都心の新築マンションは本格的にバブル価格になってきました。
新しく売り出されるマンションは、2013年前半と比べると
15から20%値上がりしている印象ですね。
原因は、もちろん建築費の高騰。土地代も上がりました。
さて、問題はこのバブル価格が定着するか、ということです。
業界内で聞いて回っていると、ベテラン勢からは
「いつか来た道」という話がよくでます。
30代前半くらいは「このままいくんじゃないですか」的な
感覚でいらっしゃる方も多いですね。
マンションの価格が上昇しても、それ以上に景気が拡大していれば
たいして問題ではありません。
いってみれば、今のバリ島みたいなものです。
不動産価格は毎年上昇するけれども、それ以上に経済が拡大しています。
バリ人の所得も徐々に向上。だから、ローカルさんも家が買える。
ところが、今の日本は経済が縮小しています。
4-6月のGDPは年率換算で7.1%も縮小しました。
実のところ、これは恐慌状態です。
でも、みんな涼しい顔をしているのは、メディアが騒がないから。
その理由はたびたび書いたので、ここでは触れません。
足元の景気は悪化しているのに、なぜか株価は上昇。
都心のマンション価格も高騰しています。なぜ?
不思議ですね。株価のほうは私には説明できません。
いろいろ探しても、納得できる解説をしてくれる
エコノミストは見当たりません。
まあ、円安だから、という方が多いですね。
これも、よく分らない。何回か前に書いたように、
円安というのはカンフル剤で、一時的な刺激を与えるだけ。
中長期で見れば、円安は日本の国富を減らします。
最近、アメリカはドル高政策に転じた気配がうかがえますね。
「人民元を切り上げろ」という要求を見なくなりました。
それでいて、QE3を終了するタイミングを狙っています。
日本はアメリカから2周半ほど遅れている感じ。
日銀の黒田君は更なる金融緩和に意欲的。
「いくらでもカネを流しますよ」みたいなことを言います。
多分、歴史上もっとも気前のいい日銀総裁ですね。
日銀の金庫(というかコンピュータデータ上)には、
長期・短期の国債が212兆円も積み上がっているんですって。
この1年で87兆円ほど増えたそうです。
政府の借金はだいたい1000兆円ですから、2割強。
日銀も政府の一組織のようなもの(厳密には違いますが)。
政府のある組織が別の組織に、国家予算の
2年分を貸している、ということになりますね。
「だったら、お互いにチャラにしちゃえばいいじゃん」
経済・財政ど素人の私はいつもそう思っています。
そうすれば、政府の借金はたちまち800兆円弱に。
誰も損しません。日銀と政府の帳簿がややこしくなるだけ(笑)。
前にも書きましたが円とかドルとか人民元とは言っても、
それは巨大な幻想にすぎません。
1万円札はみんなが1万円の価値があると思っているから、
それに相応する品物と交換してくれるのです。
ある日突然、紙くず同然になってしまうかもしれません。
日本は、大東亜戦争に負けた時にそれを経験しました。
「風と共に去りぬ」を読んだのは、もう40年近くも昔。
スカーレットの父ジェラルドがせっせと南部国債を買いこんで、
結局は紙くず同然になってしまうくだりを、今でも思い出します。
スカーレットは自ら綿畑に出て農作業を行い、
カーテンでドレスを作って牢獄のレッド・バトラーに逢いに行きます。
あの落ちぶれ具合が強烈でした。
いつか何かの雑誌で見かけた「国債を買いませう」と書かれた、
昭和18年頃のポスターも印象的。
日本国債は雀の涙になりました、満州国債はどうなったのでしょうね。
昔の満鉄本社は今、アメリカンクラブになっていて、その半分は
定借のマンション「麻布台パークハウス」として販売中。
築4年ですが、全然売れないから30%以上の値引きをしているそうです。
50年の定借ですからあと46年ですか。年々価値が加速度的に減ります。
まあ、どうでもいい話ですが(笑)。
結局、国債なんてものは怪しい紙切れにすぎません。
おっと、今や紙切れですらなく、コンピュータの中のデータですか(笑)。
それを言い出せば、株式も国債以上のあやしい金融資産。
一番手堅い現金だって、国が亡びればパーです。
支那では、造幣局の関係者が偽札を作っているそうです。
だから、本物そっくりの偽札が出回っています。
銀行のATMからも偽札が出てくるそうで、油断も隙もありませんね。
そういう現代社会システムの弱点をついて、
不正にお金儲けをたくらむ才能は、漢民族が世界一ではないでしょうか。
日本の印刷技術は世界一です。
国家を挙げて偽札を作っている北朝鮮でさえ、
日本の一万円札を偽造したとは聞いたことがありません。
その円が、ジワジワと価値を下げています。不気味。
それを理由に株価が年初来高値を更新。なぜ? ようわからん。
日本株の取引は6,7割が外国人です。
円安で買いやすくなったから買っている?
