マンション広告の不毛な現実

最近、ちょくちょく広告のコピーを書いたりしています。
こんなロートルのコピーライターにも仕事が入るほど、
不動産広告業界はコピーライター不足だそうです。
まあ、どうしようもない世界ですから若い人は入ってきません。
やりがいもなければ、給料も安いですからね。しかもブラック。

あの世界、何がアホらしいかというと「理屈が通らない」ことです。
というか、まともな理屈を言える人もいないし、理解さえできません。
すべては「感覚」なのです。砕いていうと「好き、嫌い」。
いくら理論立てて説明しても、最後はキーマンがイエスというかノーというか。

マンションの売れ行きが、広告で決まることはほぼありません。
集客は、多少関係あります。でもそれは表現というよりボリュームの多寡。
たくさんお金を掛ければ、それなりに人は集まります。
まあ、表現なんてほぼほぼ実際の集客には関係ないのです。

一例をあげましょう。
「マンションのことなら分かるんだ、マンションのことなら・・」
というCFが1年ほど前、盛んにテレビで流れていましたね。
あれを見た時、私は口をあんぐりさせました。

あの会社、私は四半世紀以上も付き合ってきました。
マンション広告を手掛ける業界では、あの会社のイメージは「アホ」。
やたらと広告にこだわるけれども、社員の知識・教養は超低レベル。
理屈はまったく通じません。すべてが見た目。

あの「マンションのことなら分かるんだ」というCFを見た人は
いったいどういう印象を受けたのでしょうね。
私から見ると「私たち、こんなにバカです」と言っているようなもの。
私のまわりではジョークのネタにもなりませんでした。
「呆れてモノが言えない」状態だったのです。恥ずかしい!

それでも、あの会社は未だにマンション建設では揺るぎないナンバー1。
そのポジションを他社に譲ることは当面なさそうです。
なぜなら、いくらおバカな集団でも日本で一番安くマンションを作れるから。
つまり「俺たちバカだから」と何億円もかけて宣伝したにもかかわらず、
あの会社の売上を減じさせることにはならないのです。
広告表現とは、しょせんはそういうもの。虚しいですよ。

私は20数年間、その日本でもっともおバカなクライアント集団である
マンション業界を相手に、広告制作の仕事をしてきました。
かくいう私も、それほど利口ではありませんでした。
なぜなら、「こいつらだって、いつかは理屈が理解できるはず」
という根拠のない希望的観測を捨てなかったからです。

だから、日々広告の企画書を練り、コピー案をつくり、
デザインを含めたクリエイティブディレクションに勤しんでいました。
今から思えば、何とも虚しい作業をしていたものです。
でも、個人的な収入はあの頃の方がよかったと思います。
おバカな業界ですが、それなりのフィーは出してくれましたから。
まあ、それはいいとして。

あるマンションの広告案を作るとき、最初にコンセプトを打ち立てます。
分かりやすく言うと
「このマンションをワンビジュアル、ワンフレーズでどう表現するか」。
オフィシャルページのトップページをどう作るか、ということです。

実のところ、そんなのはどーでもいい話です。
みなさん、マンションを探す時に物件のオフィシャルページのトップや
「コンセプト」をしげしげと眺めますか?
そんな悠長なお方はまずいませんね。

多くの人は、まず「どこにあるか」という情報を探します。
「現地案内図」をみつけて、そこをクリックしますね。
ときどき、この「現地案内図」が探しづらいところにあったり、
場合によってはなかったりするので呆れてしまいます。
あの方々は未だにマンション広告がなんたるかを分かっていません。
私らの場合は、現地案内図の次に「概要」をチェックします。
みなさんは、間取りじゃないでしょうか。

つまり、トップページもコンセプトも「二の次」なのです。
しかし、広告を作るときはそこに一番労力をかけます。
というか、時間を浪費します。実にアホらしく、無駄な作業です。
そして、揉めれば揉めるほど、最後にはバカな案が採用されます。

