不動産のミニバブルが崩壊したのが2008年。
あれからそろそろ3年になろうかとしています。
しかし・・・懲りないのはマンション業界ですね。
去年あたりからまたぞろ郊外エリアにおいて、
大規模なファミリーマンションの供給が目立ち始めました。
デベロッパーもそれが商売だから仕方がないのでしょうが・・・・
ファミリーマンションというのは20代後半から40代前半までの
「初めてマンションを買う」という一次需要層がターゲットの
3LDKで2000万円台から4000万円台中盤位までの物件です。
お買いになる方の年収は400万円台から800万円位まで。
だいたい、年収の5倍くらいの価格の物件をお買いになるようです。
そして、自己資金を1割以上お持ちの方はやや少数派でしょう。
当然ながら、住宅ローンを利用することになります。
返済期間は・・・・多くの方が「35年」にされるようです。
この「35年返済」というのは、少し考えてみれば不思議な制度です。
それは「35年の間、返済能力が維持される」という前提に立っています。
例えば、今30歳の方は35年後には65歳です。
大企業なら今や「65歳定年制」は当たり前です。
しかし、65歳までガッチリと雇用が確保されているサラリーマンは
いったい全体の何%なのでしょうか?
私の予想では、公務員も含めて10%もないように思えます。
ちょっと大きな会社でも「役職定年」などというのがあります。
「55歳で役職停止」「給料はヒラ+α」みたいな。
それでも、雇用が確保されていればまだいいでしょう。
35歳の時に「35年ローン」を組むと、最終的には70歳で完済。
65歳から後は年金でお支払いになるのか、あるいは・・・・
公務員や大企業勤務者は「退職金で一括返済」などという手も使えます。
まあ、そういった恵まれた方もかなり少数。
それに、収入が維持されるか、僅かばかりでも伸びればいいのですが
今の日本は世界の歴史をたどってもまれにみるほどのデフレーション時代。
個人所得は年々減少しているのが現実です。
つまりは、年を経るごとにローンの重みは増していくのです。
常識で考えれば、今のような「所得減少&デフレ」の時代に
「35年ローン」などを組むのは「ハイリスク」ということになります。
「それでも、返済してしまえば自宅が残るじゃないか?」
みなさん、そうお考えになるようです。
老後は家賃もローンもない家でゆったりと暮らす・・・・
確かに、その通りです。
乏しい年金生活の中から家賃を払うのは嫌ですね。
でも、もう少し冷静になって考えてみましょう。
何を考えるのか?
それは「35年後の世界」についてです。
おー・・・これは難しい話です。
大前研一とか副島隆彦あたりに任せておけばいいじゃないか。
孫正義に考えさせると、テメエの企業の利益をベースにするから駄目だけど・・・
まあ、そんなことは彼らに任せましょう。
これから「35年ローン」を組もうとされている方は、
単純に「35年後の自分の家」について想像してみてください。
まずは、「見た目」。
最近では「築35年」のマンションも増えてきました。
みなさんの自宅のご近所や勤務先の近くにもあるはずです。
今買ったマンションも35年後にはそういう状態になります。
でも、悲観することはありません。
見た目が悪くても、中身は結構快適だったりしますから。
共用部分も、キチンと管理さえできていれば。
次に住んでいる人。
これはもう・・・間違いなく老人マンションになっています。
あなた自身が、おそらく60代の後半でしょう。
でも、世代交代で若い家族も入居してくるかも・・・などとは考えないように。
もし、そのマンションが都心にあれば話は別です。
山手線のターミナルから急行で30分以上かかるエリアなら、
まずそういうことは期待しないでください。
最後に、これは決定的ですが・・・資産価値。
つまり、売りに出せばいくらで売れるか? ということです。
3500万円で買ったから、いくらボロになっても1000万円位は・・・
これはかなり甘い考えだと思います。
今の貨幣価値に換算して300万円から500万円の値が付けばいいでしょう。
「駅からバスで10分」とか「支線から徒歩10分」になると、
資産価値は限りなくゼロに近づくと思います。
これは、私がテキトーに言っているワケではありません。
レキとした根拠があって申し上げています。
それはとても簡単なこと。
2010年に日本の人口は約1億2500万人。2045年の予想値は9400万人。
その間、約25%も減少してしまいます。
減少の中身も問題です。30代の「一次需要層」は半分以下に減ります。
分かりやすく言うと「住宅を新たに買いたい」という需要は半分以下に減ります。
おそらく半分でも効かないでしょう。4分の一か5分の一。
今の住宅産業はマンション戸建も含めて立ち行かなくなっています。
一方、住宅のストックは溜りに溜まっています。
だいたい、今でさえ全国に800万戸の空き家があるのです。
賃貸住宅はかなりダブつき気味です。
震災で家をなくした方に「タダで貸します」みたいな大家さんが、
ウジャウジャと現れること自体がその証左といえます。
なのに、今の日本は年間80万戸もの新築住宅を作っています。
住宅の需給バランスを取るには、年間100万戸くらいの住宅を
スクラップにしなければいけないのですが、それは不可能。
35年後など、郊外の街はそこらじゅう空家だらけになっているはずです。
ちょっと中核都市から離れたマンションはゴーストタウン化。
浮浪者や犯罪の巣窟となるのを防ぐために
行政が強制的に取り壊すシステムもできているはずです。
お分かりでしょうか?