日本はおそらく、これからとんでもない不況に突入します。
消費税が10%にあがったら、というのが前提ですが。
それも、かなり長期にジトジトと湿った感じの不況。
新しい産業が生まれていないのに経済の担い手である
若年人口が急減しているのですから、実質GDPは必ず減少します。
現に今、コンビニやスーパーの売り上げが減っているでしょ。
なのに、高くなった都心のマンションだけが
いつまでも調子よく売れるはずがありません。
いずれ必ず下落局面はやってくるのです。
本物のインフレになれば話は別ですが。
そう考えれば、買えないはず。でも、見えない人は買う。
外国人も買う。相続税対策も買う。
ちょっと混乱しているように見えるのは、私だけ?
さて、資産価値レポートのご案内です。
今回は新作の「北区総集編」。
北区というと赤羽ですね。
でも、北区は北西と南東に細長く、
その一部は山手線の内側に入り込んでいます。
「田端」駅のあたりが北区だって、知っていました?
北区というのは、豊島区よりも一段下に見られます。
でも、交通利便性はそんなに変わりません。
江東区の深川エリアとちょっと似ています。
でも、新興の住宅地ですから価格はお手頃。
東京へのニューカマーには住みやすいエリアですね。
合理的に考える方には、なかなかにリーズナブル。
今回は、その北区で販売中のマンションを全部回ってきました。
けっこうおもしろい物件がありましたよ。
■Brillia(ブリリア)山手 動坂 GRAND-SUITE,■ザ・パークハウス 北赤羽,■イニシア赤羽志茂,■ザ・パークハウス 東十条フレシア,■AZEST東十条,■リリーゼ浮間舟渡,■クレストガーデンレジデンス,■王子飛鳥山ザ・ファーストタワー&レジデンス,■シティタワー赤羽テラス,■ザ・パークハウス 駒込丘邸フレシア,以上10物件の資産価値と商品バランスを詳細に分析・解説
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まろたんさん、こんばんは。
メールをありがとうございました。
まろたんさんも本屋の息子ですか。
私は以前のブログに書きましたが、京都の古本屋の息子。
なんとも奇縁ですね。
甲南はいい大学です。
こっちでいえば安倍さんの成蹊か成城、学習院とテイストが似ていますね。
しかし、塾校ばなしは面白かった。
日本にもそれらしいエリート校があったのかと、
恥ずかしながらこの歳で知りました。
私も慶應の卒業証書を持っていますが、まったく別世界ですね。
出自というのは、学歴と同じくらいその人の人生に影響しますね。
でも、最も大切なのは心がけ。あるいは志。
庶民の生まれの私は、そうお思いながら生きています。
そして、間もなく仕事人生の最終コーナーです。
せいぜい往生際悪くあがいて見せましょう。
また、スパイスたっぷりのコメントをお待ちしています。
榊淳司
2014/09/28 00:02 | by Sakaki Atsushi榊さま。
静かな土曜日。秋の一日です。
慶應高校のことで思い出しました。
もう三〇年くらい前、1980年代のこと。
当時勤務していた会社の人ですが、その息子さんが、
なんと、慶應高校に特待生で合格したと、
嬉しそうに話し掛けてきました。
私よりもひと回りも年上の人で、全く他部署のでしたが、
ひょんなことから飲み友だちとしての付き合いでした。
この人、甲南大の出身と言えば榊さまもお分かりでしょうが、
関西のおぼっちゃまクンで、頭脳のほうは「ま、それなりに」でした。
トンビが鷹を生む、まさに遺伝学を否定するケースですが、
もしかしたら奥さまの遺伝子を・・・。(笑)
資産家でしたが、イヤミのない気のいいオッサンでした。
余談ですが、
外資系は出自がわりと裕福な家の人が多かったようでした。
私は例外で、ショボい本屋のセガレですから。
ま、その分、気楽なものではありましたが。(笑)
それはともかく、こんな言葉を読んだことがありました。
> 漂えど沈まず。われひとり。悠々として、急げ。
残された歳月。
かくありたいものですね。
九〇を超え自適に生きておられる、榊さまの叔父さまのように。
ごきげんよう。
2014/09/27 15:58 | by まろたんまろたんさん、こんばんは。
今日は慶應高校出身者2名と飲んできました。
塾高ばなしをさんざん聞かされて、なんとも羨ましい限り。
まさに、日本のエリート校の実態に嘆息。
まあ、それはいいとして。
株価は限界にきているような気がします。
円安で儲かるのは輸出企業だけですから。
不動産市場も、ピークを越した感がありますね。
そろそろダイヤモンド誌の特集でしょうか(笑)。
円はどうなるのでしょう?