もし、このブログをデベロッパーの担当者がお読みいただいているのなら、
ひとつ有益なご提案をさせていただきましょう。
1 優秀かつ実績のある制作会社を選ぶ
2 計画内容をできるだけ詳しく制作会社に伝える
3 彼らが最初に提案した表現案を採用する

カンタンに解説すると「1」は安パイを選ぶんと同じ理屈。
マンションのことを分からない制作会社は外した提案を出します。
「2」もカンタン。制作の方が多くの事案を見ているので、
物件についての客観的な理解がデベの担当者より深いのです。
私が今、こんな仕事ができるのは「量」を見てきたからなのですよ。
「3」が重要。私の千物件以上の経験値からすると、
いちばん最初の提案がベストだった、と言える場合が大半。
なぜなら、制作者は最初の提案をひねり出すのにもっとも注力します。

前にも書きましたが、数学ができない私立文系アタマの場合、
漠然としながら「どこかに答えがある」と考えています。
だから、クリエイター側にたくさんの提案を出させたがります。
それって、たいていは迷走しているだけです。
クリエイター側は、2回目以降の提案は考えているフリをしながら
テキトーに流している場合がほとんどですね。
それで、結局つまらない案が表に出ることになります。
そんなことをするくらいなら、最初の提案を採用した方が
よほどに時間とお金の無駄を省けます。

いつか書いた通り、私のアタマには理系の思考法が混じっています。
理路の通らない話は受け付けないし、自分でも作れません。
長年、「私立文系の海」というべきマンション業界に巣食ってきて、
ものすごい違和感を味わったのは「理屈が通らない」こと。
「うわ、こいつアホや」と心の中でつぶやいたことが、
何千回もあったように思えます。
シャレになりませんが、その場合、私は顔に出ます(笑)。

コピーの仕事が入ると、あの懐かしい日々を思い出します。
今、私は業界内の有名人なのでコピーライターとして
デベロッパーや販売会社の方々と会うことはありません。
私があっていた人々はみなさん、エラくなっているのでしょうね。
この業界、細る一方なので同年代のお方たちは、
どのくらいが無事に定年を迎えられるのでしょうか?
広告業界を振り返れば、それはもう無残なばかりに死屍累々。
この先、マンション業界周辺は「進むも地獄、留まるも地獄」。
だったら「逃げれば天国」になればいいのですが、
この国自体が衰退していますから、逃げ場所も見つかりませんわ。

さて、私とはかねてより友好関係にある
「ウチコミ」さんがセミナーを開いてくれることになりました。
テーマは

『これからの不動産投資の選択肢』
~海外不動産を視野に・日本と東南アジアでの投資を考える~

日時 8月6日(土)
場所 東京国際フォーラムガラス棟G510

今回はバリ島ではありませんよー(笑)。
私の講演の後、カンボジアの不動産を紹介するプログラムがあるそうです。
でも私、カンボジアのことは何も知りませんので、
お話しするのは『これからの不動産投資の選択肢』まで。

参加は「無料」。どうぞご参加ください。
ただし、定員は50名とやや少なめ。
早めにお申し込みくださいね。

資産価値レポートの更新情報です。
「日本一のマンション激戦区」である
川崎市川崎区をレポートを最新情報化。
住友不動産がさらに大規模物件を投入。
これを売り切るには何年もかかりそうです。

川崎市川崎区
価格 3190

■エステムプラザ川崎、■マークウィング川崎、■グレーシアシティ川崎大師河原、■リヴァリエ、■シティテラス川崎鈴木町ガーデンズ、■シティテラス川崎鈴木町グランドシーズンズ、■グローベル川崎ミッドスクエア、■レーベン川崎鈴木町グランネクス

7月23日 (土)榊淳司の不動産売却ご相談会

を開催することにいたしました。
不動産の売却に関して、価格や時期でお悩みの方のご相談を
わたくしが無料で受けさせていただきます。
会場はバリ島不動産セミナーと同じところ。

開催日時:7月23日(土)13時~17時
開催場所:セトル 4階会議室
(東京都中央区日本橋横山町4−11 「馬喰横山」駅より徒歩1分)

