパークは公園です。
では「パークなんちゃら」というマンションには誰でも入れるの?
パークホームズという名前なのに、最寄りの公園まで徒歩5分はザラ。

英語のネイティブはprak homesとかpark houseという言葉から
いったいどういうモノをイメージするのでしょうね?
最近、身近なところにネイティブがいないので聞けません。
どなたか、お聞きになって教えていただけませんか。
このブログ、アメリカからのアクセスが異様に多いので、
ぜひお願い申し上げます。

だいたい、財閥系の企業が同じようなブランド名を使っている、
というのはいったいどういうことでしょう?
一般の方は「パークホームズ」と「パークハウス」を、
明確にどちらが三井で三菱か、どの程度認知されているのでしょう?
おそらく、パっと分かる方は2割もいないと思います。
マンションを探している人でも、半分に達するか否か。

そこへ「ドゥ・トゥール」たら「ティアロ」、「クロノ」と
言われても大半の方はチンプンカンプンでしょう。
だいたい、その名を聞いて何もイメージできないのが最低。
ラテン語だかフランス語だか知りませんが、ただの自己満足。
そして、世間への大きな迷惑。やめていただきたい!

そこへいくと、関西系の阪急不動産は中々潔い。
ブランド名は「ジオ」です。英文はgeo。
日本語のイメージは「地べた」だと思います。
しっかりその土地に根付こう、という意味なのでしょうね。
ただ、geoは英語的に「泥臭い」「百姓」というイメージもあります。
野村の「プラウド」=proudが「傲慢」という意味を含むのと
ちょっと似ているかもしれませんね。
知らず知らずに、ブランド名に社風が出ているのかもしれません。

夕刊フジの公式サイト zakzak
に榊淳司の連載コーナーが設置されています。
どうぞ、みなさん寄って行ってください。


2013/8/21 13:53 Comments (1)

1件のコメント

いや、これはホントです。
最近ウェブ上で自分の住所を書くのに文字数制限があったりするとマンション名が入らないケースがあるんですよね。

不動産会社は本当にプロの広告屋を使うべきではないかと思います。

2013/08/26 15:13 | by こばのぶ

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