バブルはなぜ起こるのか?

騒ぎが収まりませんね。
今日は雑誌の取材を受けることになっていたのですが、
そのあと急きょキー局がコメントのV撮りにやってきました。
局で使うでっかいカメラを持ってきたのでビックリ。
「明日の朝、放送です」
ふーん、と思っていたらさっきショートメールで
「すみません、明日はマンションをやらなくなりました」
まあ、この無精ひげの醜い姿が出てこないのでいいとしましょう(笑)。

しかし、明日も雑誌の取材を受けることになっています。
今日はその他メディアからの取材電話がたくさん。
収まっていないのですよ「パークシティLALA横浜」傾き事件。
先週やたらとコメントを出したので、掲載紙誌がいっぱい届いています。
お昼ご飯を食べながらくらいではとても読み切れません。
まあ、それもどーでもいい話ですね。話題を変えましょう。

先日、中国の7-9月期のGDPが6.9%成長だと発表されました。
世界の中国を見る目が変わっているのを実感。
世界の主たる経済メディアは、どこもそれを信じていません。
IMFでさえ、独自の調査結果を発表しているほどです。

原油価格は、さっき見たら1バレル44ドルです。
中国の粗鋼生産能力は、日本の最盛期の5倍程度もあります。
自動車の生産能力も5千万台だとか。
世界でトップ級のトヨタは日本国内で300万台、世界で1千万台。
中国の人口は日本の10倍以上、GDPは2倍強。
あきらか、生産過剰ですね。

石油も、鉄も、二次製品の自動車も、世界的に供給過剰。
ついでに言えば、日本の住宅も生産過剰。
まあ、これは置いておいて(笑)。
この生産過剰状態は1929年とよく似ているそうです
あの時は第一次世界大戦で世界の生産能力が一気に増えた後。

中学校や高校の世界史で勉強する「大恐慌」です。
世界経済はこれによって長らく停滞。
実際に不況から脱出したのはヒットラーのおかげです。
第二次世界大戦であまりに多くの生産設備が破壊されました。
その復興需要により、世界経済は回復したのです。

さて、1929年から大恐慌と今と比較すると…
生産設備の過剰は、そっくり同じです。あまりに似すぎ。
このままでは、世界丸ごと大恐慌、という構図です。
でも、大きく違うのは通貨を取り巻く環境。

1929年当時、通貨は基本的に金本位制でした。
今のように「足りないから」という理由で増やせなかったのです。
1972年の「ドルショック」で、世界の通貨は「金」とお別れ。
各国の中央銀行は必要に応じて通貨を発行しています。

21世紀は、23世紀くらいの歴史家からきっと「通貨の世紀」と
呼ばれるのではないかと、私は考えています。
私たちは今、「お金」を必要に応じて増やせます。
印刷機を回す必要さえなくなりました。
日銀のとある端末に、ピッピッピと打ち込むだけでOK。
それで「円」という通貨は80兆円も増えました。
これが2014年10月の「黒田バズーガ2」です。

同様のことをFRBは「QE」という呼ばれる金融政策でやりました。
いつものようにカンタンにいってしまうと
「景気が悪くなっているから、世間に出回るお金を増やす」政策。
これって、体調が悪くなったから点滴を打つようなものです。
基本的な体力は回復しないけど、目先は元気なった気がする、というもの。

「通貨を増やす」というのは、金本位制では不可能でした。
なぜなら、保有する金に相当する額しか通貨を発行できないから。
ところが「管理通貨制度」では、中央銀行の裁量次第。
「政府にお金が足りないから」「景気を良くしたいから」という理由で
中央銀行はジャンじゃかお金を増やせる仕組みです。
私は常々、これは巨大なインチキシステムだと思っています。
まあ、それもひとまず置きましょう。

1929年と今が違うのは、このインチキシステムがあるかないか。
今は、各国の中央銀行は自由に通貨が増やせます。
1985年、ドル高と貿易赤字に困ったアメリカは
先進5か国を集めて「お前ら、ドル安に協力しろ」と迫りました。
いわゆる「プラザ合意」。会議はたった20分。TPPとえらい違い。

