「北のミサイルなんてどうでもよい」くらいの脅威とは?

北がミサイル発射に失敗したのは慶賀に堪えないのですが、
政府もマスコミも、あるいは世の中全体としても、
ちょっとピントがずれているように思えます。
私がいつもの通り天邪鬼すぎるのかもしれませんが(笑)。

そもそも、北はなぜ長距離ミサイルを飛ばしてはいけないのでしょう?
「飛ばすな」という安保理決議みたいなものがあるから、
「飛ばしたから違反」という非難を受けそうな気配ですね。
でも、なぜ北は長距離ミサイルを作って飛ばしちゃいけないのか?
次に、北がミサイルを撃つと日本やアメリカは何が困るのでしょう?
最後に、日本人は北の長距離ミサイルよりも
もっと騒ぐべき大変なことを見逃してはいないのか・・・
この数日間そんなことをツラツラ考えていたので、また脱線します。

まず、なぜ北はミサイルを飛ばしていけないのか?
それは、言ってみれば「北は長距離ミサイルを持つな」と
国際社会が強制しているワケなのです。
北が長距離ミサイルを持つと「暴走」するかもしれないから?
まあ、一部分はそうでしょう。

北としては、ミサイルで日本はおろかアメリカ本土も
脅かす軍事力が欲しいのでしょう。
それを持つことも、連中の言う「強盛大国」の条件のひとつ?
でもね・・・なんだかヘンな話なのです。

もし、あのテポドン2がうまく飛んでいたら、北は何ができるのか?
そうですねえ・・・グアムやハワイあたりの米軍基地を
攻撃しようとできるかも・・しれません。
でも、それが軍事的にどういう意味があるのでしょう?
テポドンと言わず、弾道ミサイルというものはでかい大砲と同じ。
ドカンと打ち上げたら、あとは慣性で飛んでいくだけです。
ですから、一旦飛んでしまって燃料がつきたら、
あとは何の制御も効かないのです。
自爆装置が付いているのなら、それを作動させるだけ。

お分かりでしょうか?
弾道ミサイルというのは、命中精度が著しく低いのです。
テポドンよりも千倍は性能がいいであろうアメリカのICBMの場合、
半数必中界(Circular Error Probability、CEP)が100メートル。
ロシア製の粗雑なもので最大2kmもあるのです。
この「半数必中界」というのは、カンタンにいえば
「2発撃ったら1発は必ずその圏内に落ちる」というもの。
つまり、2発同時に撃たなきゃ当たらない範囲です。

北の低性能なテポドンの半数必中界がどれくらいかは分かりません。
普通に考えたら2kmや3kmはあって不思議ではないでしょう。
連中が2発も同時に失敗せずに撃てる様になるのは
何年先か何十年先かは分かりませんが、
1941年12月に我が帝国海軍航空隊が、ハワイ真珠湾の
アメリカ海軍基地やヒッカム空軍基地に与えた
損害以上のものを期待するなんて、夢のまた夢。
そもそも、島の陸地に着弾するのかさえ危ういでしょう。

「核爆弾や化学兵器、生物兵器を搭載していたら?」
というのは、実に素人くさい発想です。
まず、1秒で数キロも飛ぶミサイルに生物兵器を仕込むのは無理。
どんな細菌だって、そんな環境では生きていられません。
化学兵器は、よほどの大量散布でもしない限り効果は限定的。
残る有効手段としては、核兵器しかありません。
だから、世界中のICBMにはほぼ100%、
核兵器が搭載されるように作られています。

ところが・・・北がミサイルの先っちょに使えるような
核兵器を本当に作っているのか?
アメリカの軍人あるいは軍のOB専門家は時々発言しています。
「北朝鮮はすでに数個の核兵器を所有していると考えられる」
まあね・・・見方によってはそうかもしれません。
北は自分たちが「核兵器」と思いこんでいるモノを
いくつかは保有している可能性は十分に考えられます。

でもね、核兵器ってキチンと爆発しないと、
ただの扱いにくい危険な重量物でしかないのです。
三日ほど前に彼らが「長距離弾道ミサイル」と信じていたシロモノが、
実はバカに高価でド派手な花火に過ぎなかったことを考えましょう。

何年か前、アメリカと北が北京で協議した時の話。
休憩時間に北の代表がツカツカとアメリカの代表に歩み寄り
「実は我々はすでに核兵器を保有しているのです」と囁いたそうです。
もちろん、非公式発言。
きっとご存命だった将軍様の指示だったのでしょう。
本当に持っているのなら、日本海の真ん中あたりで
景気づけにドカンとやってみればいいのです。
それが、山奥で深いトンネルを掘ってダイナマイト百本分くらいの
爆発を起こしただけで「核兵器保有」だなんて・・・・

アメリカの軍人が「北は核兵器を持っている」と発言するのは
その方が彼ら(アメリカの軍)にとって何かと都合がいいから。
本当に核兵器を持っていて、それを性能のいいミサイルの弾頭に
できる能力を北が持っているとしたら、アメリカはもっと大騒ぎしています。

ついでに申し上げれば、核兵器をミサイルの先っちょ(弾頭)にするのは
かなり難しい技術が必要です。
地上に落下した段階でキチンと爆発させる
起爆システムというものが半端じゃないそうですから。

