売れるものは売れる、売れないものは売れない

不動産業というのは、大学生の就職先として人気がありません。
三井不動産や三菱地所といった、
業界の中で毛色やお行儀、社風も「お上品」な企業でさえ、
人気ランキングにはたまに顔を出す程度。
マンション分譲・販売大手の大京やコスモスイニシアにいたっては・・・・・
だからでしょうが、慢性的に人材不足です。
人手不足ではありません。数は足りています。
問題は、中身。
「おいおい、ちょっとあなたねえ・・・・」
打ち合わせをしていて、そういいたくなる場面は数知れません。
私も20数年この業界にいますから、
もうそんなことはとっくに馴れっこになっています。
ハナから、頭のいい人間に会えるなどとは期待しません。
もちろん、裏切られることは多くありますが・・・
私の場合、どんな人でも分かるように、
企画書はなるべくわかりやすく書くようにしています。
物事はカンタンに説明できてこそ、
そのことを本当にキチンと理解できているのです。
妙に難しく説明するのは、自分で理解できていないからです。
長ったらしい企画書を作って、
意味のないことを滔々と書き連ね、説明することは
自分がバカだ、と証明しているようなもので、
私には恥ずかしくてできません。
ところが・・・・
この業界の方々は、往々にして「難しい」というのをありがたがります。
同じことでも、企画書の上で、あるいはプレゼンの席で、
難しく説明したほうがウケたりするわけです。
「この価格は、想定ターゲット層の購買力からすると高すぎます」
こういうゴクゴク簡単なことを・・・・
「計画坪単価から推定されるグロス価格を、
過去数年間の市場動向とエリア特性から抽出できる
ターゲット属性の年収ボリュームゾーンから想定される
購買力平均値と比較検討すると、
販売活動が順調に進められる範囲の上限近辺の
レベルと位置づけることができます・・・」
あのね・・・何を言ってるのかよ-わからんよ・・・
私はそういいたくなって・・・
その次に眠たくなって・・・・仕方ないので、
会議の間中、時計や手帳を見て過ごします。
でも、不動産屋さんの方々は、なんと・・・
根気強くそういう話を聞いて「ウンウン」とうなづいたり
マーカーで企画書の一部にチェックを入れたり・・・
うーん・・・・
そして、いつも呆れるのですが、
彼らは、自分たちが開発して販売しようとするマンションの
販売や広告戦略に「100%の正解」が、
どこかに必ずあると思っているのです。
つまり、ロクでもないプランにバカ高い値段をつけていても
「こういう販売戦略で営業すれば定価で完売できる」
「こういう広告戦略、広告表現を行えば、購入する客層を集められる」
という何か「うまい手法」がどこかに必ずあると、
心の底から思っているのです。
だから、「こりゃ売れないだろう」というマンションに限って
販売開始までの定例会議は、異様に長くなり、紛糾します。
みんな、普通にやれば売れないのがわかっているから
「何かいい方法がないか」「きっと何かいい方法がある」と、
ない知恵を出そうとするワケです。
ありません。
それが結論です。
いいものを、市場価格に合わせて出せば売れます。
いい加減な商品を、高い値段で出せば、売れません。
「なにかいい方法」がどこかにあり、
それを探し出して採用し、実際に使えば
市場価格よりも高くてロクでもない商品が売れる、
と考えるのは、はっきり言ってエンドユーザーをなめています。
つまり、一般消費者を騙す方法がある、と思っているワケです。
そういう傲慢で不遜な考え方は、広告にもっともよく表れます。
名の知れた内外のタレントを起用したマンション広告が、
彼らのエンドユーザをなめた態度を如実に表しています。
学生に人気がない、ということは残念ながら
優秀な人材があまり集まっていない、
ということにもつながっているのではないでしょうか?
学歴を言っているのではありません。
何をどう学んだか、ということです。
不動産屋さんでも、新卒採用は「4大卒」を基準にしているところが多くなりました。
4大卒などという必要は無いと思いますが、
今日はそこを基準に話を進めさせていただきます。
不動産屋さんの方々は、たいていが文系のご出身だと思います。
文系とは社会科学系(法律、政治、経済、経営、社会、国際関係等)や、
