氷河期世代の子どもが味わう新氷河期

新築マンション市場がすっかり静かですね。
市場には買っていい物件なんて一つもありません、状態(笑)。
それでも買っている人はいます。探す人もいます。
また、これから売り出される物件もあります。

ただ、新築マンションはこぞって売れていませんね。
こうまで売れないのって、1998年頃の再来ですね。
あの頃は毎年、マンションの値段が下がっていました。
「いつまでズルズル下がるんやろ」という感じでした。
上がる要素が何も見いだせない状態でしたね。

不況感はたっぷりと市場に満ち満ちていました。
大きな銀行がバタバタと倒産。
ああいう時代がまた来ないとは限りません。
まあ、まったくあれをトレースするとは思えませんが。

マンション市場というのはあの頃以来、
金融政策と密接に連動するようになりました。
分かりやすく言えば、金融が緩むとマンション市場が活性化。
引き締まると売れなくなって価格が低下、という図式。

そう考えると、今後はしばらく緩んだまんまです。
金融政策的にマンション市場が下落することはなさそう。
私は、今後市場が動くのはやはり需給面ではないかと
考えています。つまり、金融からの脱却。

リーマンショック以後、東京都心のマンションは
はっきりと金融商品化しました。すなわち、
値上がり狙いとインカム期待の投資対象となったのです。
ここには史上最低の金利水準という環境が、
背景にガッチリと控えていました。

しかし、値段が上がり過ぎたことで、そのどちらに
ついても魅力がすっかり薄れています。
また、マンションには維持管理コストがかかります。
近年はタワーマンションの弱点も炙り出されました。

東京都心のマンションは今や投資用としては
かなり不安定な存在になりつつあります。
4,5年前はものすごい勢いで買っていた
台湾その他の中華系の外国人たちも、
最近ではすっかりおとなしくなっています。
むしろ、売りに回っていますね。

従来から申し上げている通り2018年からこっちは
マンションの「売り時」でした。まあ、勢いよく
売れていたわけではありません。コツコツと・・
なんとか売れていた、というのが正直なところ。

不動産の市況というものは、かなり景気に左右されます。
今年に入って、各種指標はジワジワと悪化しています。
年が明けるころには、それが鮮明となるはず。
もちろん、消費税の増税も影響するでしょう。

2020年の初頭は、完成在庫となった新築マンションの
一掃セールが始まりそうな気がします。
実は相当溜まっています。特に郊外の大規模。
「決算までに片付けろ!」という号令がかかるでしょう。

それが終わると、日本はいよいよ五輪ムード。
しかし企業の20年3月期決算が発表され始めます。
減収減益のオンパレードではないでしょうか。
まあ、大企業は倒産を心配するほどではないでしょうが。

ただ、来年の春先は中規模の倒産はいくつか出るでしょうね。
来年の5月あたりは、中古マンションが可視的に
値下がりしそうな気がしますよ。
「五輪まで」という心理が働くでしょうから。

そのあとは・・・・よう分りません。
「五輪後の日本」ですよ。祭りの後の虚無感。
中国の景気が立ち直っていればいいのですが、
私はあまり期待していません。むしろ中国では産業の
空洞化が始まっていそうな気がしますね。

アメリカは来年、大統領選挙です。
再選しかアタマにないトランプ君は何をやるのか?
もしかしたら、対中政策を硬化させる可能性もあります。
その場合は中国の景気がさらに悪くなります。

いずれにせよ、もう中華方面からの爆買いは期待薄。
国内の需要もかなり弱弱しいと思います。
であるにもかかわらず、国内のマンション市場は
新築が停滞感満点、中古は大量の売り物件・・・
その需給を考えるとかなりの下落要因ですよ。

今でも需給を見れば圧倒的に供給過剰。
眼の色を変えてマンションを探している人なんていません。
「いい物件があれば」みたいな探し方。
腹の底には値上がり期待が沈んでいたりします。

こういう弱い需要は市場環境が悪化すれば
あっという間に雲散霧消。あれ、どこいったの?となります。
その後は、長い長い精算期になるでしょうね。
また、日本の景気は「失われた・・」になるかも。

日本がかつて「失われた20年」に苦しんだのは
不良債権の処理をぐずぐずやったからに他なりません。
1998年のアジア通貨危機の時には、韓国は
一気に不良資産を切りました。財閥も倒産。
だから立ち直るのも早かった。

今回の局地バブルは、不動産価格が下落すると
相当の不良債権が発生します。それに対して
どのような政策を取るかでその後の方向性が決まります。
大量の倒産や自己破産を許容しても短期で終わらせるか、
だらだらと何十年も不況に耐えるのか。

ダラダラやれば氷河期世代の子どもたちがまた
新氷河期を味わうことになりそうではないですか。
歴史は繰り返します。一度目は悲劇として。
二度めは喜劇として。さて、どうなるか。

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2019/10/3 22:25 Comments (0)

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