ここで「はい、わかりました」と積極協力したのが日本。
日銀は円高誘導を図ったのですが、対症療法として金利を引き下げ。
ジャンじゃか市場に円を供給して「円高不況」を回避しようとしました。
その結果生まれたのが、あの平成バブル。
その後の展開は、みなさんご存知の通り。「失われた20年」。

さて、今また日本銀行は史上最大規模の金融緩和を行っています。
金利はあの時とは比べ物にならないほど低水準。
なのに、日本のGDPは一向に増えません。
安倍君はGDPを600兆円に増やすと言っていますが、まず無理。
出来るはずがありません。その理由は生産過剰と需要減退。

景気が悪い、というのはお金のめぐりが悪いこと。
モノが売れない、ということでもあります。
だから、景気対策の中で「金融政策」とはお金を増やすこと。
今、世界中でそれをやっています。
でも、「お金を増やす」というのはタダで誰かにあげることではありません。
たくさん用意して、低金利で貸してあげる、というのが金融政策。
いずれ返さなくてはならないお金を、金利がタダでも借りるのはちょっと・・・
という人が多いので、金融政策には限界があります。

もうひとつの「財政政策」というのがあります。
これは政府が率先してお金を使うこと。
中学校の歴史の教科書には「ニューディール政策」というのが出てきます。
F・ローズベルト大統領が共産主義者に騙された政策なのですが、
教科書にはそんなことは書いてありません。

政府がお金を使って雇用を生み出し、景気を刺激する、という政策。
これはいたって社会主義的な考え方です。
ほぼ、効果がないことが歴史的、実証的に証明されています。
しかし、義務教育の教科書に書いてあるので、
未だにこれが有効だと考えている政治家や官僚が多くいます。

ものすごく簡単に言います。
日本のGDPはだいたい500兆円です。
経済成長というのは、このGDPがいくら増えるか、ということ。
5兆円増えれば1%の経済成長ですね。
だったら、政府がいつもより5兆円たくさんお金を使えばいいじゃん、
といういたって単純な考え方が「財政政策」。

今の日本政府の実質的な年間予算は50兆円前後。
だったら5兆円分の国債を発行して公共事業をやろうよ、ということ。
鉄道や道路を作ればいいじゃん。それでGDPが増えるなら、という発想。
確かにそうはそうなのですが、政府の借金も増えます。
この発想で40年くらいやってきたので、政府の借金は今や1千兆円。
もう、絶対に返せない規模に膨らんでいます。

ところが、じつのところ金融政策や財政政策では景気は良くなりません。
みなさん、覚えていますか?
いまや誰も言わなくなった「アベノミクス」。
今は「第2弾」なんていうまやかしをやっていますが、
安倍政権発足直後の「成長の3本柱」を思い出してください。
それは「金融政策」、「財政政策」、「成長戦略」が三本柱だったのです。

あれを見た時、わたしは「オオ!」と思いました。
「分っているじゃん、安倍君」と感嘆したものです。
あの暗い民主党政権時代、経済を分っている閣僚はいませんでした。
あそこまで疲弊した日本に必要だったのは、金融緩和と財政政策でした。
成長戦略というのは、中身はたんなる規制緩和ですが、それも必要。
つまり、3年前の安倍君は実によくわかっていたのです。

今は、ちょっとズレてきましたね。
金融緩和はやりすぎ。財政政策もいいかげん。成長戦略は、何もなし。
そもそも昨年の「黒田バズーガ2」は余計でした。
あれは安倍君に「2015年の10月に約束通り消費税10%な」というシグナル。
大蔵省出身の黒田君が現財務省の圧力でやっちまったことです。
おかげで、都心の不動産価格はあまりにも不健全なバブルになっています。

この後始末は多分、この後の「失われた10年」を招くでしょう。
さしたる需要もないのに不動産価格が上昇。
空家ばかり増えて、将来の暴落の土壌を肥やしています。
円安は中国人の爆買いまで招来してしまいました。
日本は人口減少の時代に入り、移民は認めないでしょう。
不動産価格はこの先ずっと下落圧力にさらされます。

