今のマンション選択は難しい

私は新築マンションの資産価値レポートを書くために、
千代田区、新宿区、文京区、港区、渋谷区、目黒区、品川区、中央区、
杉並区、江東区、江戸川区、墨田区、豊島区、北区、世田谷区の15区の
現地をすべて見て回ります。これ、けっこう大変。
他に川崎市川崎区や武蔵小杉・新川崎エリアもカヴァー。
大阪と京都のマンション市場も定期的に見て回っています。

マンション業界で、これだけ多くの現場を見て回っている人はいないはず。
また、おそらく年間500物件以上の新築マンションについて
資産価値レポートを書いています。
東京都心における新築マンション1物件1物件の立地特性について、
おそらく私以上に詳しい人間はいないはずです。
売れた、売れていないという市場動向もそうですね。

例えば、野村不動産の方なら自分たちの現場がある周辺の動向や、
これから仕込む土地のまわりの物件については詳しく調べます。
しかし、自社にまったく関係がない場所についてはノーマークなはず。
2013年の発売戸数1位の三井不動産でも7500戸弱。
昨年のトップはまだ発表されていませんが6千戸くらいでしょう。
1物件平均80戸として75物件。1社でカヴァー出来るのはそれだけ。

かつて私も籍を置いたことがある広告代理店という業態には、
各社ともに「マーケティング」という部署があります。
マンションを専門にするマーケッターは、対顧客(マンションデベ)向けに
「企画書」とか「市場分析」といったレポートを出します。
カンタンなものでも50枚。分厚いのは何百枚。
まあ、半分以上はデータですが、「紙爆弾」ですね。

不動産業界は遅れているから、未だに紙でやっているのでしょうね。
あのオッサンたちがタブレットをもって会議室に集まるとは思えません。
まあ、そんなことはどうでもいいのですが、マンションが専門の
マーケッターにしたところで年間に75本も書けません。
せいぜい週に1本。年間50本も書く人はいないはず。

つまり、ほとんどの現場を確認して、市場を眺めて、1物件ずつの
資産価値について考えて、レポートを書いているのは私だけ。
それをやりながら連載原稿や依頼原稿を書き、時々著書を出し、
雑誌や新聞などのメディアの取材に対応し、時に
テレビカメラに向かってコメントし、有料・無料の相談をこなし、
なおかつこのブログを週に3回ほど更新し、1日3回から5回くらい
ツイッターで戯言を呟きながら日々を過ごしております。
まあ、後半はどうでもいい話ですが(笑)。

そういった活動を、かれこれ7年ほど続けてきました。
この7年間にマンション市場は大きく変わりましたね。
7年前は2008年。リーマンショックはその年の9月でした。
その前に「不動産ミニバブル」とか「ファンドバブル」という、
あの平成の大バブル以来のバブルがマンション市場を席巻しました。
価格が上がってしまったので、エンドさんは買えない状態。
リーマンショックの前から新築マンションは売れなくなっていました。
2008年と2009年はマンションデベロッパーの倒産ラッシュ。
バタバタと潰れていきましたね。ひどかった。

そして今また、東京の都心はバブルになっています。
あれからたったの7年しかたっていないのに。
プレーヤーはほとんど変わっていません。超若手以外、みな経験者。
彼らはマンションの価格が高くなれば売れなくなるのを知っているので、
おそるおそる都心の事業用地を買っていますね。

それにしても、今はこの7年間でもっとも異常な状態です。
都心のマンション市場がスカスカ状態になっているからです。
ただ、その周縁部はボチボチと新しい物件が出始めました。
建築費は上げ止まり傾向にあるそうです。
今はゼネコンも仕事を請けています。一時に比べれば正常化。

私は冒頭に挙げた15区その他を、だいたい3から4ヵ月でひとまわりします。
自分の眼で見た感じだと、実需系はかなり苦戦していますね。
ただし、いい物件は高くてもきちんと売れています。
立地や価格に無理がある物件は、やはり動きが鈍いですね。
竣工が近づき、あるいは完成在庫になって値引きしているのもたくさん。

ここ数カ月、資産価値レポートを書いていて
「このマンションは買えるな」という物件があると、
その部分だけを抜きだして有料メルマガとして配信しています。
いってみれば資産価値レポートの「美味しいとこ取り」。
月に3本程度のペースで配信していますので、ぜひご購読ください。

ちょっと前に有料相談にみえられた方はレポートの購入者。
そういうケースはけっこう多いのですが、まあそれはいいとして・・
「いや、こんないいものがあったのですね」
つまり、新築マンションについては、
肯定的な情報しか世の中に出回りません。
私のレポートは基本辛口ですから、しっかりデメリットを伝えます。
もちろん、いいところはキチンと評価します。
ただし、それは私の価値観における評価です。
しかし、それが彼にとってはヤケに新鮮だったようです。

