ミニミニバブル、その崩壊の見分け方

先週、業界関係者といろいろ話していて、
建築費の高騰がさらに酷くなっていることを聞かされました。
1住戸だと2300万円以上。坪単価、長谷工で88万円くらい。
長谷工は普通のゼネコンより1割は安いというのが常識。
スーパーゼネコンだと軽く坪100万円は超えそうです。

それで、ゼネコンが儲かっているかというと、
そうでもないみたいですね。
一部の、復興事業系はウハウハなところがあるみたいですが、
チマチマとマンションの施工をしていたような二流ゼネコンは、
ヒーヒー言いながら竣工させて工事費を締めてみたら赤字、とか、
あるいは職人の目途がつかないから見積もりも出せない・・なんて。
儲かっているのは鉄筋工やトビの親方だけ、という見方もあります。

もはや異常事態といっていいのではないでしょうか。
建築費が落ち着くまで、郊外型の開発は不可能になりそうです。
もともと、郊外のマンションなんて作らなくてもいい、
というのが私の持論なので、むしろいい方向にはあります。
実際、11,12,13の三連休の集客状況を聞くと、
都心は相変わらず絶好調、23区内はまあまあ、郊外はダメ。
建築費が高騰しなくても、郊外に需要はないのです。

不動産経済研究所は、首都圏における今年のマンション供給を
去年並みの5万8千戸と予測していましたが、それは下に外れそう。
多分、今の建築費で発注すると売れなくて赤字になるので
多くのデベロッパーは事業化を躊躇するのではないでしょうか。
野村不動産や住友不動産みたいに腕力の強いところは、
それでもある程度出せるでしょうが、中小デベは・・・・
またぞろ「塩漬け」になるか大手に転売するかしかなくなります。
都心の場合、この好景気なムードが続いていれば、
価格が1割から2割上がっても、ある程度は売れるでしょう。

今はまさにミニミニバブルが絶好調といっていい状態ですね。
しかし、非常に危険をはらんだ状況であることも確か。
ミニミニとはいえバブルには違いありませんから。
それも、消費税増税という冷や水がかかるのが見えているので、
いつブレーキがかかるのかヒヤヒヤしながらのバブルです。

今回のバブルは、前回の記憶があまりにも生々しい内に始まりました。
その前の超大型平成バブルは1985年から90年頃まで。
ITバブルは2000年頃。不動産ミニバブルは2005年から08年。
ITバブルは不動産にあまり影響しなかったので端折るとすると、
平成バブル終焉からミニバブル開幕までの間が約15年。
ミニバブル崩壊から今回のミニミニバブルの始まり(2013)までが5年。
ちょいと短すぎるような気がします。

しかし、今回のミニミニバブルの成り立ちは平成バブルと同じ。
その原因を作っているのは政府と日銀。犯人は「過剰流動性」。
平成バブル期は今よりもずっと金利が高かったのですが、
資金需要はいくらでも沸いてきました。
今は史上最低レベルの低金利なのに、
現金は銀行に積み上がったままか、
国債になって金庫にしまわれている状態。
日銀がこの2年で市場に流し込んでいるのは約200兆円。
個人が国債その他で仕舞い込んでいるのは1000兆円以上。
これが出てくれば、平成バブルの数倍規模なんですけど(笑)。

あの平成バブルを記憶にとどめている目で見ると、
今回はいかにもミニミニ感が強すぎ。
イケイケドンドンという勢いに欠けますね。
あの時は、誰もバブルが弾けるなんて考えもしなかった。
今回は、ほとんどのプレイヤーがおっかなびっくりでやっています。
だって、さすがに生涯で3回目ですからね(笑)。

今回のミニミニバブルが弾ける兆候として、
私が注意していることを書いておきますね。
みんな、どこかで一度は書いたことですが。

●ダイヤモンド誌が煽り気味のマンション・不動産特集を組む。
●株価がジリジリと下がり始める
●不動産や株とは縁が薄い雑誌が、それらの「投資特集」を組む。
●そのへんのお姉さんが株式投資の話題を始める
●地上波のワイドショーが不動産投資を肯定的に紹介する
●榊淳司まで不動産投資のコメンテーターに狩り出される

もちろん、最後のはジョークです。
私をそんなところに使おうとするディレクターや編集者はいません(笑)。

いつも書いているように、バウルはバブルです。
今回は、ほとんど実需増を伴っていません。
バブルはマンションを増やすかもしれませんが人は増やしません。
結局は「いつ弾けるか」という問題に収斂します。
こういう時こそ、落ち着いたマンション選びが必要なのです。

どうなる、2014年の不動産市場?

榊淳司が熱く語る

2014年の不動産市場バリ島不動産投資セミナー

ブログよりも過激な発言をお求めの場合は
私のツイッターをご覧ください。
twitter.com/SAKAKIATS

夕刊フジの公式サイト zakzak
に榊淳司の連載コーナーが設置されています。


2014/1/20 13:30 Comments (0)

コメントはまだありません

No comments yet.

RSS feed for comments on this post.


Leave a comment

※こちらへ書き込みいただいたコメントは、承認後全て表示されます。
マンション購入に関する個別相談等こちらへ表示させたくない場合は、
専用フォームからお願いいたします。