金利上昇で再び「失われた20年」?

3日ほど、東京を留守にしておりました。
九州の最南端あたりの温泉に浸かりながら、
「東京へ戻ったら・・なことをやってやろう」などと、
悪だくみを巡らせていたわけです。

ところが、3日も事務所を開けると残務処理の山。
溜まったメールの返信を打ち、相談にお答えしているだけで
一日の半分は終わってしまいました。
いつものように、メディアの取材もありました。

たまには、マンションのことでも書きましょうか。
私は東京23区のうちの20区の新築マンションについて、
その立地をすべて確認した上で資産価値レポートを書いています。
3か月に1度の割合で更新するものが47タイトル。
おそらく600物件以上の新築マンションについて、
私なりに資産価値の評価を行っています。

過去8年間、こういう活動を続けてきたおかげで、
首都圏のマンション市場分析については、
私が第一人者だと自負しております。
その私がここ1年の傾向をみて抱くのは停滞感です。
ハッキリ言えば「売れていない」状態ですね。

さらに言えば、注目物件が出てきません。
例えば「ブリリアタワーズ目黒」のような、その1年を
象徴するような新築マンションが市場に出ません。
先日も世田谷区と品川区、目黒区を回りましたが、
100戸以上の規模を持った新規参入物件はゼロです。
各区ともに完成在庫がジワジワと増えてきています。
何と言う停滞感でしょうか。

私がいろいろなところで書きまくったせいではないのでしょうが、
マンションデベロッパーも新築分譲のフィールドは
先細りであることを前提にしているようです。
各社とも流通市場を重視し、リノベなどにも手を出してきました。

マンション市場の重心は、もはや新築から中古へと移りかけています。
これは今の私にとっても困ったことなのです。
しかし、私もその内に主な活動フィールドを中古へとシフトする予定。
その準備を、今からそろりと始めている状態です。

「新築か、中古か」という選択に正解はありません。
新築が好きな人が、無理に中古を買うことはありません。
もちろん、その逆もしかり。しかし・・・・
世の中、ご夫婦で意見が分かれることが多いもの。
そんなときにはどうしたらいいのか?

私のところに相談に来られる方の中では、
奥様は新築好きで、旦那様は「何でもいいよ」というパターンを
多く見かけますね。だいたい、女性は新築や新品がお好き。
さらに言えば、ご主人がタワー好きで奥様は「そうでも・・」
というパターンも多いですね。

こういうのって、基本的に神学論争ですから結論は出ません。
また、私もそういうことには立ち入らないことにしています。
私がお話するのは、そのマンションの資産価値について。
10年後、20年後はいくらで売れるのか?
あるいは、貸すとした場合の空室リスクは?
といったことです。それは割合はっきり言うことができますから。

住まいというのは、人間にとって必須のアイテムです。
それだけに、みなさん「失敗したくない」と思われます。
特に、私に相談される方は資産価値にこだわるタイプが多いですね。
10年後には買った価格の半額になるのは避けたい、という発想です。

しかし、私に言わせれば現状で売りだされている新築マンションの
半分以上は10年後には半額で売れるかどうか分からない物件です。
特に郊外のファミリーマンションは確実に半額以下です。
だって、現実にそういった郊外型ファミリーマンションの
近隣エリアで流通している築10年中古は新築の半額ですから。

それでも、そういった新築マンションを買う人はいます。
10年後に半額になるのが分かっているのかどうかは知りません。
私が不思議に思うのは、今のようにバブルがピークに達している
この時期にも、マンションを購入しようとなさっている方が、
ウジャウジャといらっしゃることです。

確かに、今の金利水準は史上最低です。買いやすいですね。
だからと言ってバブル価格で買っていいのか、私は疑問。
今後金利が上がるかどうかというと、まず、下がりはしません。
というか、今よりも下がりようがないかんじです。
確かに、最低の時に比べてちょっとだけ上がりました。
といってもコンマ以下の差しかありません。

アメリカでは、トランプ君の経済政策がまだ始まりません。
その失望感で、日本の株価もさえませんね。
しかし、アメリカの金利はほぼ確実に上がるでしょう。
日本の金利もちょろちょろと上がり始めれば、
住宅市場にとってもアゲインストの風が吹きます。

そうなれば、不動産価格は今よりも下がることが確実。
今の浮ついたバブル価格が弾けるのは目に見えています。
なのに、今も買っている人がいるわけです。不思議。
まあ、そういう人がいないことには業界が崩壊しますが。

新築マンション市場に元気がないのも困りますが、
無用のバブルを膨らませた異様な低金利は罪が深い。
住宅ローンの金利は3%くらいまで戻すべきです。
しかし、今の情勢では3%まで引き上げるには最低で3年、
安全策を取れば5年は必要ですね。
ところが、あと5年もすれば住宅需要はさらに萎みます。
5年後の新築マンション市場は今の半分かもしれません。

