新築マンション市場の漂流

最近、メディアの取材などが少なくなったので、
「今のうち」というワケで資産価値レポートの
更新作業に精を出しております。
おかげで、有料メルマガも高密度にバンバンと発信中。

さて、前回もそうですが、そんな中で気づいたことなどこもごも。
新築マンションについてアレコレいうブログは多いようですが、
物件の表層的な情報なんぞは、その辺にいくらでも転がっています。
そんなことよりも、もっと大きな視点でこの日本社会と
マンション市場の関係を捉えながら未来を占うのが、
このブログの役割かと考えています、なーんて。
ちょっと大仰ですが、大きな方向性はそうなので・・・・

まず、新築マンションの需要層が、明らかに二極化していますね。
郊外では、坪単価160万円の物件でも売れないモノは売れない。
千葉や埼玉の奥では120万円台でも、動きが鈍いですね。
であるのに、都心で売れている物件はすぐに完売しています。

まあ、今年になって新築、中古とも実需勢の動きが鈍りました。
湾岸エリアで売り出し物件が多い割には成約しないのは、
売り方は投資・投機勢なのに、購入側は実需勢ではないかと予測。
買う方にしてみれば、新築分譲価格よりも高いわけですから
それは躊躇します。でも、住むためならそれを買うしかない・・・

私に寄せられる無料相談は、それこそ一次需要層がかなりを占めます。
彼らの動きを見ていると、上がった中古や新築を渋々選んでいます。
一方、有料相談に多い富裕層は都心を買うべきか否かでお悩み。
かれらは「今買わないともっと上がるかも」という不安に駆られています。
まあ、今以上に上がるなんてことは、そうそうないと思いますが。

富裕層は、世帯年収が最低でも1500万円くらいはありそうな方々。
経験上申し上げると、3人以上の家族なら世帯年収2千万円以上ないと、
余裕は出てこないでしょうね。税金その他もありますから。
そんな彼らはたいてい、3,4千万円くらいの自己資金は余裕でお持ちです。
中には、数億円単位で投資資金を動かす方もいます。
彼らは彼らで、ある種の市場を形成しているのです。

一方、郊外が中心の一次需要層は、ますます元気をなくしています。
というか、そのイメージが見えなくなってきています。
彼らのほとんどは、中小企業への勤務者です。
正社員になってやっと年収が400万円から600万円くらい。
そのまま1千万円になることなく一生を終える方がほとんどです。
というか、リストラされなければラッキーくらい。
また、非正規雇用なら300万円あればいい方。
住宅ローンを組むのはかなりきつくなります。
こういった層は、今や安心して35年ローンを組めないのです。

団塊ジュニアが、まだ30代の頃は旺盛な需要がありました。
彼らは何とか正社員になれた最後の層です。
郊外で長谷工がばかでっかいマンションをプロデュースしても、
どひゃっと広告を打てばそれなりに売れたものです。
たいていが、竣工前の早い段階で完売していました。

「全戸平置き駐車場100%設置、月額使用料500円から」
なーんてチラシが、毎週末に新聞に折り込まれていましたね。
ああいう「アタマの悪い」物件は、いまどうなっているのでしょう?
すでにマイカー離れが言われていたにも関わらず、
駅から歩けるマンションまで「100%駐車場」でした。
まあ、マンション業界と言うのはチャイニーズ的なところがあり、
何かが流行れば「一斉に」同じ方向に進みます。アホです。

しかし今、あの類の大規模開発は、最盛期の数分の1にまで減りました。
いかな頭の固いマンションデベロッパーといえども、
とうとう市場の変化に気付きました。
今の彼らは、都心エリアで手堅く売れるマンション開発にシフト。
郊外型は、申しわけ程度にしか行っていません。
もっとも、都心に弱い長谷工コーポレーションは相変わらず
郊外でのプロジェクトを進めているようです。
でも、その長谷工でさえ、最近はシルバー事業に注力しています。

