景気回復は早い。土地価格はこの秋が基準に・・・

かつて、この国には「土地神話」というものがありました。
それは「土地というのは、一時の変動はあっても、
長い目で見れば必ずその価値は上昇する」というもの。
これは多分、近代的な土地の所有制度が始まった明治期以来、
この前のバブルが崩壊した約19年前(1990年頃)まで、
100年以上続いた日本の土地にまつわる「神話」なのです。
だから、約19年ほど前に不動産の価格が下落し始めたとき、
マスコミ各社は「これは、土地神話の崩壊だ!」と、大騒ぎでした。
そして2年ほど前。
各経済誌は「土地高騰」と騒いでいました。
「青山の骨董通りは坪ウン千万円になった」
「銀座は海外ブランドの出店加速で、前の年の2倍に」
「これはバブル再来か!」
最近のことなので、榊ははっきりと覚えています。あの当時・・・・
財閥系の不動産会社の経営者が、
名の知れた経済誌で堂々と
「これはバブルではありません。実際の需要に基づいた価格上昇です」
というご趣旨の発言をなさったインタビュー記事が掲載されていたことを。
あの時も「本当? あんたの会社が儲かるからそう言うんじゃないの?」
と思ってましたが、やっぱり・・・・
残念ですね。この前の事務所の引越しで
その雑誌を捨ててしまいました。
まさか、こんな他人のアラ探しのために
国会図書館まで出かけて、そのバックナンバー探しに
半日つぶすわけにもいきません(笑)。
不動産屋さんのDNAには、
すでに崩壊してしまっているはずの
「土地神話」が、どこかに残っていたのです。
いや・・・願望として残してあったというべきでしょう。
だから、ちょっと冷静に考えれば
「コレはおかしい」と気づくはずの2年前、3年前に
マンション事業用の土地をじゃかじゃかと買ったわけですね。
彼らがあの時期に買った土地の上には今、
ほとんど人が住んでいないマンションが建っています。
その1室には販売事務所が置かれ、
空しい営業活動が続けられています。
まだ、何も建っていない土地もいっぱいあります。
どうするのでしょうね?
「土地神話」は、今回のミニバブル崩壊で
完全に過去のものになった・・・・と、いいたいのですが
そこは単純思考ベクトルしか持たない不動産業界の紳士諸兄。
「急に悪くなったんだから、急に良くなるのじゃないか」
なーんて、甘い考えをお持ちの方々もいらっしゃいます。
実は、土地の価格には底打ち兆しが見えます。
確かに、今は不景気です。
「百年に1度の大不況」なんて騒いでいます。
榊も、調子に乗って「100年に1度」というフレーズを使っていますが、
内心では全然そうは思っていません。
この不況の規模は大きいけれど、構造は単純です。
アメリカ人がモノを買わなくなった。
これが一番の原因。
アメリカを代表する企業の
GMもクライスラーに続いて破産でしょうか?
でも、それもいいことです。
だいたい、アメリカの自動車メーカーは、
従業員とそのOBの社会福祉のために
存在しているようなところがあります。
かれらの年金や医療保険を払うために
車を作って売っているマシーンみたいなものです。
企業は本来、利益を追求するもの。
その余得として株主に利益が配当され、
経営者が報酬を得、従業員が恩恵を受けるもの。
それを、会社が赤字にもかかわらず、
経営者がべらぼうな報酬を分捕り、
従業員とそのOBが無尽蔵の保障を受け続けるための
組織ではないはずです。
そういう、きわめて不健全なアメリカ経済の膿が
この大不況で一気に清算される気配があります。
アメリカという国は、そういう動きが実に早い!
19年前の日本のバブル崩壊、
という実にわかりやすい手本が有ります。
あの時、日本は愚図愚図したおかげで
「失われた10年(本当は15年?)」を経験しました。
アメリカの政策当局者は、それをよく研究しています。
オバマには優柔不断の気配がありますが、
あの当時の宮沢首相よりましでしょう。
そして多分、今年の後半には景気回復の兆しがはっきりします。
今、底打ちの気配が漂っている日本の土地価格は、
再び上昇するのでしょうか?
不動産屋さん諸兄としては、ぜひそうなって欲しいところですね。
まあ、下がりすぎた都心の一等地などは、
多少リバウンドするのではないでしょうか。
現に、今も外国資本が「おいしい土地」を漁っているようです。
「では、いよいよ土地神話の再来?」
それは、まずない、というのが榊の見解です。
その理由はいたってカンタン。
モノの値段というものは、大まかには需要と供給の関係で決まります。
かつての「土地神話」も、日本の人口が増え続け、
経済が発展し続けている限りにおいては、
一応の科学的な根拠があったのです。
つまり、工場や住宅用の土地の「需要増」があるのに
狭い日本の地べたは限られていた、ということです。
しかし、すでにそういう関係は崩壊しました。
産業構造の変化や規制緩和、さらに建築技術の発達によって、
東京でさえ土地が「需要に対して不足」という
状態ではなくなっています。
つまり、土地の価格が上がる、という科学的根拠は
今のところほとんどありません。
本来の価値に対して下げすぎたところは
リバウンドするでしょう。
でも、それ以上に大きく上がることはない、
というのが榊の予想です。
長くなりました。
今日の結論を書きましょう。
「それじゃあ、1年後、2年後、さらに5年後のマンションの価格は?」
というのが、皆さんがもっともお知りになりたいことだと思います。
榊の意見は
「今年の秋あたりの価格を基準に、しばらくは大きく動かない」
というところでしょうか。
この2月3月は「投売り」がありました。
ただ、それは一時的な現象。
価格は次第に「需要と供給の関係」に従って
売り手と買い手の思惑が一致するところに
収斂していくでしょう。
それがこの秋あたり。
相場の落ち着いたそのあたりが、
当面の市場価格の「基準」になるのではないでしょうか?
この予想、確たる自信はありませんが、
今のところそんな風に考えています。
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2009/5/6 23:56 Comments (2)

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