人文系(文学、哲学、心理学、史学等)です。
実は・・・大学の学部で学べることなどはゴクわずかだと思います。
ほんのちょっと、まじめに勉強すればまず、
「自分はどれだけ世の中のことを知らないか」という厳粛な事実に気づきます。
そして、懸命に勉強します。
すると次に、今後ずっと学問を続けても
「自分は死ぬまで世の中のほんのちょっとのことしか分からないだろう」
という残酷な予測に直面します。
そして、最後に「自分も含めて人間は、世の中のことをちっとも分かっていない」という
文系アカデミズムの限界を知ります。
「何を学ぶか」ではなく、「何を知らないのか」
「人間はどこまで自分たちのことが分かっているのか」
ということを知るのが、文系アカデミズムの初歩なのです。
つまりは、文系学部というのは
「何かを学んで知る」のではなく
「何を知らないかを学ぶ」ところで、
そこさえ実感できれば、立派に「卒業」できます。
マンションを開発して、分譲する、というのは、
創造の営みもありますが、経済的な実業でもあります。
売れるか売れないかを判断する「マーケティング」は、
学問で言えば「社会科学」がカヴァーすべきカテゴリーです。
つまり、今の人間のつたない英知では、
ロクでもない商品を「こうすれば売れる」などという解決策、
つまり販売や広告の「答え」はどこを探してもないのです。
それは経営の神様である松下幸之助にも、
電通のトップクリエーターにも分からないことです。
「ある」と思って、バカバカしくも長ったらしい会議を続けている方々は、
短い学生生活の間、存分に青春を謳歌されたのでしょう。
そして受験勉強の悪しき訓練で
世の中にはどんなロクでもない問題にでも
正しい「答え」があると思いこんだまま
卒業証書を手にして不動産屋さんに就職されたのでしょう。
ロクでもないマンションを、
魔法のように売るための「答え」などありません。
今現在、確実に売れるマンションは、
エンドユーザーが「欲しい場所に」、
「買える価格」で売り出されているマンションです。
つまり、需要と供給の関係が一致した商品。
「需要と供給」という経済の大原則は、
まゆつばモノが多い社会科学の法則の中でも、
数少ない「正解」のひとつだと私は単純に思っています。
「榊め・・・いうだけならカンタンなんだよ。
そんなもの、今の世の中にあるワケねーだろうが」
そういう非難が聞こえてきそうですね。
でも、実際にはあります。
昨日、ある新興のマンションデベロッパーを訪ね、
開発担当者とじっくりとお話してきました。
あるのです、そういうマンションが・・・
そういうマンションを作って、実際に販売して、
しかもあっという間に売れてしまっている例が・・・
今度、機会を見てきちんとご紹介します。
さて、かねてよりマンション購入に関する
無料の相談を行っています。
私のオフィシャルページの無料相談受付コーナーか、
こちらのコメントからお送りください。
お名前などはハンドルネームで大丈夫です。
物件名と検討住戸、
価格などははっきりお知らせいただかないと、
お答えしにくくなります。
かつては、ヤフーのフリーメールでお答えしていたので、
「迷惑メール」のフォルダに入ってしまった例もありますが、
私としてすべてお答えしたつもりです。
「まだ回答をもらっていない」という方は、
同じ要領でお知らせください。
それから、回答メールを作成したのですが、
アドレスが不正確でお送りできなかったこともあります。
くれぐれもメールアドレスは正確に入力(ペースト)してください。
●メルマガ「榊淳司の注目のマンション情報」登録募集
現在1500名あまりの方々にご登録いただいています。
榊が注目するマンションの情報をお知らせするメルマガを
お読みになりたい方は
こちらからご登録ください。
過去の発信情報もすべてこちらでお読みいただけます。


2009/5/1 1:24 Comments (0)

コメントはまだありません

No comments yet.

RSS feed for comments on this post. TrackBack URL


Leave a comment

※こちらへ書き込みいただいたコメントは、承認後全て表示されます。
マンション購入に関する個別相談等こちらへ表示させたくない場合は、
専用フォームからお願いいたします。