今日は不動産投資について書きましょう。
私は普段から「これから先、不動産価格は下がります」
ということを言ったり書いたりしています。
そんな私が不動産投資について語るのはヘンですか?
いつもの通り、「そもそも論」で考えましょう。
そもそも、なぜ不動産投資をするのでしょうか?
あるいは、不動産に投資することで
どんなメリットを享受できるのでしょうか?
まず、不動産投資の目的は2つあると言われています。
1 キャピタルゲイン(値上がり益)
2 インカムゲイン(運用益)=家賃収入のことです
さて、私は「これから先、不動産は値下がりする」と言っている以上、
キャピタルゲインはまず狙えないと考えていいでしょう。
ミャンマーやインドネシアの不動産なら話は別ですが・・・
一方、国内の不動産価格は年年歳歳下がっていくのは揺るぎなき現実。
今年3億円で不動産を買うと、10年後には
1億5千万円でしか売れないかもしれません。
「だったら損をするじゃないか」と、誰もが思いますね。
実はその通り。
今、不動産投資をしている人は5年後10年後にはほぼ間違いなく
買った値段よりも高くは売れなくなっているはずです。
では、なぜ多くの人が不動産投資をしているのか?
それは、値上がり益ではなく運用益を狙っているからです。
つまり、今の不動産投資はほぼインカムゲイン狙いなのです。
ただし、10年経ったら半額になるかもしれない
不動産を買うリスクは変わりません。
だから、相当のインカムゲインがなければ割に合いませんね。
例えば、よくある都心のワンルームマンションのように
家賃収入が12か月分入ってやっと年率5%くらいだと、
元をとるまで最低20年かかります。
しかも、その20年で一度も空室ならないなんてことはあり得ません。
「あれは税金対策だから」と考える人もいるでしょう。
でも、節税効果があるのは最初の数年・・・主に翌年だけです。
「そんなこと言っても、高い利回りの物件はめったいないよ」
その通りです。都心ではまずないでしょう。
というか、一般の方が見つけることはほぼ不可能。
それに、ワンルームマンションを1戸所有していたとしても
つねに「空室リスク」というのが付きまといます。
誰かが借りていれば家賃が入りますが、退去するとゼロです。
そればかりか管理費や修繕積立金が必要になります。
「しかし、マンションを1棟ごと買うなんて予算的に無理」
というのが、一般の方々の発想ですね。
しかし現実としてそれはまったく可能です。
現に、年収700万円くらいの方が1棟1億円くらいの
マンションを平気で買っています。
そうするとどうなるのか?
都心では1棟1億などというマンションはめったにありません。
でも、地方都市ならけっこうあったりします。
そういった物件は、たいていが「満室利回り13%」くらい。
つまり、全戸借り手がついていると年間1300万円の収入です。
でも、年収700万円の方が1億円も現金を持っているはずないですね。
だから、銀行から融資を受けて買うのです。
「年収700万円の人に銀行が1億円も貸すわけないじゃん」
いいえ、貸してくれます。
ただ、金利は住宅ローンのように「0.8%」みたいなわけにはいきません。
だいたい5%以上はかかるとお考えください。
さて、カンタンにシミュレーションします。
1億円を年利5.0%の25年で借りた場合、月々の返済は584,590円。
年間だと約701万5千円。年収700万円の人には返せません(笑)。
でも、家賃収入というものがあります。
満室は無理でも80%くらいなら現実的に可能でしょう。
1300万円の80%は1040万円。
これを返済に充てると、まだ338万円残ります。
もし入居率が90%だと468万円。
年収700万円の方が、1億円のマンションを運用することで
給料以外に300万円以上の現金収入を手に入れられるのです。
もっともこれを全部使っちゃうと、
修理や修繕の必要が生じた時に困ります。
これは、私が机上の空論で言っていることではありません。
現実に、そうやってウハウハしている方が何百人もいるのです。
「でも、そんな物件をどうやって見つけるの?」
そこが一番の問題です。
そういう物件は、インターネットの世界を隅々探し回っても
まず見つけられないでしょう。
ネットに出ているような投資物件で、
投資妙味があるものはほとんどないのが現実です。
というのは、業界の常として美味しい物件は
ネットには出さずに、自分たちの目の届く相手にしか売らないから。
例えば・・・・
地方のある資産家が、何かの事情があって
20年ほど前に建てた賃貸マンションを売ろうとします。
その資産家氏は、どうやって買い手を見つけようとするでしょう?
たいていの場合、資産を売却していることを周りに知られたくないので、
ネットに物件情報を流すような業者には仲介を依頼しません。
だいたいは、取引銀行に買主探しを依頼します。
頼まれた銀行は、買いそうない取引先へ順番に紹介します。
しかし、その資産家氏が現金化を急いでいた場合はどうなるのか?
銀行は、すぐに買いそうな不動産業者に声を掛けます。
それは、投資用の収益物件を専門に扱っているような業者です。
そういう業者は、だいたいが東京や大阪などの大都市を拠点にしています。
彼らはその物件を購入すると即座に自分の顧客リストの中から
それを買いそうな投資家を探して、転売します。
こういった取引は、かなり迅速に行われます。
だいたい、売りが出てからひと月もすれば
最終的な投資家への売却が終了します。
そして、資産家氏が売り急いでいるので価格も市場より安め。
つまり、利回りが高くて投資に有利な物件である場合が多いのです。
こういうルートで物件が取引されると、まずネットには出ませんね。
では、そういうアンダーグラウンドで流通する物件を
購入するためにはどうすればよいのか?
それは、そういう物件を扱う専門の業者の顧客リストに
自分の名前を載せることです。
別に難しくはありません。普通に申し込むだけ。
この本は、そういった投資物件専門業者の中でも、
最近成長著しいある会社の経営者さんが書かれたものです。
実は私、著者の根布さんという人を存じ上げています。
ここ2年ほど、ある媒体の原稿を書くために、
ひと月に1回くらいのペースで取材をさせていただいています。
最初にお会いした時「不動産屋らしからぬ方だな」と感じました。
それで、お話を伺うと実に博識多才で頭脳明晰。
また、私の書いた原稿に入れる赤字の的確なことといったら・・・
とても不動産屋さんとは思えないくらいです(笑)。
原稿のアイデアに詰まった時に、突破口を見つけてもらったことも
一度や二度ではありません。
(こりゃ敵わんな)
実は私、最初にお会いして以来ずっと兜を脱いでいます。
年齢は私より9歳ほどお若いようですが、
人生経験の濃さや深みはとても太刀打ちできません。
「僕は中卒だから・・・」
なんておっしゃるわりには、そのへんの大卒なんか
束になっても敵わないでしょうね
それでいて、容貌は役者であってもおかしくないくらいイケメン。
お会いするこの会社のスタッフさんたちも、そろいにそろって
「不動産やらしからぬ」人々が集まっています
本の中身はいたって簡明。
彼の考える「不動産投資とは何か」ということと、
どんな人が、どのようにすれば成功するのかを、
実に分かりやすい文章で書かれています。
内容も、その辺の偏った不動産投資本に比べると
いたって正論に近いと言えるでしょう。
だから、キワモノ的なノウハウは期待しないほうがいいですね。
でも、「不動産投資をやってみよう」とい勇気が湧いてくるし、
それほどハードルは高くないことがよく分かるはずです。
そして、何よりも根布さんという方の考え方がよく分かります。
実に合理的に物事を考え、顧客とは誠実に向き合います。
私の第一印象である「不動産屋らしからぬ」というのは、
そういった意味でも大当たりだったようです。
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