モデルガン VS. 本好き

今日、中学生の息子は神田の古本屋に行って5000円の本を買ってきました。
彼の趣味に関する本で、30年ほど前に発刊されたものだそうです。
もちろん、今では絶版になっているのでしょう。
家に帰ってきて、アマゾンで調べたら同じ本が4000円で出ていたとか。
「俺はちょっと損をしたな」
などという割には、本人はいたって嬉しそう。
お年玉とはいえ、自分のお金で買っているのだから、
私としても文句はいえませんね。
「ゲームを買うよりいいだろ」などと、本人はご満悦。
チラと見せられましたが、ちょっと小汚い四六版の専門書。

「まあな。ワシがお前の歳の頃には5000円くらいのモデルガンを何丁も買っていたから、それに比べりゃあマシだろう」
そんなことを言いながら、笑っておりました。
私の中学生の頃のモデルガン趣味は、高校生の時には終わっていました。
あまり関係ありませんが、学生時代の友人に田中君というのがいます。
彼は、もう10年以上も前から親の後を継いで700人くらいの会社の社長。
その田中君が時折フェイスブックで
「小遣いが少ないから好きなモデルガンが買えない」
とグチっています。
嫁さんに内緒にしながら通信販売で買ったモデルガンを
ひとり社長室で愛撫している姿を想像するとおかしくてw。

まあ、それは余談として・・・・
前に書いたように、私は古本屋の息子に生まれました。
生家はすでに廃業。親父は20年ほど前に逝きました。
ただ、子どもの頃は本に囲まれて育ったので、
「ありがたみ」というものがありません。
本というのは、いつもタダで読めるものでしたから。

実家を出てから初めて、自分のお金を出して本を買うようになりました。
でも、今でも本にお金をかけるのには抵抗があります。
だいたい1年に50-100冊の本を読みますが、ほとんどブックオフの105円本。
雑誌は年に数冊しか買いません。
かつてはナショナルジオグラフィックを定期購読していました。
それも数年前にキャンセル。
だから、最近の年間の書籍費はせいぜい1万円。

なのに、ウチの子供たちはみんな年間数万円分の本を買います。
先日、小四の次女を大きな本屋さんに連れて行って、やや奮発。
6冊くらい本を買ってやったら5000円くらいになりました。
それでも、本人は嬉しさ半ばという顔。
「ホントはね、この棚の本が全部欲しいの」
買ってやった本は2,3日で読み終わっています。
「お父さん、もう本屋さんへは行かないの?」
嗚呼・・・勘弁してくれ。

彼らの強い味方は公立図書館。
例の息子は、ヒマとスキがあれば近所の図書館に行きます。
地元だけでは飽き足らず、隣接行政区の図書館にも遠征。
今度は麻布の都立図書館に出張するそうです。
彼の不満は「国会図書館は中学生が利用できない」ことだそうです。

私が小中学生であった40年くらい前に比べて、
今の子供たちの「環境」は激変していますね。
私が感じる3大変化は「ゲーム」「インターネット」「図書館」。
このうち「図書館」は昔からありましたが、
昔に比べて普及率や利用率は格段に向上していそうです。

私の死んだ父は、無類の本好きだったようです。
生まれたのは大正5年。学歴は旧制中学卒業。
17の歳から働いて、好きな本をたくさん買ったそうです。
溜め込んだ本は、ほとんど大阪の大空襲で焼けました。
それでも、余った本を持って昭和23年に
京都の百万遍で古本屋を開いたのです。

まあ、その親父に比べれば私の本好きなどは平凡。
世間の普通の読書家の端っこに入れもらえる程度ですね。
ところが、息子を見ているとまさに「隔世遺伝」。
中学生なのにあんな小汚い本に5千円も払って嬉々としています。
彼の姉も妹も、まあ本好きの偏差値は70を超えているでしょう。

「本好き」というのは、世の標準からするとちょっと変人です。
まあ、私もそういった変人の仲間に入っていますね。
私の子供たちも、ほぼ確実にこの変人クラブの一員となるでしょう。
それは嬉しくもあるのですが、心配事も増えます。
なぜなら、マイノリティの人生を歩むことになるからです。

きっと、歳をとってから欲求不満を募らせます。
「なぜ、もっと多くの本を読めないのだ!」
そして、私のように依怙地になるのです。
「だったら、もう好きな本しか読まない。好きなことしか書かない。いいものはいい。ダメなものはダメと言ってやる」
世間に嫌われるのも気にせず、私のように
言いたいことを言う人間になるのでしょうか?
ちょっと・・・かなり・・・心配です。


2012/1/21 0:25 Comments (1)

1件のコメント

情報商材を売っていらっしゃるのに作家の収入にならないブックオフ本ですか。絶版本や子供ならしかたないですが、本好きと言う大人がそれでは作家になる人間も減っていくでしょう。

2012/01/21 12:24 | by Coo

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