役人でなく「民」主導の「武蔵小杉」が面白い

最近の中学校では、社会科の定期テストで
「時事問題」が出るそうです。
なので、休日の我が家の食卓では
「ねえ、お父さん。・・・・って何なの?」
という類の質問を時おり受けることになります。
尖閣諸島問題などは、事の構図がいたって簡単。

「国際常識を無視してヤクザまがいの恫喝を仕掛けてくる北京政府」
                            VS.
「それに毅然と対応できない弱腰菅政権」

という、とっても分かりやすい「時事問題」なのです。
これは普通に説明すれば、中学生でもカンタンに理解できます。

ところが・・・
「特捜検事を証拠隠滅で逮捕」
「その上司を犯人隠匿罪で逮捕」
などという事件は、その性質や背景がかなり複雑。
まず、「郵政不正事件」なるものから説明しなければなりません。
そのためには、身障者団体が郵送料を割引される制度から始まり・・・
そして、村木厚子さんが「キャリア官僚」であることで、
事件が「特捜扱い」になったこと。
おっと・・・ここで「キャリア官僚」とはいったいなんなのか?
日本の歪な国家公務員の制度も一通り・・・
また「特捜」とは検察庁の中でどういうポジションなのか。
さらに、特捜検事が「法曹資格者(司法試験合格者)」の中で
いかにエリートなのかも解説する必要があります。
キムタクのHEROを見ていたら、田舎検事と特捜検事の違いが
少しは理解できるかもしれませんが・・・
そして、こういう裁判における「検察調書」がどういう役割を果たし、
担当検事が「証拠」を改竄する行為がいかに重大な犯罪なのか。
はたまた、それを黙認・封殺しようとしたら刑法における
「犯人隠匿」という罪に相当することも説明せねばなりません。
最後に、検察庁が身内のエリートを逮捕するのは
社会的にどういう意味があるのか?

ついでに、日教組系の社会科教師ならこういう事件をどう捉えて
どういう問題を作るかという予想・・・これは余計なことですが(笑)。

すべてをサラっと説明するだけで30分くらいかかりました。
果たして我が家の豚児どもは理解したかどうか(笑)。
しかし、この事件は主役も被害者も「エリート」というところに
何とも面白みがあります。
私のようなエリートからほど遠い人生を歩んでいる者からすると
「ヤレヤレェ! もっとヤレェ」という気分。まさに「対岸の火事」です。
でもまあ、検察庁という組織は、
まだ日本の司法の一角を担うにたる常識があることを見せてくれました。

こういう健全さは、同じ司法機関である警察にもぜひ持ってもらいたいもの。
もう当たり前になっている「捜査費」の私的流用は「公金横領」。
パチンコ屋からの付け届け、餞別、接待は「収賄」です。
あんなことをしている限り、警察は国民から愛されません。

私はアナーキストというほどではありませんが、
どちらかというと「小さい政府」がいいと思っています。
税金で養う役人など少ないに超したことはありません。
また、役所が民間の経済活動には極力口を挟まない方がいいとも考えます。

ところが、私のこういう考えは、特に東京では少数派のようです。
世の中、何かうまくいかないことがあるとすぐに、
「それは政府が・・・ことをしているからいけない」
「政府はもっと・・・ことをするべきだ」
みたいに考え、書いたり言ったりする人たちが多いですね。
簡単に言えば「何でもお上に頼んでやってもらう」という発想。
こういう考え方は、関西系よりも首都圏に多いように感じます。

大阪人や京都人というのは、心のどこかで「役人なんか邪魔」と
思っているところがあります。
例えば、役所に頼らず、自前で人工衛星を打ち上げようなんて
東京風に言えば「大胆不敵」なことを考え、
しかも実行しているのは大阪の中小企業のオッサンたちです。
詳しくは「東大阪宇宙開発協同組合 SOHLA」で見てください。

京都には「オムロン」や「堀場製作所」「京セラ」「村田製作所」に
「島津製作所」など独自の技術力を備えた企業がたくさんあります。
これらの企業の共通の特徴は、ほとんど「官」の保護や規制はもちろん、
その発注に頼らずとも生きていけるということ。