かといって、都心ならまだマンション開発が儲かる、
と言うことでもありません。土地も建築コストも高くなりすぎ。
今年の後半は、もっと高くなりますよ。もう、買えないくらい。
マンションデベロッパー、ますます事業展開が困難になっています。

最近、京都のマンション市場を見ています。
なんと、この3か月弱の間に14物件もの新規が出てきました。
5年くらい前に京都市のレポートを始めた時、
全体ですら15物件くらいでした。今は50物件近く。異様です。
それも、ほとんどが五条通より北。京都市の中心エリア。
さらに言えば、新規発売のほとんどが東京の大手デベが売主。

「ど、どないしはりましたんや?」の世界。
5年前は、東京資本なんか数えるほどしか来ていませんでしたよ。
どういうことかというと「京都は儲かる」と彼らが考えたから。
それと、それ用の土地もホイホイと出てきているのです。
多分、京都人たちが「今のうちに東京の奴らに売っとけ」と
高値でのリリースを行っているのだと思います。

こういった現象をどう捉えるべきでしょうか?
マンションデベは、明らかに方向感覚を見失っています。
その理由は、新築マンションを「住むため」に買う人々が、
今や少数派になってしまったことに依るからです。
投資や投機、あるいは趣味やセカンド的にマンションを買う人々は
市場や時代の流れに敏感です。
今はまだ高揚感がありますが、冷えてくるとぴたりと止まります。

今年になってから、マンション市場にはいくつもの
警戒警報が鳴り始めました。しかし、まだ崩れてはいません。
もしかしたら、今月あたりに日銀が臨時の政策会合を開いて
「バズーガ4」をぶっぱなす可能性も否定できません。
それは円高の行方と株価次第なところがあります。

「バズーガ4」となれば、都心の不動産バブルはさらに膨らむでしょう。
でも、バブルに関係ない郊外や地方にとってはいい迷惑。
ほぼ存在感のなくなった郊外一次需要層にも関係なし。

私は個人的に注目しているのは、マイルドヤンキー層の住宅需要。
彼らとて結婚すれば世帯分離します。新しい住まいを求めるのです。
いくらでも空家がありますよ、郊外や地方には。
リノベーションを行えば、素敵な家に生まれ変わる物件がたくさん。
彼らこそ、郊外や地方の空家を生める存在になるはずです。
近々、彼らや消えかかった一時需要層を対象にした拙著を刊行予定。
まあ、それはいいとして。

郊外で住むためにマンションを買う方は別として、
都心で「それなり」の住宅を求める方にとって、今は難しい時代。
まあ、価格が高いですからね。
でも「高い家賃を払っているから」という方もおられます。
悩ましいところ。でも、たまには買っていい物件もあります。
もちろん、ある程度下がることは覚悟せねばなりませんが。
物件の見つけ方を身に着けたい方は、私の有料メルマガを
半年くらいご購読ください。

資産価値レポートの更新情報です
「東京の大規模マンション」を最新情報に更新しました。
一次需要向け郊外が中心の「東京の大規模」は
在庫がたまる一方ですね。
一部で値引きも始まりました。いつか来た道。

東京の大規模マンション
価格 8,590

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5月21日 榊淳司の不動産売却ご相談会

を開催することにいたしました。
不動産の売却に関して、価格や時期でお悩みの方のご相談を
わたくしが無料で受けさせていただきます。
会場はバリ島不動産セミナーと同じところ。

開催日時:5月21日(土)12時~17時
開催場所:セトル 4階会議室
(東京都中央区日本橋横山町4−11 「馬喰横山」駅より徒歩1分)

5月21日土曜日の12時から17時まで、
私が相談会場におりますので、どうぞご自由にお越しください。
とくにご予約などは不要です。
ただし、順番におうかがいしますので、
ちょっと待っていただくかもしれません。

「榊淳司のお奨めマンション速報」

購読料 1ヵ月 1,590
※購読料金のお支払いはクレジットカードのみとなります。お申込みは コチラから  次のページの右下「カートに入れる」をクリックしてください

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2016/5/9 0:11 Comments (2)

2 Comments

まろたんさん、おはようございます。

こんな時間に私が活動するのは珍しいことです。
いつもなら、睡眠中。
今日はなぜか、早起きしました。理由不明。

地震は、いつ、どこで起きるか分りませんね。
こんな日本に、どうして35年ローンがあるのか・・・
マンションって、ひょっとして貧困ビジネス?