消費税は増税しても先延ばししても円安になりそうな気がします。
アメリカがドル高政策に転じた気配がありますから。
景気は、どっちにしても悪くなりそうに思えますね。
目先、儲かっているのは輸出企業だけ。
国民の実質所得は下がっていますから。
しかし、侮れないのが富裕層の動き。
日本には1600兆円なんて個人資産がりますからね。
この国は知らないうちに2極化してしまいました。
「一億総中流」なっていっていた頃は、とうの昔。
正社員の平均給与は年430万円だそうですが、
この数字は信じられないくらい低レベル。
私の周りには1千万円2千万円の輩がゴロゴロしています。
つまり、一般庶民はかなり貧しいけれど、富裕層はリッチに暮らしている。
そういう富裕層が都心のマンションを買うので、
一般ピープルとは別の経済になっています。
だから、読みにくい(笑)。
1ドル120円になれば、国内生産が可能になる業種が増えるはず。
雇用を生み出せれば、日本のマクロ経済には好影響。
ただ為替は移り気ですから(笑)。
また、卓見をお聞かせください。
おやすみなさい。ごきげんよう。 榊淳司
榊さま。
都心部のマンション価格が2割くらい上がっていると。
購入層がもし外国人であれば、2割超の円安=ドル高から見て、
理解・得心できます。
もし日本人の場合は、やはり富裕層の相続税節税対策と見るのが、
妥当なところでしょうか。
そのように見れば、この先、円安=ドル高がさらに進めば、
マンション価格が円で値上がりしても、ドルバリューでは変わらない訳ですから、外国人は買うのではないでしょうか?
日本人の富裕層は、やはり買いに動くのでは?
低金利にお金を寝かせているよりはという動機も。
将来のインフレも考えれば、そのヘッジとしても。
もちろん相続税対策は主眼でしょう。
そして、物件の供給不足も心理的な拍車を掛けるのでは?
デベも強気で行けそうだと。
いかがでしょうか?
しかし、です。
このバブルに実需物件まで引っ張られるとしたら、
先行き「失望・ため息相場」になりそうですね。
これも時代でしょうか?
「かれは昔の彼ならず」と言いますね。
どうやら「円は昔の円ならず」のようです。
東北大震災とフクシマを境にして、すっかり変わっちゃったみたい。
バリバリの筋肉質から、今や円は軟調にあり、と。
貿易収支は大赤字で、それも続きそう。
経常収支もギリギリってところ。
日本の会社が、海外で企業買収がお盛んとか。
まさか、今のうちに、なんてね。
見限り、見捨てたなんて、そんな薄情なこと。
なんてね。
ああ「円は昔の円ならず」。
幾年数か過ぎた日に、この国の人びとは、
今を思い出して、しみじみ口ずさむのでしょうか。
「あのころって筋肉隆々、逞しく強かったのにねえ」
「あのころって、しあわせだったよね」
中原中也は歌います。
> 幾時代かありまして、
> 茶色い戦争もありました。
今宵はこのへんで。
ごきげんよう。
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