「豊洲」は魅力ある街に発展するか?

仕事柄、いろいろなところに出かけて、様々な「街」を見ます。
首都圏でも地方でも、日本国中のたいていの街は
一見するとどこも同じですね。
街を歩いていて、他と違う「個性」というものを感じることが少ないもの。
ただ、ごくたまに「オオッ、ここはおもしろい」と
思えるようなところもあります。

吉祥寺や自由ヶ丘はよく知られていますね。
高円寺、阿佐ヶ谷などの中央線沿線にも、
独特の雰囲気があります。
あまり知られていないところでは、板橋の大山。
元住吉の「ブレーメン通り商店街」は有名ですが、
この大山だって負けてはいません。

歩いていて楽しくなる、活気のある街です。
行く毎に新しいお店が出来ていて、楽しませてくれます。

このような「活気のある街」というものは、
決して都市計画的に作ることが出来ない、と思います。
多くの人を引き寄せる街の魅力というものは、
プランナーの頭の中からではなく、自然発生的に生まれるのです。

都市計画が比較的成功していると思える「幕張ベイタウン」でも
歩いていると、どこかよそよそしい感じがしてきます。
そして、なんとなく居心地が悪くなります。

もちろん、私自身がああいう「先進的」で「未来型」の空間よりも、
人の息遣いが身近で、実際的で庶民的な暮らしが垣間見える街の方に
魅力を感じる嗜好があるせいなのですが・・・
これには、22歳まで千二百年の都に育った
私の生い立ちも大いに影響していると思います。

都市計画というのは、人の動きをも「計画」します。
つまるところ、どこを歩き、どこで買い物をし、どこで食事をして、
子どもたちと遊ぶ場所はどこ・・・という風に、
あらかじめどこで何をするか決められているワケです。
これって、2、3回やってしまえば飽きてしまいます。
何回やっても飽きない人は飽きないでしょうが。
そして、お買い物や食事をするお店は、
年月を経ると多少変わったりしますが、まあだいたいは同じ。

ところが、自由ヶ丘や吉祥寺などという街を歩いていると
日々何がしかの変化があります。
いってしまえば、様々なものがゴチャゴチャと集まっている猥雑性や
何やら得体の知れぬものと出会えそうな予感に満ちているのです。
どこに何があるのは分からないから、ついつい徘徊したくなる・・・
だから、「ちょっとブラブラしてみるか」という人が多く集まってくるわけで、
それが街としての「活気」につながります。
その最たるものが夜の六本木や新宿歌舞伎町であり、
昼間なら渋谷のセンター街。
非常に健全なところでは銀座。ちょっと品下がれば池袋の東口。

都市計画で作られた幕張ベイタウンや新浦安、
あるいは茨城のつくば学園都市、
横浜ならみなとみらい地区や港北ニュータウンのセンター北、
そして一時はブームになりかけた湾岸のお台場などには、
この猥雑性というものが、ほぼ皆無ですね。
「ちょっとブラブラ」という無目的な訪問者は
かなり少ないのではないでしょうか。
そこが、都市計画で作られた街の魅力の薄さです。

私がレポートで取り上げている東京都心の湾岸エリアは、
「豊洲」と「有明」、それに「晴海・勝どき」の3つ。
このうち、豊洲エリアには住友不動産のタワーマンションが
この1年で3本も竣工していて、総戸数は約2000戸。
私は『豊洲』という街自体については、都市計画で作られている
湾岸エリアの中では比較的面白みを感じています。
この「島」自体が戦前から存在するので、
有明等に比べれば、やや猥雑性があって親しみやすいのです。

でも・・・住友不動産の3本のタワーマンションは
この島のマンション市場を大きく歪めているのではないか、
と私はかねがね考えています。

そういった見解をまとめ、さらにこの街の将来性を展望したレポートが
「徹底分析、豊洲のタワーマンション市場」
これは、去年の秋に出した
「豊洲のタワー3物件を斬る」というレポートを
現状のマーケットに合わせて改定したものです。
中身はかなりボリュームアップしたのですが
お値段は4960円のまま据え置いています。

豊洲でマンションを買おうとお考えの方は、
騙されたと思ってお読みください。決して騙しませんから。

巷で私のレポートに対して何のかんのと文句を言っている方は
ほぼマンションデベロッパーか、販売会社の方です。
彼らは、もっともエンドユーザーに知られたくない部分を
私のレポートであっさり暴露されるので、
地団駄を踏んでおられるのです。
そして、検討客に何とか私のレポートを読ませないように
あの手この手と画策しておいでのようです。
まあ、それだけ連中にとって「都合が悪い」ということですね(笑)。


2010/4/16 11:29 Comments (1)

1件のコメント

●●ニュータウンのようなところを都市計画だと決めつけるのは間違いです。例えば、千葉ニュータウンのようなところ、丸の内はコルビジェ的都市計画。ごちゃごちゃした町をつくろうとしたジェーンジェイコブス。伝統と町の歴史を活かしながら、人が住む空間と自然や地勢を調和させようとしたアレクサンダー。いろんな都市計画があります。
都市計画は定規で引いた線で町をつくる事ではなく、快適で、安心できる歩いて楽しい町をつくることが命題です。
そして町は建物ができたから完成するのではなく、コミュニティーが成長し、文化や歴史が育たなければ本当の町にはならないのです。
日本はそういうコミュにてイーを壊し、簡単に再開発をしていますが、残念です。

2010/04/20 19:08 | by 鰭ヶ崎のたぬき

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