日本には、かなりの富裕層がいる反面、
膨大な貧困層が存在します。
年収300万円未満の成人男子は
6割から7割ではないでしょうか。
そりゃ、結婚できません。

生涯一度も年収が1千万円に達しない人も
9割以上ではないかと思います。
そりゃ、子ども作れません。

野垂れ死にが15万人と。
資本主義という競争社会は残酷です。
数%の勝ち組と、その他大勢の負け組を作り出します。
かといって、有象無象を甘やかすと
サッチャー以前のイギリスみたいになります。
まあ、人間も猿の亜種ですから
みんながみんな、幸せにはなれません。

東京はきわめてこなれた競争社会です。
勝ち組は港区と世田谷区に住まい、
勝ち組憧れ層が湾岸にマンションを買い、
中間層・競争枠外層がその他・下町に住みます。

そんなギスギストキオを見捨てた
まろたんさんの判断は、極めて健全かと思います。
この街には、街としてのエネルギーは十分ですが
奥ゆかしさに欠けますね。特に、都市計画エリアは。

さて、今日もアクセクしに行きます。
まろたんさんも、ごきげんよう。

榊淳司

2016/05/09 09:19 | by Sakaki Atsushi

榊さま。

> もっと大きな視点で、この日本社会と・・・。

そうです。
時代を読む。大きな時代の潮流があります。
その潮流に最も影響を及ぼすファクターこそ、
ズバリ「人口構成」では有馬温泉?

我らニッポン。
毎年・ウン十万人減ってゆきます。
そのうえ年寄りは爆増し、現役・子どもはプッツン。
こういう時代の潮流は、もはや「民族の運命」です。

変わることの出来ない法人も個人も、更に自治体も、
この激しい「民族の運命」の潮流に流され、
「淘汰」されてゆくことでしょう。

人口減と少子高齢化。
ニッポン人、未曽有の激変です。
マイナス金利なんでは、到底抗えませんよ。

「ぼくたちの失敗」
この未曽有の激 への対処に失敗すると、
「野垂れ死に」の風景が待っていることでしょう。

「いいじゃないの、今がよけりゃ」

そうです。その通り。
いつの時代も、みーんな、
そう言いながら「和気あいあい」と、
野垂れ死んで行ったのです。

今、自殺者は年間2.5万人。
この数字は「大本営発表」で実際は「この倍」。

ワカモノの自殺率は世界でトップ。
こんなに物質的に豊かな社会で、
君よ、どうして死に急ぐ。
現代の「シンプウ特攻隊」か?

「不審死」は、年間、なんと15万人余。
これって「野垂れ死に」でしょう。実態は。
年間総死者が130万人余。で不審死15万人。
9人にひとりが不審死。野垂れ死に。

シナよりはマシ。
なーんて言ってる場合ではないでしょう。
どうすりゃいいのよ、思案橋。
最後は「蹴り合い」ですよ。いつものように。

トコトン「くらーい」話をして「明るく」生きてゆく。
強くならなくては。
と、おのれに言い聞かせつつ。

それにしても。
湾岸地帯に並び建つタワマンの、
なんと醜悪な風景であることよ。
「世紀末」と言いたいくらいの。

「こんな東京で、死にたくない」
と、前にも書いた通りです。
私は、そこまでスサンデいないし、
スサミたくもない、デスケン。

東北大地震・フクイチ が、まだ収集つかず。
なのに、わずか5年で、クマモト。
あれが我が身であったらと思うと・・・。

振り向くな、ふりむくな、この世の闇を。
光だけ見て生きてゆけ。

これが、庶民の処世術。チエでしょうね。

ごきげんよう。

2016/05/09 05:27 | by まろたん

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