最新「女子高生事情」を取材する

私は最近でこそ「取材される」ことが多くなったのですが、
元来は「取材をする」のが仕事の内のひとつでした。
不動産広告ばかりを作っていた頃は、
取材先はマンションを設計する建築系のデザイナーや
実際に住んでいる人、購入された方などが主な取材対象。
今は、いちライターとしても仕事を受けるので、
それこそ様々な人の話を聞く機会があります。

はっきりいって、取材と言うのは面白いです。
「こんなに面白い話が聞けて、お金までもらえる」という
私にとっては願ったり適ったりの仕事。
あとでそれを文章化するのは「ちょっとした手間」程度の負担ですから。
だから私にとって取材とは、いろいろなことを
奨学金をもらって教えてもらっているようなもの。
だから、取材の絡む仕事はほぼ断りません。

ところが最近、取材対象が妙な世界に広がっています。
どういうところかというと・・・女子高生の世界。
といっても、ヘンな意味ではありません。
今年から高校に通い始めた娘から、
学校での出来事をあれこれ聞かされるのが非常に面白いのです。

特に興味深いの、やはり人間関係。
娘の学校は女子が4分の3という歪な共学。
基本的には女子同士の人間関係のいざこざが毎日何かしらの事件を起こし、
それに少数派の男子が微妙に絡んでくるという図式。
「それでね、今日は○○ちゃんと□□ちゃんが・・・して、それを△△ちゃんが聞いてしまって・・・になって、○○ちゃんが●●クンに相談したら・・・っていわれて、あたしたちは・・・」
と喋り続けるのを、ウンウンと聞く訳です。
もちろん、私は彼女の級友の誰とも話したことはありません。
写真やビデオ、あるいは発表会の舞台で
見たことのある人も混じっていますが、
ほんの数人の名前と顔が一致するだけ。
大半は、話に聞かされる「・・ちゃん」「・・クン」という名前だけ。

でも、毎日聞いているとだいたいの人物像が見えてきます。
入学したての頃は、カンタンなメモを取りながら聞きました。
つまり、クラスのグループを私なりに図式化しておいたのです
すると、恐ろしく理解が深まります。
そのグループ分けが頭に入ると、さらに面白くなります。
「ちょっと待てよ。・・ちゃんは・・ちゃんたちのグループじゃなかったの?」
と、いう質問もできるようになるからです。

でも、取材の要諦は、「気持ちよく喋らせる」ことです。
「ふん・・・それで・・・へえ・・・それで・・・ほう、すごいね」
適度な相打ちを入れながら、こっちが相手の話を
きちんと理解していることを適度な質問で伝えながら、
ひたすら気持ちよく喋らせる。
相手が高校生の娘でも、大学の先生でも、この基本は変わりません。
もちろん、途中で話を中断させての説教なんてのは禁忌。
何の意味もなければ、説教の効果も期待できません。
だいたい、子どもは親に向かって説教のネタになるような話はしません。
そこを無理に説教に持っていくと、子どもは話したがらなくなるだけです。
喋りたいこと喋らせるのが一番。

もちろん、私は親ですから娘が全部を話してくれているとは思いません。
でも、彼女の話は生半可な小説を読んでいるよりも面白いのは確か。
私が面白がっている、というのが分かると彼女も積極的に喋ります。
だから、都合がつく限り毎日でも話を聞きます。
私の仕事が忙しくて数日「取材」ができないと
(・・ちゃんはどうなったのかな。グループに復帰できたのかなー)
なんて、ドラマの続きを見損ねた気分になります(笑)。

よく、世間のお父さん達は思春期の娘とコミュニケーションできない、
という話を聞きますが、ウチは今のところちゃんと「取材」できます。
ウチの娘はペラペラなんでもよく喋る性格なのですが、
私もネタを引き出すのはプロですから(笑)。

それで分かることは、今の高校生の精神レベルは私たちの頃と
根本的にはほとんど変わっていない、ということ。
確かに、情報は多くなっていますが、やはり高校生は高校生。
みんな携帯電話を持っていますので、連絡は密。
でもお互いのコミュニケーションの中身は粗。
自分の記憶を呼び起しながら、十分にその心理状態が理解できます。

でも、それが私の仕事に何か役に立つかと言うとゼンゼン。
ただただ、面白いから聞いているだけです。
世の中で何が面白いかと言うと、それは「人間」。
中でも「一生懸命に生きている人間」ほど、
取材をしていて面白いものはありません。
社会的地位や知性が高くても、
「懸命に生きていない」人間はつまらないもの。

娘の話がなぜ私にとって面白いのかも、そのあたりにありそうです。
彼女の通う高校はある分野の専門性を磨くところであり、
生徒は基本的にその分野での技能を高めようと努力しています。
級友はすべてライバル、という緊張感も根底にあるのでしょう。
そんな中で級友の技能向上を意識しながら、
なおかつ普通の高校生のように恋愛や青春を楽しもうとしているところが、
私にとって新鮮に見えるのかもしれません。
まあ、親バカもかなり入っていますが(笑)。

うまくいえば、あと2年半ほどリアルな青春ドラマを傍聴できそうです。
こんな機会は、もう二度とやってこないかもしれないので
長年のライター人生で鍛えた「取材力」をいかして、
それなりに楽しませてもらいます。
もちろん、彼女本人が主役のドラマは聞けないでしょうが。


2011/7/23 1:48 Comments (1)

1件のコメント

「政治の榊淳司」の話もそんな感じ。

読んでてけっこう面白いのは懸命さが反映されてるからなのかも知れんねえ。

「マンション」は表に現われた榊淳司のほんの一面でしかない。

2011/07/23 19:36 | by -

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