7月23日土曜日の13時から17時まで、
私が相談会場におりますので、どうぞご自由にお越しください。
とくにご予約などは不要です。
ただし、順番におうかがいしますので、
ちょっと待っていただくかもしれません。

「榊淳司のお奨めマンション速報」

購読料 1ヵ月 1,590
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2016/7/6 0:28 Comments (4)

4 Comments

まろたんさん、おはようございます。

今日は事務所で大宴会を催します。
広告屋時代からの飲み仲間と、
ブログ読者、編集系に声を掛けました。
昨日は某仲介新進系の社長と対談。
毎日、依頼原稿を書きまくっています。
まあ、お話しのあるうちに仕事せんと(笑)。
それでも、1日7時間労働。ただし、週休0日。
まあ、マイペースです。ぼちぼちあと10年、働きますわ。
ウエスタンはのんびりしていますね。
そういう暮らしもなかなか。
わたしもいつか、なんて思います。

それではまた ごきげんよう 榊淳司

2016/07/08 06:18 | by Sakaki Atsushi

榊さま。

蒸し暑いですわ。
今日、女房が整形外科を受診。
私は付き添いで同行しました。

自宅からタクシーで10分。1200円位。
日赤と済生会が当地の中核病院になりますが、
どちらとも10分も掛かりません。
千円札でオツリが来ます。

さて。
Hさんからメールが来ました。
明日金曜日、一組の内見があるそうです。
結果は追って報告とありましたが、どうでしょう。

当地に移り3か月。
地理・方向感覚はイマイチですが、ウスぼんやりと。
すぐそばにアーケード商店街があるのですが、終わりが早い。
夕刻6時ごろには大方の店は閉まります。飲食店は除いて。

東京とは大きな違いで、やはり地元の人は夜が早い。
勤め人も遅くまで残業なんてないようです。
東京は残業8時ー9時は当たり前、最終電車も0時ころ。
まあ「不夜城」ですけんね。

仕事が立て込んでこられたとか。
千客万来で結構なことですが 「追いまくられる」
という状態はシンドイですね。
ま、くれぐれも御自愛下さい。

ごきげんよう。

2016/07/08 02:56 | by まろたん

まろたんさん、こんばんは。

暑くなってきましたねえ。
スケジュールも立て込んできました。
この私にまた「本を書け」という依頼。
今年になって、何冊分を書いていることやら。
おまけに広告コピーでしょ、
雑誌原稿でしょ、
もしかしたらゴーストの依頼も入りそう。
30年ぶりの超売れっ子気分。
あと10年前に来てほしかった(笑)。

疲れたので寝ます ではまた ごきげんよう

2016/07/06 22:58 | by Sakaki Atsushi

榊さま。

確かに「広告」はコスパが悪そうですな。
住宅選びは「ロケーション」。
ズバリ「路線」では有馬温泉?

路線と駅で、ほぼ価格も決まるでしょうし。
私は京王線か中央線。
間違っても東武東上線では探しません。
おおかた「好みの路線」を持っておるような。

広告の「キャッチコピー」は読みませんね。
なぜか。
だってポエムだもん。(笑)
ただ「建物完成写真」は見ます。
あまり当てには出来ませんが。(笑)

しかしながら、東京都は広い。
首都圏として1都3県が境目なく広がる。

東京都だけで「1360万人」
1都3県で、ゆうに「3千数百万人」。
日本人の4人に1人が、ここにひっついておる。
異常ですよ。あー暑苦しい。(笑)

通勤電車の混みようとゆうたら。
あれでムラムラこんほうがオカシイ。(笑)
もう暫く乗ってませんので現況は知りませんが。

さて。
MRIの結果ですが「急性かつ重大な異常はナシ」と。
右小脳に「古い梗塞」があるが問題ナシと。
とりあえず「ほっ」ですね。
ご心配有り難うございました。

お互いくれぐれも養生しましょう。
快食・快便、そして快眠。
でしょうか。

ごきげんよう。

2016/07/06 22:11 | by まろたん

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