ちょっと前の日経の記事
国土交通省が31日発表した7月の新設住宅着工戸数で、分譲マンションは前年同月比71.9%減の3961戸だった。統計を取り始めた1985年1月以降、単月としては2カ月連続で過去最低を更新した。国交省は「マンション在庫は減り始めているが、いまだに在庫調整局面が続いている」と分析している。
マンションの着工戸数は「リーマン・ショック」が起きた昨年9月に1万6920戸と直近のピークを記録してから、10カ月連続で減少している。首都圏(前年同月比66.2%減)、中部圏(80.8%減)、近畿圏(67.4%減)といずれも大幅に減った。銀行がマンション開発資金の融資に慎重なことも響いているとの指摘もある。
うーん・・・ますます厳しくなっていますね、この業界。
こういう傾向は、一時的な現象ではなく、今しばらく続くと思います。
もちろん、少しはリバウンドするでしょうが、
数年前のような数字に戻ることは、もうないでしょう。
マンション分譲業界は、今後規模を縮小していかねばなりません。
今までのように「作れば誰かが買ってくれる」という
時代は二度と来ないのです。
モノにも価格にも、いっそう厳しい事業計画が求められます。
そのことに・・・・気づいていない企業が多いですね。
まず、こういう統計が発表された裏側で、
実は着々と土地を買っている企業もあるのです。
それも、今まであまりマンション分譲をやっていなかった企業だったりして・・・
これまでの分譲事業の常連さんたちも、元気のいいところは
マンション分譲のために土地を買いに走っています。
懲りないなあ・・・・というのが正直な感想。
土地といえども、今は需要と供給の関係で価格が決まります。
今年の前半なんか、だーれも土地を買わないから、
それこそ「言い値」でもOKだったのです。
でも、今は何社も買いに来ているから入札になったりします。
もう、そうなると・・・いけません。
今、たまたま建築費がだいぶ安くなってきたから、
事業計画も組みやすいかもしれません。
しかし、入札なんかで競り落とした土地で、
本当に事業が成り立つのでしょうか?
まあ、冷静に先行きを見守りましょう。
さて、今日の本題は新築マンションの販売手数料と広告費について。
まず、販売手数料について
たいていの新築マンションには
売主 ○○不動産
販売代理 ××不動産販売
という表示がされていると思います。
「売主」というのは、私が「マンションデベロッパー」と呼んでいる企業。
土地を買って、ゼネコンに発注して、できたマンションをみなさんに分譲する会社のこと。
でも、こういう会社は自ら「販売」することはほとんどありません。
モデルルームにやってきたみなさんに接客して、
いろいろ説明して、営業するのは、彼らからすると
「一段低い」仕事だと思われているのです。
数年前、「三井不動産」のマンション事業部門と、
「三井不動産販売」のマンション販売部門が合体して
現在の「三井不動産レジデンシャル」という会社が誕生しました。
このとき、大問題になったのが、両社の給与体系の違いだといわれています。
つまり、デベロッパーである「三井不動産」は結構高給な会社。
比べて、現場でみなさんに対して営業している
「三井不動産販売」はいくらか低かったみたいですね。
どういう調整をして、今になったのかは知りません。
でも、これは現場が一段低く見られている典型的なケースですね。
で、その販売会社は、売主が事業化したマンションを売って、
いったいいくらもらえるのか?