しかし、世の中にはお金が余っています。
これが1929年の大恐慌と今の違うところ。
余ったお金は行き先を探しています。
東京の不動産は「曲がりなりにも」利回りが3-6%です。
だから、中国人が買いに来るのです。

その理屈を延長すれば、利回りが1%台の台北や香港並みまで
東京の不動産価格は騰がる可能性があります。ハッハッハの世界。
でも、それは多分、ないはずです。
「100年後に投資額を回収」という投資はあり得ません。
それよりも有利な投資があれば、そちらに逃げます。

だから、日本の不動産に投資している中国資金は
いつか一斉に引き揚げにかかるでしょう。
その日はそんなに遠くないと私は思っています。
今、東京都心の不動産に流れてきている投資資金は
8年前のミニバブル期よりたちが悪いと思います。
世の中にお金は余っていても、それは制度が作りだしたもの。
結局、健全な需要こそが資産評価の基準となるはずです。

お金があるなら、こんな東京の不動産にするべきではありません。
とっても不安定で、将来の値下がりが確約されています。
なぜなら、人口も世帯数も減少するのは確実
それでいて、人口増政策はあいまい。移民は受け容れない・・・
住宅需要が増えないのに供給は続きます。

不動産投資を行うなら経済成長エリアです。
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2015/10/27 1:13 Comments (2)

2 Comments

まろたんさん、こんにちは。

確かに、ドルは別格ですね。
ただ、私は買おうとは思いません。
なぜなら、余計なお金がないから(笑)。
まあ、何億円か余っているのならドルの資産も持ちたいところですが。

中国は国ごと粉飾決算をやっているそうで、
実質的なGDPは1000兆円くらいだといわれています。
まあ、日本の倍ですね。
あの国はただ今経済が実質的にマイナス成長です。
そんな国の通貨をIMFが「引き出し権」付にするなんて無茶苦茶。
他人ごとだと思えば何でもないのですが・・・

なんかお疲れモードに入ってやる気が出ませんね。
毎日壊れたテープレコーダーみたいに
同じことを喋っているので、本当に壊れてしまいそうです(笑)。

まろたんさん、そろそろ一人旅ではなかったでしたっけ?
私もゆっくりと温泉に浸かりたいものです。

それではまた。 ごきげんよう。 榊淳司

2015/10/27 16:31 | by Sakaki Atsushi

榊さま。

「通貨」は身近なものですが、分かってるような、分かってないような。
誠に「自分のこころ」のような、胡散臭さ。(笑)

通貨は、その「国力」でしょう。
で「国力」とは、平時は経済力であり、有事は腕力=軍事力でしょう。
これがニンゲン社会、世界のリアリズムという認識です。

さて。今や、
先進国の通貨はインチキっぽい。仰る通り、青山通りです。
ですが「米ドル」は別格であろうと認識しています。
腐ってもアメリカです。

資本主義や民主主義など、戦後の価値観の心棒です。
軍事力は他国を圧倒し、寄せ付けないと認識しています。
ですから、世界はアメリカの衰退を望んでいません。
シナ・ロシアなど一部の「ゴクドウ」を除いて。(笑)

アメリカ一強は、変わってもらっては、やはり困る。
心棒がなくなると、世界はどうなるでしょうか!
シナ・ロシアなどが出張って来たら、世界は?!

長くなりました。
言いたいことは、ひとつ。

「円」が転んでも世界は認めるでしょうが、
「米ドル」が転び、アメリカが「寝たきり」になる事態を、
世界は認めないでしょう。
ですから、世界は米ドルを支える。つまりアメリカを支える。
くどいようですが、シナ・ロシアなどを除いては。

近い将来、円が転ぶことはあり。
「ドル高・円安」がトレンドでしょう。
世界も、オーケー・ノープロブレムと。

もう、40年も前のことです。
日本国のGNPが世界第二位になったとき、
日本国中、ガッツポーズ、大騒ぎでした。
そんな中、こんな冷めたコメントが。

「二位にはなれたが、一位にはなれない。絶対に」

いつの時代も、冷めたひとはいるものです。
社会の端っこに。(笑)

ごきげんよう。

2015/10/27 09:58 | by まろたん

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