約1週間、東京を空けておりました。今朝帰国。
その調査旅行の報告はまた別の機会に。
滞在していたところは、ネット環境がやや不安定。
例えば、ネットの受信はできるけど送信は不可。
ブログの管理画面にも入れませんでした。
まあ、バリ島に滞在している時と同じ。
こちら側の設定に問題があるのかもしれませんが。
というわけで、久々の更新です。
「僕は30歳になった」と僕は言った。「自分に嘘をついて名誉と考えるには5歳ばかり歳を取り過ぎている」 グレート・ギャツビー 村上春樹訳 より
もう何十年ぶりかで「グレート・ギャツビー」を読みました。
スコット・フィッツジェラルドの傑作。でも、彼の生前は低評価。
その後、アメリカの高校の教科書に載るまでになったとか。
村上春樹氏にとっては「最高の小説」なんだそうです。
その春樹氏が「60歳になったら自分で訳そう」と予定していたのを、
それを待たずに翻訳したのがこの作品。愛にあふれています。
私は春樹風の文章を期待したのですが、ややすかされました。
ものすごく平明な日本語になっています。
有名な「オールド・スポート君」については、そのまま。
20年考えて、日本語に訳せないと判断した言葉だそうです。
主人公ギャッツビーが退役後半年を過ごした
オックスフォード大学で流行っていた言葉だろうと、
という推測が解説に書かれています。
非常に透明感の強い文体で繊細な情景が描かれていますが、
出てくる人物は語り手のニックから主人公のギャツビー、
ブキャナン夫妻など、全員が俗物。俗物たちが
上品ぶりながら動き回って、最後は悲劇に終わるストーリー。
スコット・フィッツジェラルドはこの作品を命を削ってまで
仕上げましたが、発売当時は3万部売れたかどうか・・・
拙著「マンション格差」よりも少ないやん、の世界。ただ、
私の死後に拙著が古典になるなんて2万%ありませんが。
数十年ぶりのグレート・ギャツビーを春樹訳で、
地球を半周する飛行機の中でほぼ読み切ってしましました。
そして到着したのがヨーロッパの某港湾都市。
何百年も前に築かれた埋立地の風景を見ながら、
解説を読み返してみました。
1920年代のニューヨークのイーストエンドと
今私が眺めている風景に何か共通点はないかいなあ、
などと考えてみたのですが、なにもなさそうです(笑)。
さらに言えば、鉄筋コンクリートの醜悪さが露骨に表出している
東京の湾岸都市景は、そういうものとは対極にありそう。
誤解なきように申し上げますが、私はハルキストではありません。
彼の作品の半分くらいは読んでいますが、
決して熱狂的なファンではないのです。
むしろ彼の小説の中には「邪悪な何か」を感じて、
違和感を覚えたりもします。あるいは、ものすごく
「俗物的な精神」を感じてしまって嫌悪感を抱きます。
前者は「海辺のカフカ」、後者は「1Q84」でしょうか。
私、いちおうは文学部と名のつくところを卒業。
そういう人間は時に文学を語らねばならぬのでしょうが、
文学青年の世界はどうにも苦手ですね。
あれこそ、私が嫌悪するオタクの走りではないでしょうか。
限られた人々と小さな世界を作る営為は、美しくありません。
まあでも、小説を読むのは好きですよ。
下手くそですが、ごくたまに自分でも書きます。
活字になったものは多分何十作もあります。
筆名が違うのでお気づきになっていない方がほとんど。
非常に狭い世界でのことですから。
単行本は1冊もありません。まあ、それはいいとして。
グレート・ギャツビーの「偉大」なところは、
主人公・ギャツビーが純粋で偉大な俗物だからでしょう。
私はすべての人間が少なからず俗物だと思います。
聖人君子のようには生きられません。
多くの人がそのことを腹の底で分かっています。
だから「見栄っ張り」や「エエ格好しい」は蔑まれるのです。
キレイごとだけを語る人は、どこか嘘っぽいわけです。
一生懸命いい人ぶろうとしているお方は、
そのエネルギーの量だけ暗い一面を潜ませているのです。
正義を振りかざす野党に支持率が集まらないのもそれ。
アメリカでは「真っ白な嘘」を繰り返すトランプ君への
根強い支持があるのも、同じこと。正義は嘘っぽい。
そういうことが、そもそもの人間の本質だと思います。
すべての人間には弱みがあります。
あたかも「そんなものは微塵も無い」というフリをしている奴は
とてつもないインチキ野郎の可能性が高いと思います。
そして、人間の弱みというものはごく自然に
それをカヴァーするための反作用を誘引します。
例えば、自分がやろうとしてできないことを軽々と
やってのけている人間への激しい嫉妬など、その一例。
誰かのことを悪しざまに罵っている人間を見たら、
その背後に何があるのかを考えるべきですね。
ギャツビーはデイジーへの激しい想いを遂げられず、
根っから金持ちのトムを憎みます。そして、デイジーが
「トム・ブキャナンなんて一度も愛したことがない」という
虚構を作り上げて、それを「真実」に仕立てようとします。
そんなの無理でしょ、と分っていたはず。
冒頭のフレーズは物語の語り部であるニックと、
その恋の相手らしかったジョーダンとの会話。
俗物の世界にややうんざりしたニックが、
ジョーダンとの別れ際に語るセリフ。カッコイイ。
30歳で嘘と決別できれば、その後の人生は涼し気。
世の中には40や50や60になっても、
俗物根性丸出しのオッサン、オバハンであふれています。
それが我らの生きている現実世界ですから。
を開催することにいたしました。
不動産の売却に関して、価格や時期でお悩みの方のご相談を
わたくしが無料で受けさせていただきます。
会場はいつものところです。
開催日時:6月30 日(土)13時~17時
開催場所:セトル 4階会議室
(東京都中央区日本橋横山町4−11 「馬喰横山」駅より徒歩1分)
6月30日土曜日の13時から17時まで、
私が相談会場におりますので、どうぞご自由にお越しください。
とくにご予約などは不要です。
ただし、順番におうかがいしますので、
ちょっと待っていただくかもしれません。
ちなみに、前回の参加者は2組様。
待ち時間が多少はございました。
次回も同じようになるかどうかは分りません。
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