連鎖反応が怖いギリシャのデフォルト

ある程度予想できたことではあります。
ギリシャは、いよいよデフォルトのようですね。
それ自体は「なんてことない」出来事だと思います。
かつて、アメリカの証券会社リーマンブラザーズが倒産した時と同じく。
しかし、この事件が指し示す意味は深長ですね。

世に、「借金を返せない」事態は大小様々にあります。
数百万円の借金が返せずに自己破産する人もいれば
Ⅰ千兆円の借金をのうのうと繰り延べているどこかの国まで。
それはもう、日常茶飯事の光景です。

マンション業界も「借金返せない」企業だらけ。
例えば、マンションを建設することにかけて数量の実績も、
「安く作る」実力でもナンバーワンは長谷工コーポレーション。
この企業は過去に金融機関からの借金を
合法的に「踏み倒し」ています。

今は大和ハウス工業の傘下に入ったコスモスイニシアも
ADRという手法を使って借金を踏み倒しました。
その他、会社更生法や再生法も合法的「踏み倒し」の一種です。
それはもう、マンション業界にはそういう企業がウジャウジャ。
ことのほか倒産しやすい業態なのです。マンション開発は。

さて、ギリシャに話を戻しましょう。
かの国一国が破産するのは、「なんてことない」出来事。
しかし、これは実に重要なケーススタディになります。
近い未来に、ポルトガルやスペインも同じ事態に陥る可能性あり。

スペインは若年層の失業率が50%超なんて言われていますね。
もう、無茶苦茶というレベル。でも、一見平穏。
こういう国は、多分に「インチキ度」が深いと思われます。
つまり、経済全体の対するアンダーグラウンドの比率が高いワケです。
カンタンに言えば、行政機能が国土国民の隅々まで行き渡っていない。
地下経済が横行していて、税務当局が把握していないのです。

そういう国では、日本で言う「消費税」を少し上げても
政府の税収はちっとも増えません。
所得税をキチンと払っているのは大企業のサラリーマンや
公務員だけ、という恐ろしい状態なのです。
彼らにしたところが何かの副業にいそしんでいて、
その収入に対しては税金を払っていないのです。

日本では、もうすぐ「マイナンバー制」ができますね。
これって、財務省(旧大蔵省)の悲願だったシステム。
国民の所得を隅々まで把握できれば、税収なんて
あっという間に1.5倍くらいに飛び跳ねるはずです。
まあ、そんなにうまくいくとは思えませんけど。

スペインやイタリア、ポルトガルというのは
かなり「インチキ度」が高い国だと考えていいでしょう。
いわゆる「地下経済」が全体の20%以上を占めると推定されます。
しかし、これは正確には把握できないフィールド。
私は多分、3割以上ではないかと推定します。

実は、日本の地下経済もGDPの10%くらいあると推定されています。
例えば、反社会勢力の経済活動は税務署の把握外ですから。
歌舞伎町のボッタクリバーが売上を申告しているはずも無し。
親から毎年百万円ずつもらっても、合法的に地下経済のお金です。

今回、ギリシャがデフォルトになってしまうと、
「借金はキチンと返してもらう。できなければ破綻」という
ユーロ圏内のルールが既成事実となります。
ギリシャ一国の破綻は蚊に刺された程度の影響でしょうが、
スペインやイタリアとなると、それこそリーマン以上。

多分、そうはならないと思います。
いくらECBでも、自らの首を絞めるようなことはしない・・・
と、私は思うのですが、世間はどうでしょうね?
スペインがデフォルトすると、それこそ世界は疑心暗鬼。
通貨なんて、ドルも円も元も信用できない、となって・・・
金とスイスフラン、そしてイギリスポンドが買われるでしょう。
原油や鉄鉱石の値段も反転上昇に転じる可能性があります。

身近なところでは、都心の不動産市場はどうでしょうか?
冷や水を浴びせられることは確かですね。
ただ、これがバブル崩壊につながるかどうかは分かりません。
というか、それだけでは崩壊しないでしょう。

気になるのは、おとなり中国のバブル崩壊。
上海の株価が不安定な動きをしていますね。
中国の経済というのは、中身も運営手法も無茶苦茶です。
この十数年の不動産開発ブームが経済成長の原動力でした。
しかし、それでストックが溜まったかと言うと、大いなる疑問。
10年でボロボロになるマンションをいくら作っても
それは資源と労力の浪費に過ぎないのではないでしょうか。

はたまた、過剰な生産設備は長期デフレの温床となります。
富の偏在は社会不安のマグマを増大させています。
経済運営は破綻しているのに、表面的なバブルが崩壊しないのは
政府が必死に支えているからに他なりません。
実に歪な経済大国です。この先、どうなるのか?