かといって急に金利を上げればバブルはハードランディング。
まったく、日銀の黒田君は余計なことをしてくれたもの。
不動産屋さんたちはバブルで一瞬きらめいたものの、
また「失われた20年」を過ごすことにもなりかねません。


4月8日 (土)榊淳司の不動産売却&投資ご相談会

を開催することにいたしました。
不動産の売却に関して、価格や時期でお悩みの方のご相談を
わたくしが無料で受けさせていただきます。
会場はいつものところです。

開催日時:4月8日(土)13時~17時
開催場所:セトル 4階会議室
(東京都中央区日本橋横山町4−11 「馬喰横山」駅より徒歩1分)

4月8日土曜日の13時から17時まで、
私が相談会場におりますので、どうぞご自由にお越しください。
とくにご予約などは不要です。
ただし、順番におうかがいしますので、
ちょっと待っていただくかもしれません。
ちなみに、前回のご参加は5名様で、待ち時間が多少ございました。
今度はどうだか分かりませんが、
「押すな押すな」ではなさそうだと思います。

「榊淳司のお奨めマンション速報」

購読料 1ヵ月 1,590
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2017/4/4 16:56 Comments (3)

3 Comments

まろたんさん、こんにちは。

地方はごちゃまぜですか。
そして、いつでもオンナは強い(笑)。
しかし、どんな問題も鮮やかな解決法はありません。
あるとすれば、時間と死です。
ごちゃまぜの中で生きていくのも、
慣れるしかないと思いますよ。
どのみち、棲み分けがなされている
こちらの世界へは戻ってこないので、
そちらで何とかやっていくしかありません。
逆に、私もまろたんさんのような脱出はできません。

人間、だんだん保守的になっていきます。
現状から大きく変わることを厭います。
しかし、現実を支配できる人間なんてほとんどいません。
私のような市井人は現実に自分を合わせるしかない。
何かあるとすれば、変化を予想して結果を楽しむこと。
低金利がいつまでも続くとは思えません。

また、いろいろ教えてください。

ごきげんよう 榊淳司

2017/04/05 10:15 | by Sakaki Atsushi

榊さま。

ニッポンに於いて、
金利は上げられるでしょうか?
ニッポン、金利上昇を許容出来るでしょうか?

金利が、仮に1%-2%と上昇し始めたとき、
今のニッポン、何が惹起されるか?
黒田バズーカ、異次元緩和の「出口」の課題ですね。
東芝どころのハナシではないでしょう。

ワタシ個人的には、低金利、デフレ、少子化、
つまり現状のまんま、過ぎていってほしいと希望。
もうあと15年くらいは。(笑)
まあ、ムリスジでしょうが。

ごきげんよう。

2017/04/05 03:23 | by まろたん

榊さま。

九州で息抜きでしたか。
だいぶ暖かくなりサクラも開いて来ました。

私は連日歩いています。2-3時間くらい。
四国遍路の準備のためですが、
今日は日中20度を超え汗ばむくらいでした。

トキオなどの大都市圏は「棲み分け」が進んでいます。
例えば住宅地は「山の手・下町」のように。
歓楽街も同じ様な棲み分けがあります。

が、しかし、
地方の小都市には棲み分けがありません。
ゴチャ混ぜです。住宅も、店も、ニンゲンも。

ですから、東武東上線沿線に住むニンゲンが、
青山に住んでいるという状態ですね。
飲み屋などの店も同じ様な状態です。

このゴチャ混ぜ状態は、慣れないと疲れます。
なんせ、例えば大学教授とドカチンが、
また年収3千万の御仁と3百万の御仁が、
同じ飲み屋で飲んでるような状態ですから。
私には相当違和感があります。

昨夜は近くの焼鳥屋で飲みましたが、
小学生の子どもを連れた母親や、
高校生の孫を連れたバアサンが来ていました。
こういったゴチャ混ぜに、私は馴染めません。
居心地がわるく疲れますね。

タワマンにシナ人と日本人が住むとトラブルのもと、
のようで、やはり「棲み分け」は必要です。
「オトナのちえ」ですね。

その「棲み分け」がなく混然一体の地方の町で、
どのように身を処せばストレスが少なく暮らせるか?
当面の課題ですわ。
榊さま。「おちえ」拝借です。(笑)

当地に来て1年。
去年の春は引越しのドタバタで、花見どころではありませんでした。
今年の春は暮らしも落ち着き、散策したりと余裕があります。

当世ニッポンの共通の事情は、
どこもかしこも、オンナ、特にバアサンが多い。
この事情は働いていると分かりませんね。
榊さま。
あの傍若無人のバアサンと同じ空間にいる、
というのは、ホンマ疲れますよ。(笑)

ごきげんよう。

2017/04/05 02:57 | by まろたん

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