郊外型の、駅から離れたファミリーマンションを、
「35年ローン」でお買いになった場合、35年後にどうなるのか?
ローンをやっと返し終えたら、そこは廃墟同前ということになりかねないのです。
私がここで書いていることは、原発反対派学者たちが
「10年後にはがん患者が何倍にも増える」と叫んでいることよりも
はるかにデータ的な根拠があることです。
人口減少という大きな流れが変わらない限り、
小学生にでも想像がつくし、納得できることなのです。
それなのに、マンションデベロッパーは郊外型の大規模マンション開発を
やめようとしないばかりか、これからも大々的に行う構えを見せています。
では、いったいどこに家を買えばいいのか?
答えは実にかんたんです。
35年たって人口が4分の一減ろうと、人が住みたいと思う場所です。
人口が9400万人というのは、だいたい1960年頃と同じです。
一つの目安として、その頃すでに都市化されていたあたりは
35年たってもまだ多くの人が「住みたい」と思うはずです。
逆に、1960年の時点で草ぼうぼうだったり山や沼だったところは
よほどに交通事情が改善していない限り絶望的です。
ご注意いただきたいのは、35年もたつと「廃線」になっている
鉄道の「支線」も何本かあるはずだということです。
秩父鉄道や東武越生線、埼玉新交通、関東鉄道、東武野田線・・・・
人口が減れば営業運行が不可能になる線も多々あるはず。
もし、資産価値を少しでも維持したいのなら
例えば東京なら港区や文京区、新宿区、渋谷区などの山手線周辺。
目黒、大田、品川などの好利便性エリア。
水害のリスクがあっても割安感で選ぶのなら江東、台東。
そういったエリアなら、たとえ35年先でも
そこそこの資産価値は維持しているはずです。
何と言っても、まだその時点で日本には9400万人も人がいるのです。
かなり老人ばかりになっているはずですが、
爺さんや婆さんにも住む家は必要です。
それに、年寄には医療やケアサービスも必要で、
それにはやはり便利のいい「都心」ということになります。
間違っても郊外型ファミリーマンションを
ギリギリの35年ローンなんかでは買わないこと。
これは自分の人生を守るための鉄則だと思ってください。
そういった意味では、私の新宿余丁町はかなりお勧めです。
今の市場の状態なら、10年後でも資産の目減りはそう多くないはず。
もぜひご検討いただきたいと思います。
千葉、埼玉、神奈川の高度成長期的郊外ニューファミリーの住まうとこなんか元からさして魅力のあるとこじゃなかったんだから寂れるのは自然なこと。
東京都心にかろうじて通勤できる以外に何の取り柄もないとこだったんだから当たり前の結果だと思います。
だいたい通勤に一時間半や二時間を要するのってつらすぎます。
( つノロ・。)
眠いのに無理矢理起きて飛び乗った通勤電車には人々の恨みがたっぷり染み込んでいる。
そんな鉄道路線なんかJRだろうが大手私鉄だろうが廃線になってしまえ。
2011/06/30 22:50 | by 。RSS feed for comments on this post. TrackBack URL