北が核兵器らしきものを持っているとすれば、
それは1945年の8月にアメリカが国際法を無視して
広島と長崎の落とした何トンもあるでっかい爆弾としてでしょう。
それも、本当に爆発するのかどうか信頼性のないもの。
彼らが妨害を受けずにそれを使用しようとすれば、
それは間違いなくテロとしてでしょう。
爆撃機に積んでハワイや日本を襲うなんて、ほぼあり得ません。
貨物船に隠してこそっと東京湾に侵入・・・できるだけ陸に近づけて起爆。
なんていうのが最も考え得るシナリオなのです。

だから、たとえテポドンの発射が成功していても、
今の段階では「ああ、そう」で済む問題。
それを大騒ぎして「ミサイル撃ったら食糧援助中止」と
アメリカが強硬姿勢を取るのはちゃんと裏があるのです。

それは、アメリカが北ではなくてイランを恐れているからです。
北がミサイル実験に成功→イランに輸出→イランがイスラエルに発射
というのが、アメリカが描く最悪のシナリオ。
イスラエルが反撃して中東情勢は流動化。ホルムズ海峡は閉鎖へ。
世界中で石油パニックが起こって大混乱!

そうじゃなくても、イランへの輸出が発覚→イスラエルが予防攻撃、
というのも十分に想定できます。
はたまた、イランが資金力にものを言わせてブラックマーケットから
購入した核弾頭をテポドンに装着、というのもあり得ること。
それをイスラエルに向かって撃たれたら・・・悪夢ですね。

北よりも怖いのがイラン・・・
だから、アメリカは北にミサイルを撃たせたくないのです。
アメリカにとって核弾頭を装着されない限りへなちょこテポドンなんて
「なーんにも怖くない」といって過言ではありません。

これは、日本にもほぼ同じことが言えます。
あんなものが日本に軍事的な損害を与えるために飛んできても
さしたる脅威ではないのです。
通常型の弾頭であれば2トン爆弾くらいの威力はあるでしょう。
しかし、自衛隊の基地や原子力発電所を狙っても
命中しないのはほぼ確実だと思われます。
街の中心を狙って来れば、最大限大きなビルを
ひとつくらいは破壊できるかもしれません。
死者もマックス1万人くらいは出る可能性があります。
まあ可能性としては数億分の1くらいでしょうが。

しかし、いくら北の指導者が愚かでも、そんなことをやるとは思えません。
それであの国はお終いになってしまいますから。
テポドンが日本に向かって発射されるよりも、
明日あたりに関東に震度7の地震がやってくる確率の方が、
何百万倍も高いと言えるのではないでしょうか?

さて、では何で北はあんなものを一生懸命作っているのか?
自分たちも大国の様にICBM(大陸間弾道弾)を持って
アメリカと対等に渡りあいたいという幼稚な願望のなせる業でしょう。
ICBMさえあれば、今の苦境から脱せられるとジョンイル君が
無邪気に信じ込んでいたの、バカ息子が継承したということ。
実際はどってことないのですが(笑)。

それよりも、近々行われるであろう核実験に注目すべきですね。
前回の核実験はほぼ失敗したと目されています。
今回も失敗することを切に願うばかり。
そりゃあもう、テポドンの5万倍くらいは失敗して欲しい実験です。

しかし・・・北のテポドンなんかより、
日本人はもっと他に心配すべきことがあるのです。
それは、ほかならぬ支那。
あの国は立派に作動する核兵器を所持していて、
それをICBMに装着しています。
そして、そのいくつかはしっかりと日本に照準されているのです。
すなわち、支那の指導者は気が向いた時にはいつでもボタンひとつで
日本の大半の都市を消滅させることができるのです。
支那の指導者がトチ狂わないことを願うばかり。

このことは、どういうワケはメディアでほとんど取り上げられません。
特にテレビでやっているのを見たことがない。
もしそんな特集番組を作ったら、北京政府に取材制限などの
「報復措置」を取られるから、それが怖いのでしょうか?

しかし、仮に支那の核攻撃を受けても日本は何の反撃もできません。
アメリカが日本の仇を取ってくれることを祈るだけ。
日米安全保障条約は、アメリカが「日本を守る」とは規定されていますが
相手国に報復の攻撃を加えるなどという条項はありません。
それに、アメリカが条約を守るという保証もありません。
現に、あの国は国際条約に違反して広島と長崎に原爆を落とし、
東京と大阪をはじめ日本の大都市に無差別爆撃を行った前科もあります。

お分かりでしょうか?
日本は、ほぼ丸腰で支那大陸の沖合にプックリと浮かんでいるのです。
日本が防衛には無頓着であることを見越して支那は尖閣を窺い、
韓国は竹島に居座り、ロシアは北方領土を占領したままです。
このままだと、国土と国民に対してさらに危難が降りかかるのは必定。

日本のそろそろ、自分のことは自分で守る気概と勇気を持ち、
「武器」もキッチリと用意するべきではないでしょうか?
支那に向かってハッキリと「ICBMの照準を外せ」と要求すべきです。
棍棒を振り上げたままの相手に、
愛嬌を振りまくのはただ誤解を与えるだけ。

今月28日は、日本がサンフランシスコ平和条約によって
「完全に主権を回復」してから60周年の記念日。
「完全な独立国」であれば、自分たちの憲法は自分たちで決め、
キッチリと自分たちの国土と国民を守る軍隊を持つべきです。


2012/4/16 20:11 Comments (0)

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