実は、彼らの巨大な富の存在は日本経済にも影響しています。
分かりやすく言えば、都心のタワーマンションを買っている人の
1割以上が大陸から人民元をもってやってくる彼らなのです。
銀座のデパートやドンキホーテで爆買いしているのも彼ら。

中国のバブルが崩壊すると、どうなるのか?
ちょっと予想が付きません。いいことはないのは確か。
中共政府は必死で介入するでしょう。株式市場で買いまくる。
あるいは、一時的に株式市場を閉鎖して人々のパニックを冷ますはず。
それこそ、不動産取引は無期限に停止、なんて荒業もあり。
何といっても一党独裁の国ですから何でもできます。

そうなれば、日本の都心不動産バブルなんて一気に弾けます。
多くの人が、とりあえずホールドしている物件を手放しに走ります。
もちろん、中国人も「投げ売り」を始めるでしょう。
それこそ週刊誌の大好きな「大暴落」状態。
仮にそうなれば、巨大なビジネスチャンスです。
富裕層たちは静かに安値物件を拾って回るはず。

まあ、そんなことになるかどうかは分かりません。
しかし、ヤバそうな雰囲気が広まってきたことは事実です。
後から思えば「その時が・・・」と言うのが今かもしれません。
しかし、ギリシャのデフォルトも一転瀬戸際で妥協、
なんていう事態もあり得ますね。
まあ、明日のデフォルトは確実でしょうけれど。

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2015/6/29 15:39 Comments (3)

3 Comments

榊さん、どうも。

私の書き込みは、また無視されるものと思いますが・・上海や北京の不動産のことをチョックラ・・・

日本の不動産のことはわかりませんが、上海や北京は、20年近く上海で生活してきて、見守ってきましたので、結構わかってるつもりです。
北京には5つもっていまして、既に3つ売ってきました。4つ目を売るべく、今は活動中。ここ2年うんともすんとも言ってこなかったんですが、先週から問い合わせがワンサカ。何故かというと50年、70年の限定付き権利から、解放されるからのようです。私の北京のブツは本来ですとあと32年の命だったんですが、それが永遠の命になる模様。
それがいつから施行されるのか・・来月からだという噂もあります。
高値警戒感から引き揚げた個人投資家のカネは既に不動産に向かい始めてるようです。

中国のブツが10年でボロボロ、というのは確かにそうですが、上海では1930年代に作られたアパートなども高値で取引されてるのです。また1990年代に作られた6階建てのエレベーターのないおんぼろアパートも60㎡の部屋が日本円で4500万円。日本人が見たら500万円でも引いてしまうような部屋ですが・・
ということで、不動産を見る目、価値観は日本人とは大違いなのです。
東京の不動産市況も中国人が絡んでくると、今までとは違った様相を見せるものと見ています。

2015/06/30 04:40 | by 井上@打浦橋@上海

まろたんさん、こんばんは。

人類は文明という素晴らしいものを作ったがゆえに、
そこから派生したくだらない文化で生命力を衰微させていますね。
まあ、早ければあと数百年。
もっても1万年かもしれませんね。
それを想えば、歴史なんてのはくだらない学問です。
私は嫌いじゃありませんが、どこか虚しい。

慰安婦問題で騒ぐ韓国人も
南京大虐殺をでっちあげる中国人も、
架空戦記で溜飲を下げていたバカな日本人も、
言ってみれば同根のアホです。

ギリシャ問題は、「次」が焦点です。
どこまで和気あいあいといくのか。

人類はたかだか200万年。
短い命に終わりそうですね。
人類の短い生涯を想い、お神酒をいただきます。

ごきげんよう。  榊淳司

2015/06/30 00:29 | by Sakaki Atsushi

榊さま。

アリンコは、キリギリスを援助し続けるべきか?

ギリシャ処分は、小学一年生レベルの命題。
EUのお偉方が、総がかりで取り組むことでっかいな?
まさか、何か弱味でも?

人類は出現以来、数百万年。
だんだん劣化・退化していますね。
この分では、まもなく「和気あいあい」と、ほろぶことでしょう。

自立して生きてきたからこそ、数百万年、過酷な環境下で、
生き抜いて来たわけです。
まさに「サバイバル」です。

アリンコは、キリギリスを助けるべきか?
なんて「ぬるい」ことは、思いも及ばないことでした。
生き残るものだけ、生きて・生きて・生き抜いての、数百万年。

やはり人類「和気あいあい」と、ほろんでゆくのでしょう。
そう遠くない日に。
その筆頭に、日本人が?

なんのことは、ない。人類・お騒がせ生物でしたね。

ごきげんよう。

2015/06/29 22:16 | by まろたん

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