これには結構幅があります。
安いところで3%台。高いところで6%。
だいたいが4~5%あたりが標準ではないでしょうか。
つまり、みなさんが4000万円のマンションを買ったとすると
160~200万円くらいが、販売会社の懐に入ります。
これを高いと思うか、安いと考えるか・・・
まず、一概に言えないと思います。
販売を開始して短期間で売れる「市場性」のあるマンションなら、
販売会社はウハウハでしょうね。
手間ヒマがかかっていませんから。
こういう場合は、わざわざ販売代理を立てないで
売主が自分たちで接客すればいいのに・・・と思います。
だったら、販売手数料分を安くできるかもしれません。
現に、そうしている会社もあります。
反対に何年もダラダラと販売が続き、月に1,2戸しか売れないようだと、
販売会社は人件費だけで赤字になってしまいます。
にもかかわらず、売れない現場では売主が販売会社に
「○月までに完売する販売計画書を○日までに提出しろ」
などという、無駄な書類作りを要求したりします。
販売会社には、売らないと手数料が入らないのが、
この販売代理システムのシビアなところ。
そして、営業マンの給料の何%かは歩合です。
自然、売れない現場のモラルは下がって、
たまに訪れたお客様を不愉快な目にあわせることも・・・
そもそも、売れないマンションを作った売主が失敗しているのです。
そういうダメ物件を売らされている営業マンが
気の毒と考えるべきでしょう。
そんな現場では、販売会社は値引きしてでも売りたい・・・
おっと・・・コレから先はセミナーで喋るネタです。
一方、広告費について。
これは、だいたい事業費の3%くらいが目安です。
つまりみなさんが4000万円のマンションを買ったとすると
120万円程度は広告費だったのです。
「そんな・・・私はチラシしか見ていないけど」
そうなのです。
チラシ1枚の単価は15円程度です。
みなさんが見る新聞折込チラシ1枚には15円しかお金がかかっていないけれど、
その背景にはおびただしい広告費用が浪費されているのです。
今は、チラシよりもネットが多くなりました。
それも、物件のオリジナルホームページよりも
ヤフー不動産や住宅情報ナビなどを見て、
そのままモデルルームに行く、という人が最も多いようです。
ヤフー不動産などのポータルサイトは、
そのマンションを「広告」をしている、というよりも
物件情報を分かりやすく整理して「分類・告知」している、
といった方が正しいと思います。
つまり、非常に多くのエンドユーザーさんは、
新聞に折り込まれたチラシを見なくても、
また、物件のオリジナルホームページを見なくても、
モデルルームを訪ねているわけです。
この傾向は、今後ますます強くなると思います。
榊に寄せられる購入相談においても、
マンションの売主側が発信している、そのマンションの
「コンセプト」とか「ライフスタイル」、あるいは立地の「将来性」といった
半ば夢物語みたないイメージについてよりも、
住戸の条件、売主の信頼性、そして価格の妥当性など、
具体的な不動産としての「資産価値」について、
尋ねられることの方が圧倒的に多いのです。
「このマンションはタレントを使って広告していましたが、その点が不安です」
「余計な共用施設が少ないので、その点は安心なのですが・・・」
最近、そういったことを書いてこられる方も多くなりました。
エンドユーザーさんは、広告に騙されていないのです。
また、広告には注目せず、ましてや信用もしていないのです。
チラシや新聞広告、あるいはテレビCMなどの「不動産広告」が、
エンドさんへのコミュニケーションの主体であった時代は終わりました。
ここ2,3年、無理な価格設定を、タレント起用の広告を打つことで
エンドを騙そうとした試みが軒並み失敗しているのは、その証左です。
はっきりいって、「不動産広告」の時代は終わりました。
これからは「不動産情報」を如何に伝達するのか、を考える時代です。
時代は確実に変化し、エンドユーザーは行動でそれを示しています。
意識が遅れているのは、デベロッパー側ですね。
いまだにタレント起用を提案している広告屋があり、
それを検討しているデベロッパーがいるわけです・・・嗚呼。
彼らが、事業用地を購入し、設計のアウトラインが決まった段階で何をするか・
それは・・・広告代理店の選定コンペです。
「このマンションを売るためには、どんな広告を行えばよいのか?」
ということを、広告代理店を何社か呼んで提案させるのです。
広告代理店は、仕事が欲しいので、それはそれは
「おいしそうな」提案を山積みにした内容のプレゼンテーションを見せてくれます。
彼らは、自分たちが最早、対エンド向けコミュニケーションの
主役ではなくなったことなど、分かっていたとしても、それはおくびにも出しません。
そんなことをすれば、自分たちの仕事がなくなりますからw。
それで・・・デベロッパー側は、そういう「大人の紙芝居」のような
プレゼンテーションをニヤニヤ笑いながら見ているのです。
そりゃ・・・おもしろいですよ。
各代理店とも、何百万円もかけて、
壮大な夢物語を見せてくれるわけですから。
それで、もっとも「見栄え」のよかった1社がめでたく当選。
でも・・・ほとんどの場合、その「紙芝居」の通りには広告できません。
なぜなら、それはあくまでも「紙芝居」であって、現実ではないのですから。
何百万、場合によっては1千万円以上もかけた
プレゼンテーションの時の企画案はどこへやら・・・
結果・・・あまり変わり映えしない広告戦略が採用されて・・・・
毎度、毎度・・・・そういう無駄なお金とエネルギーが消費され、
各マンションの広告キャンペーンは始まるのです。
はっきりいって、みなさんがご購入になるマンションには
こういう無駄の多い販売手数料や、
わけのわからん「紙芝居」費用も含めた広告費が、
しっかりとONされているわけです。
ここに、私は非常に時代遅れな体質を感じています。
こういうシステムは、いつかは終わるでしょう。
その「終わりの始まり」が今だと思っています。
なのに、そういうことにまったく気づかず、
「用地が買えた」「プランが決まった」
となると
「販売会社に販売プランをプレゼンさせろ」
「広告代理店を呼んで、広告戦略を提案させろ」
と、旧態依然のお仕事をなさっているデベロッパーが大半。
そろそろ、成長されてはいかがですか?
