東京に住む京都人から見た「大阪衰退の原因」

近畿圏のマンション市場が好調だそうです。
どうしてでしょうね?
理由がよく分かりません。
ここ数年、ずっと不調だったと私は理解しています。
市場というのは、時々気まぐれな動きをするものです。
数年たつと、こんな変な動きもある程度説明できるようになるのですが、
そのさなかにあるときには分からないもの。
バブルの絶頂期には、そうとは認識できにくいのと同じ。

私のマクロ的な感覚では、大阪を中心とした近畿圏の経済力は、
はっきりとした長期低落傾向にあります。
この流れは、ちょっとやそっとでは止まらないでしょう。
「大阪vs.東京」の戦いはここ2、30年の間、ずっと東京側の優勢。
大阪はどんどんと衰退していっているはず、なのです。

この流れにちょっとだけさざなみをたてたのが、昨年3.11の大地震。
東京の極少数のおっちょこちょいたちが「放射能が危険」と早とちりして、
関西圏に移住していったのです。
私が知っているある不動産会社は、本社を京都市に移転しました。
京都というのは、天災がほとんどありません。
だから1200年も都が続いたわけです。
「だから、京都が一番安心」と考える方がいるとかで、
京都の不動産に人気が出ているそうなのです。
私のような京都生まれの人間にとっては「へえ、そうなん」という感じ。
今度東日本に大きな地震が来るのがいつかは分かりませんが、
それがなければこんな「けったいな」動きもあと1,2年で終るはず。

やや希望が持てるのが、橋下市長の一派である「維新」。
今後どうなるかは分かりませんが、彼はこれまで大阪を停滞させてきた
宿痾に対して果敢に挑戦し、一部で勝利を収めつつあります。
その宿痾とは、大きくふたつ
1 組合に支配された役所のナーナー体質
2 同和団体の不自然な役所支配
大阪から大企業が次々と逃げ出していく制度的な原因は、
行政の緩みと逆同和問題である、と私は推測しています。
この2つ頚木から解放されると、大阪の経済活動は少しマシになるはず。
橋下さんの活躍に期待したいところですが、
いわゆる「抵抗勢力」も相当に強力そうですね。
既得権を持った連中がこぞってそちらに回っています。
もし橋下さんの一派が衰退すると、またぞろ低落路線に逆戻りです。

大阪の経済が衰退した原因をもう2つほどあげるとすれば、
まず、彼ら独特のローカルな商習慣ではないでしょうか。
ウニャウニャと曖昧さを残した取引が多いこと。
交渉ごとでもウダウダ面倒くさいことをいう方が多いですね。
また、そういった曖昧さや迂遠さを「悪」とみなしていないのが大阪。
京都なんか、もっとそうです。
自分が京都人だからよく分かりますが、
話している言葉と双方の思惑が全然違うのが京都人同士の交渉。
ああいっためんどくささ、分かりにくさは現代社会では「悪」です。
私に知る限り、東京の商慣習は隅々までテキパキとビジネスライクに
決めていくことが「良」であり、曖昧な取り決めは「悪」。
また、日本人同士なら多少の曖昧さも許容範囲に入りますが、
外国が絡むとそんなことは全然通じません。

次に、大阪の場合は「適正な競争」が行われていない場合が多そうです。
つまり、ドロドロとした人間関係やズブズブの接待によって、
発注・受注が成立している場合が、東京に比べてかなりあるといいます。
アジア的といえばアジア的。昭和感覚といえばそれも然り。
経済規模は東京の数分の一にも関わらず、
夜の街の繁栄度はざっくり半分くらいではないでしょうか。
そういった方面に流れる無駄ガネ比率が高いということは、
それだけ商習慣が非合理的だとみなすことができます。

まあ、そんなことどもはいいとして・・・・・
最近近畿エリアで好調に売れたというマンションを見ていると???
「なんであんなんが売れるの?」
といいたくなるものがたくさん混じっています。
また、何が何でも無理クリ「人気化」させることが営業手法になった
某デベロッパーの物件が含まれていたりもします。
つまり、需要が本格的に回復しているとは思えないのです。
私としては、これは一時的な現象だと見ているのですが・・・

ただ、マンション業者はそう見ない人が多いはず。
これから1年チョイは「駆け込み需要」も見込めます。
それを取り込むためにイケイケドンドンで事業を進めるためには、
この1ヶ月くらいで土地を仕込む必要があります。
きっと今頃、関西エリアでは中規模以下のマンション用地は
「争奪戦」の様相になっているのではないでしょうか。
まあなんといっても懲りない連中ですから。

昨日の朝日新聞にも私のコメントが出ていましたが、
消費税増税前の駆け込み購入は、おバカな購買行動です。
「高づかみ」の可能性が高くなると考えてください。
増税後の需要「反動減」で、価格が低落することが予想されます。
そうでなくても、マンションの価格は毎年2-3%ずつ下がっていくはず。
なーんにも慌てることはないのです。
これは、関西でも関東でも同じ。

大阪の人は東京人よりも少しおっちょこちょいな所があります。
「今はマンションの買いどきでっせ」といわれたら、
「そうかいな。ほな、かわなあかんなあ」となる人も多いはず。
その点、京都人は決断が遅い分、少し落ち着いています。
「ほんまですかいな。そんなに慌てることはあらへんのちがいますか」
とまあ、こんな感じ。
でも、今はこれで正解だと私は思います。


2012/8/18 15:37 Comments (0)

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