拙著「磯野家のマイホーム戦略」が刊行されて1か月弱。
こういうイベントがあると、普段接触のない方と
コミュニケーションすることが出来るので、
思わぬうれしい出来事が起こったりするものです。
まず、学生時代の恩師。
私の同志社時代、ゼミの指導教授は麻田貞雄という大先生。
前回の拙著を出版した折もたくさん褒めてもらって励まされました。
今回はそれ以上にお褒め下さった上に、温かい直筆のお手紙まで頂戴。
卒業して28年以上も経つのに、こんなに「ご指導」いただけるとは
涙が出るほどに感激しています。
先日のメールでは、こういう励ましをいただきました。
ゼミOBに関する所感ですが、①ゼミの成績は結構良かったが、卒業後はあまりにパットしなかった。②ゼミの時間は、どうみても「秀才型」ではなかったが、卒業後は私がビックリするほど伸びた。
君は勿論②の典型です。
君の批判精神と道徳観。弱い方(入居者、借り手)に立ち、不動産業界を堂々と批判する。立派なものです。
先生、勝手に引用してごめんなさい。
わが麻田ゼミは、当時の同志社大学法学部の中では
まさに奇人変人の集まりと見られていました。
だって、就職にはまったくコネが効かないのに、
みんな必死になって勉強していましたから。
まるで修道院のようなゼミだったのです。
関東の方には分からないかと思いますが、同志社の学風は
東京でいえば立教、青学、慶応に近いものがあります。
要は、楽しく要領よく学生生活をエンジョイしようと、というのが主流派。
ゼミ同期である某田中君はフェイスブックで未だに
「アノ頃は河原町のミックジャガーと呼ばれて、合コンに明け暮れていた」
というのを自慢にしているようですが、これがまさに主流派。
しかし傍流の麻田ゼミ生の場合、1か月に1度回ってくる発表前は
自宅→図書館→教室→図書館→自宅という生活パターン。
デートや合コンどころか、バイトも出来ません。
先生のコメントにある「秀才型」も当然いて、
わが同期は外交官試験に受かったり大学教授になったり
国連の幹部に昇ったりと、かなり「パっと」しています。
某田中君も今は700人の社員を抱える大企業の経営者です。
そんな連中の中で、私はどちらかというとムードメーカー。
ゼミ同期はわずかに十数人。
麻田先生は発表者だけではなく、ほぼ全員に毎回最低1回は
「君は・・・についてどう考えるか?」とコメントを求めます。
昔から表層的なアタマの反射神経がまずまず。
しかも「口八丁」なもので、みながコメントに窮する質問も、
それなりに答える私は毎度数回は「ご指名」をいただいていました。
議論が停滞した時には、必ず当てられていたような記憶があります。
今から思えば「可愛がっていただいた」のでしょう。
だからこそ、発表がなくても準備は怠れませんでした。
もう20年近く前、日本の社会科学分野では最高峰といわれる
「吉野作造賞」というのを先生が受賞されたとき、
東京でOBたちが集まるささやかなパーティがありました。
諸先輩方の後に、私にもマイクが回ってきました。
「私は未だに勉強不足で吉野作造賞というのがどれほど権威のあるものか知らなかったのですが、此度先生が受賞されたと聞いて調べたところ、腰を抜かすほどにビックリいたしました。さすがはわが麻田先生、これならば次はノーベル賞だ、と思ったのですが・・・ノーベル賞には政治学分野がなかったのですね。誠に残念。しかし、もしノーベル賞に政治学があれば、必ずや麻田先生が受賞されることを私は誰よりも確信しております・・・」
「私は現在広告屋をやっております。広告屋と申しますのは、いわば嘘をつくのが仕事です。それらしい嘘でまずスポンサーをだまくらかし、その次に一般大衆を騙します。でも、嘘は嘘です。スポンサーが我々広告屋のプレゼンテーションに疑問を呈したときには、うまく言いくるめてごまかさなければいけません。この時、麻田ゼミで鍛えられた討論の力が非常に役に立っております。あの貴重な経験を、私のように生かすのは邪道かもしれませんが、麻田ゼミあっての私の今があると、常日頃から感謝をいたしております」
こういう間抜けなスピーチをしてヤンヤの拍手をいただきました。
卒業後も、私はムードメーカー以上でも以下でもなさそうです。
次は、顧問税理士の先生。60代中盤のご年齢。
その昔、儲かっていたことも僅かにあってお世話になりました。
もう20年以上のお付き合いになりますね。
ここ数年、体調を崩されたのでお会いしていませんでした。
事務処理は所員の方がしっかりしてくれているので支障なし。
ところが、昨日突然携帯にコール。
「ご本を読みましたよ。いや、私もほぼ同じ意見です。ウチの若い所員も35年ローンでマンションを買うのがいるのですがねえ・・・・」
久しぶりに電話で歓談。嬉しかった。
この先生、ただの税理士ではなく様々な啓蒙活動に取り組んでおられます。
そして、税務署に阿らない硬骨漢でもあります。さらには、
税制や税務行政の矛盾に関しても臆することなく発言される「硬派」。
そういう方からお褒めいただくのはいたって光栄。
某大手経済紙の記者さんからも久しぶりに電話。
「いやあ、マンションは売れてないですねえ。こんど、なんか仕事作って伺いますので、ぜひよろしくお願いします」
いろいろな方が私を覚えてくれていて、連絡を下さるのはありがたい限り。
人間は、他人との関係性で存在意義を確認するものだと改めて感じました。
フェイスブックがヒットしたのもそこにあるのでしょうね。
No comments yet.
RSS feed for comments on this post.