民泊新法が成立で、どうなるマンションの未来

本日、民泊新法が参議院で可決成立したそうです。
衆議院本会議で可決されてからわずか1週間。
民進党も賛成したそうですから、そりゃ早いわ。
さて、正式に民泊新法が成立したことで、
マンション市場にはどのような影響があるのでしょうか?

ハッキリ言って、新築マンション市場には何の影響もありません。
というのは、2年くらい前から民泊が大問題になってしまって、
新たに売り出されるマンションの場合はほとんどすべての物件で、
管理規約上民泊を禁止しているはずですから。

既存のマンションの場合、管理組合がしっかりしているところは、
管理規約を改定して民泊を禁止しています。
ただし、管理規約の改定には全区分所有者の
4分の3が賛成しなければなりません。
これはなかなかむつかしいのが現実。
既存の630万戸のマンションの内、「4分の3決議」が可能なのは
100万戸もないはずだと私は推測します。
ただし、この正確な統計数字は日本のどこにも存在しません。

つまり、既存の分譲マンションでは新法が施行される
2018年1月以降、堂々と民泊が出来ることになるわけです。
ただしただし、この民泊新法は実に穴だらけ。
自治体が上塗りで規制を強化できることになっています。
例えば、長野県の軽井沢町みたいに「原則禁止」も可能。
注目されるのは京都や金沢、鎌倉といった観光都市で、
今後民泊がどの程度許容されるのか、広まっていくのか。
パリでは民泊が普及しすぎてアパートの家賃が高騰したとか。

管理が緩くなっている老朽マンションや、
賃貸用のマンションにおける民泊は増えるでしょうね。
特に空室率の高いワンルームマンションでの
民泊は急増するように思えます。
ある意味、民泊新法はそういった「空室」マンションを
稼働させるキッカケになるかもしれません。

当然、不動産投資の側面から民泊に焦点を当てることも可能。
例えば、全10戸の賃貸アパートがあったとします。
普通に貸せば家賃は5万円だったとしましょう。
ここで年間240日は民泊の募集を行い75%の稼働で180日。
のこりの125日は短期賃貸に回したとします。賃料は月額7万円。

まず月額賃料で貸した場合、9割の稼働で年間収入は540万円。
規制通り180日の間民泊で回すと収入は675万円。
これだけでも普通に貸すよりも収益性は高いですね。
さらに短期賃貸も75%程度の利用率を見込めば、
年間210万円の収入が見込めます。あわせて750万円。
普通に賃貸する1.37倍の収益を得られることになるのです。

ここで行った計算は、経費などを一切カウントしない単純計算です。
また、こういうことができるアパートは「雑色駅徒歩9分」とか、
「浦安駅徒歩12分」、「北赤羽駅徒歩7分」といった、
比較的民泊ニーズや短期賃貸ニーズのあるロケーションの場合です。
「青梅駅徒歩16分」とか「相模原駅徒歩13分」とかは無理。

今回成立した民泊新法では、年間の稼働日は180日に制限しています。
しかし、これはどうやってチェックするのでしょうね。
まさか国交省が所管するとは思えません。当然地元の自治体。
旅館業法を準用するなら各自治体の保健所がチェックするのでしょうか。
それとも保安上の都合から警察が見るのでしょうか。
そのあたり、来年1月に向けて詰めていくのでしょう。

そして多分、何年かのちにこの「180日」という規定は緩和されます。
インバウンドの需要が賄いきれなくなるはずだからです。
220日とか240日になるのではないでしょうか。
また、中国人たちが180日という規定を真面目に守るとも思えません。

さて、不動産投資的に民泊新法を考えた場合には、
規定を順守する限り、前述のように普通賃貸の1.37倍のうまみです。
しかし、民泊なんて半端なことをせずに「簡易宿所」という
ものにしてしまうと180日の規制は受けません。

今後、木造アパートなどは場所さえ良ければ簡易宿所への
転換を図った方がよいと思えます。
ただし、簡易宿所の許認可は自治体の裁量になります。
まあ、これもいろいろあって単純ではないのです。
スムーズにやろうと思えば専門の行政書士に頼むのがいちばん。
個人投資家さんたちは、この簡易宿所にトライしてみてください。

さて、私の8冊目の著書となる「2025年東京不動産大暴落」
明日発売になります。なんか、出る前からかなり好調なのですよ。
アマゾンではもう2週間くらい前から予約が始まっています。
この1週間は、「イースト新書」と「マンション」という
カテゴリーの中でほとんど「1位」になっています。
まだ、売り出し前ですよ!

今まで7冊ある拙著の中で一番売れたのは、
他ならぬ「マンション格差」。現状で5刷り32000部。
昨年の9月に刊行されました。今回はあの時よりも調子よさそう・・・
明日は土曜日です。週明けの12日月曜には早速増刷が決まるように
祈っているのですが、果たしてどうでしょうか?

また、現時点での私の最新刊である集英社新書の
「マンションは日本人を幸せにするか」は刊行以来約2か月。
やけにマンション業界上層の方々への受けがいいのですよ。
大手企業の役員さんがまとめて10冊ほど買ってくださって、
「これは」と思う方に配り歩いているとか、
某デベの社長が絶賛して「営業は全員読むように」という
お触れを出したとか、その他様々なエピソードが入ってきています。
もちろん、まだ1回ですが増刷がかかりました。現状で17000部。
こちらは「長く売る」がコンセプトですので、今後に期待します。

そして今、私には次の出版予定がありません。
この3年ほどの間では珍しいことです。ちょっとした開放感。
本を書くことは嫌いじゃないのですが、プレッシャーがかかります。
そして、書くことは長い時間を費やす孤独な作業です。
乗っていれば楽しいのですが、行き詰ったり思うように進まないと苦痛。
まあ、私の場合は1冊につき約30時間で1校を仕上げるので、
他の方に比べればまだしもラクなようですが。

あしたは売却相談会です。どうぞみなさま、お待ちしています。
相談会にお越しにならない方は、本屋に行くかアマゾンにアクセスして、
私の「2025年東京不動産大暴落」を買ってください。
ちなみに、本のタイトルというのは通常著者に決定権がありません。
いろいろなことで誤解をなさらぬよう申し上げておきます(笑)。


6月10日 (土)榊淳司の不動産売却&投資ご相談会

を開催することにいたしました。
不動産の売却に関して、価格や時期でお悩みの方のご相談を
わたくしが無料で受けさせていただきます。
会場はいつものところです。

開催日時:6月10日(土)13時~17時
開催場所:セトル 4階会議室
(東京都中央区日本橋横山町4−11 「馬喰横山」駅より徒歩1分)

6月10日土曜日の13時から17時まで、
私が相談会場におりますので、どうぞご自由にお越しください。
とくにご予約などは不要です。
ただし、順番におうかがいしますので、
ちょっと待っていただくかもしれません。
ちなみに、前回の参加者は雨の中を3名様。
ただ、15分ほどお待ちいただいた方もおられました。

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2017/6/9 19:30 Comments (0)

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