それとも、販売会社や広告代理店に接待されるのが
それほど楽しいのですか?
今の時代、この旧態依然とした事業スキームを続けていく限り、
明るい未来は決して開かないと私は思っています。
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■第3回セミナー 9月10日(木) 18:30より開催
「榊淳司のマンション値引き交渉術・秋の集中講座」
第2回参加者のアンケートです
今回は、この秋に本格化するであろう「値引きのヤマ」に向けて、
「値引き交渉術」にテーマを絞り,
首都圏の主要物件につての最新値引き情報を交えながら
榊が力をこめて講演させていただきます。
●参加お申込方法
現在、オフィシャルページの申し込みフォームから
お申し込みください。
また、お申し込み後、参加費のお振込みで参加予約が確定します。
●参加特典
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マンション購入に関する無料相談を引き続き行っています。
私に土地勘があるのは首都圏および近畿圏が中心ですが、
一般的な内容なら全国どこのマンションについてでも
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ただ今、湾岸・城南タワーマンション値引き情報特別強化月間中
大崎ウエストシティタワーズ、ワールド シティ タワーズ、晴海テラス、ザ・晴海レジデンス、 シティタワー有明、シティタワーズ豊洲ザ・ツイン、 クレストプライムタワー芝、 パークコート赤坂、 ザ タワーパークコート麻布十番ザタワー、BEACON Tower Residence、 クレストタワー品川シーサイド、パークコート虎ノ門愛宕タワー、Brilliaマーレ有明、シティタワー麻布十番、THE TOYOSU TOWER、パークタワー グランスカイ
今からしばらくの間、この16物件のタワーマンションについては
榊に相談をお寄せくだされば、何回でもすべて無料でお答えすることにします。
ご相談で寄せられた値引きの情報は、
相談者に迷惑がかからない範囲で、
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ご相談は、いずれもオフィシャルページの
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↑こちらから、お寄せください。
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思った以上のご好評をいただいています。
「私は・・・・・を買おうと思っていたのですが、
18物件の中に入っていたので、とりあえず見合わせました。
今後、どうすればよいのでしょうか?」
といったご相談もたくさんいただいています。
購入するか否かは、各自のご判断です。
榊は、判断される材料のひとつを提供しているのみであることをご了承ください。
「買ってはいけない」というのは、私の個人的な見解です。
次回、9月10日に東京駅近くで開催するセミナーでは、
ご参加いただいた方にこの「首都圏版」のプリントを
無料で差し上げる予定です。
この2つが好評のせいでしょうか・・・・
約2ヵ月前に発売を開始した
も再び注目を集め始めています。
これからマンションを購入されようという方で、
次回のセミナーにご参加いただけない場合は、
ぜひご購読、ご一読ください。
そもそも値引き交渉のノウハウは、誰も体系化していません。
これを読んでから交渉に望まれた場合、物件によってですが
値引き幅が百万円単位で広がる可能性が大です。
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