それに比べて、どうも東京の人々はすぐに
「お上に頼ろう」と発想するように思えます。
例えば、日本の「新設住宅着工数」が西欧諸国に比べて
異様に多いので「公的に規制しよう」とか、
賃貸住宅の質を高めるためにオーナーが業者に払う
「管理・運営代行料」に「公的な補助を加えよう」という発想。
あるいは、老朽化したマンションを建て替えするために、
「公的な補助が得られる制度を」みたいなのも同じ。

そんなもの、民間がやることに余計な規制を加えなければ、
自然になるべきようになるでしょう。
つまり、再生されてしかるべき価値をもつマンションは
民間企業がほって置かないでしょう。
そういう物件は、ちょっと規制を緩めればスムーズに蘇るはずです。
逆に「こんなところにマンションはいらない」というような場所の物件は
朽ち果てた方がいいワケですから、自然に「廃墟」となるでしょう。

そこに、「お上」の不自然な力を加えるべきではありません。
そんなことをすれば、かえって歪んだマンションを
後世に残すことになります

街づくりも、いたって自然なのがいいと思います。
インフラの整備は、それこそ行政の仕事です。
でも、どこで仕事をして、どこで遊んで、どこでメシを食うか、
なんてことまで役人に決めてもらうことではないように思えます。

私は、これまで何百という「市街地再開発計画」について、
行政が作ったパンフレットや説明書を読んできました。
でも、サっと読んで「こんな街になる」とイメージできるようなものは
ひとつとしてありませんでした。
「○○駅周辺地区を、□□駅周辺地区および○□駅周辺地区と並び広域生活拠点として位置付け、駅周辺地区の再開発等により、商業施設、文化・コミュニティー施設を整備する」
これは、東京近郊の人気エリアの再開発計画の「方針」。
で・・・いったい何が出来るの?
そう思って、分厚い計画書のどこをどう読んでも
何が出来るのか一向に分かりません。

さらにご丁寧なことに「商業ゾーン」とか「文化ゾーン」などと称し、
街をエリアごとにゾーン分けまでしています。
例えば、商業ゾーンにはだいたいスーパーや専門店が入ります。
文化ゾーンにはホールやカルチャーセンターが・・・・

たいていの場合、出来てしまってから
「ああ、こういうことだったのね」と分かります。
でも「商業ゾーン」で嬉々として買い物をして食事をするでしょうか?
それは、「いいお店」があればこちらもご贔屓にさせていただきます。
でも、つまらない店ばかりだと行きません。
ホールやカルチャーセンターのあるところなんぞ、
何かの用事がなければ近寄りもしません。

結局、官主導の再開発で出来た「街」は、
とっても退屈なところになります。
私が一番マトモだと思っている「幕張ベイタウン」でも
行ってみると「ああ、キレイだね」とは思います。
でも、やっぱり退屈ですね。
ブラブラ歩いて楽しいのは、ほんの一部だけ。
東京の湾岸エリア・・・特にお台場や有明のあたりは
それこそ「退屈の極み」みたいな場所です。
そもそも、交通の便が悪すぎます。

今、私がもっとも注目しているのは「武蔵小杉」。
ここの再開発計画はエリアごとにいくつもあり、
それぞれに「統一性」を持たせようという感じがしません。
つまり、エリアごとに「勝手に」やっている風に見えます。
そして行政も入っていますが、基本的に民間主導。

面白いですね。
三井がドカン、ドカンと駅前に2本のタワーを建てたのは
ミニバブルが頂点だった時期。
最終逃げ切りに失敗して、高額住戸が今でも売れ残り。
そのあと、駅からやや離れた場所でファンド流れのタワーが売り出されました。
これは、「新価格」が受け入れられずに苦戦模様。
去年の暮れから今年の春にかけて、駅前の「逆新価格」タワーが即日完売。

最近になって、駅ビル直結のタワーも発表されました。
その他、駅から離れた「住宅街」エリアでは
「プラウド」と「パークホームズ」がガチンコ対決。
目が離せなくなってきました。

もちろん、私のレポートも最新情報に更新。

徹底分析 どうなる?
武蔵小杉のマンション市場
【2010年10月改訂版】
価格据置の3,960円です。

ご興味のある方は、ぜひご一読ください。


2010/10/4 16:10 Comments (0)

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