そのお方、私の資産価値レポートを読んだ上で、
「これは否定されるだろう」と予想しながらやってこられました。
あとでこうおっしゃっていました。
「否定は否定だろうが、どの程度かが知りたかった」

有料でも無料でもそうですが、はっきり「買っていい」とか
「買ってはいけない」と申し上げるケースは稀です。
私として、その物件が5年後、10年後、20年後にどの程度の
資産価値が残っていて、貸したり借りたりするのにどうなのか、
ということを中心にお話しさせていただきます。

住まいを売買するというのは、各人の人生の一大事です。
どこにいくら出して住むのかは、それぞれの価値観にもよります。
また、それぞれの生き方の問題でもあります。
だから、私はそこまでは立ち入りません。資産価値への評価が中心。

ところが、その方にはハッキリと「おやめになるべきです」と言いました。
明らかなバブル価格と、その方の収入不足。
ローン返済が終わるのは70歳代。定年退職後はそうなるのか・・・
そういったお話しをしながら
「このマンションはギリギリで買うにはあまりにもリスキーです。むしろデンジャラスでしょうね」なんて。
英語にご堪能な方でしたから、拙い英単語で(笑)。

まあ、そういうこともあるのですが、いつもは資産価値のみ。
あとは、今がどういう時期なのかについて自分の考えを述べます。
主にこのブログに書いていることなので、みなさん確認されるだけ。
それにしても、マンションを買うには難しい時代です。
みなさんも、お迷いになったら有料・無料のご相談をお受けします。
どうぞご利用ください。

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2015/1/21 19:54 Comments (2)

2 Comments

まろたんさん、こんにちは。

だれも頼りにできない。
これは平凡ながら、人生の真実のひとつですね。
要介護になって、誰も介護してくれないのなら死ぬしかない・・・
恐ろしいけれど、真実です。
我々も動物の一種で、動けなくなったら死ぬしかない。
かなり平凡ですけど、真実です。

メールをありがとうございます。
ウインドウズ10は無償ですか。
それより、この8を7にしたいのですが(笑)。

どんな企業にも盛衰がありますね。
あのマイクロソフトでさえ、今は落ち目。
しかしIT企業のトップはなぜああもラフな格好で
製品のプレゼンをするのでしょう。
それがかっこいいから? よく分かりません。
みんなジョブズの真似をしているだけに見えます。

神は己を助くる者を助く

それでは、ごきげんよう

毎日、自分を励ましている榊淳司より

2015/01/22 16:00 | by Sakaki Atsushi

榊さま。

> ひとの痛みは、百年我慢できる。

何事についても、わが身のことにならなければ分からない。
と言うことでしょうか。
つまり、わが身以外のすべては「ヒトゴト」であると。

夕張市長・鈴木直道さんの著書から、以下、抜粋。

> 「財政再生団体」になった夕張は負担を増やされ、
> サービスも削減されたうえに、市民は18年間、
> ただ借金を返すために、暮らしていくことになりました。
> もちろんこれは北海道や国とも協議し、夕張が同意して決めて、
> 実行していることです。

> しかし、私はそのことに大変な恐怖を覚えました。
> 全市民が借金を返すだけのために、働き続けることのむなしさを、
> だれも何も考えていないんじゃないかと、
> 正直、思ったんです。

こころに沁みる言葉です。
思わず、ひとり立ちすくむような孤独。
弱冠29歳の心に去来した、深いふかい述懐であります。

ひとの痛みは、百年我慢できる。
畢竟、人は、ひとりでありましょう。
まさに、そこからです。
人生のすべてが、「闘い」が、そこから始まるのでしょう。

さて。
おととい・20日のこと。
代々木の某所で「介護保険」の会合があり出掛けました。
ご存知の通り、介護保険法は2000年に施行され、以来15年目。
去年、介護保険法は「医療介護総合確保推進法」に変わり、
制度も大きく変わりました。

介護保険支出は10兆円に激増し、さらに10年後の、
団塊世代が後期高齢者に突入する、2025年には、
20兆円に倍増する、と予測されています。
が、財源のメドは立っておりませんよ。

今ですら、財政が不足しています。
そのため介護制度に「穴」「すきま」が、たくさん生まれ、
詳しくは書けませんが、諸問題が手がつけられないくらいあります。
それらは、朝日・読売・NHKなどの報道するところです。

会合で、主宰者が言っていました。
「老人介護には、憲法25条は適用されません。
政府は、もはや、棄老の構えです」
私も「さもありなん」との思いであります。

介護制度はカタチだけ残し、実体は「骨抜き」にするつもりでしょう。
更にまた「公的年金」も「医療保険」も、少しずつ巧妙に、
「骨抜き」してゆくことでしょう。

もはや、国家の社会保障には限界がある。
国民各位に於いて「自助」せよと。
ほぼ「既定路線」であろうと、私見ですが。

長くなりましたので、ここまで。

ごきげんよう。

2015/01/22 02:24 | by まろたん

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