不動産広告世界は忍耐力で勝負!

今日はただの個人的なグチを書きます。
お忙しい方はスルーしてください。

私は23歳の頃から四半世紀以上コピーライターをやっています。
今は著述を中心としたジャーナリストが本業になりました。
どちらも、文章を書くことがメインの作業です。
しかし、この両者にはとても大きな違いがあります。
それはなんだと思いますか?

いつもの通り、超カンタンに言ってしまいます。
コピーライターが書くのは、ほとんどが「嘘」です。
ジャーナリストは「真実」を見つけ出して書くのが仕事です。
この両者が書く内容は、時に180度ベクトルが異なる場合もあります。

私の専門領域であるマンションの広告を例に取ります。
来年、首都圏のマンション市場でもっとも注目されるであろう物件は
「東京ワンダフルプロジェクト」だと思います。
このブログでも一度取り上げましたね。
その広告コピーには、こんなのがあります。

「素晴らしき新世界を日本に。」

これを書いたコピーライターさん、ご苦労様です。
ああいう「何にもない」「不便極まりなく」「駅徒歩12分」の
銀座から4つの橋を渡ってやっと辿りつく「島」の
マンションをここまで持ち上げなければいけないのが
コピーライターのお仕事です。

コピーライターは日本語で表現すれば「広告文案家」でしょうか。
私はよく自分を「日本語の職人」とか言っていました。
でも、それはちょっと持ち上げすぎでしょうね。
見方を変えれば「ヨイショ言葉クリエイター」みたいなもの。
もっと悪意に捉えれば、「嘘専門の代書屋」。

何にもないただの「島」に建設されている
東京ワンダフルプロジェクトを「素晴らしき新世界」と表現しても
今の日本ではいかなる法律にも違反しません。
でも、それが「大嘘」であることに間違いはないでしょう。
閻魔様はきっと許してくれないはず。まず舌を抜かれますね(笑)。
「大嘘」と言うのは、100人いれば95人以上は、
あそこが「素晴らしき新世界」だとは思わないだろう、
という意味においてです。
平明な視点で言葉の字義通りに考えれば、多分そうなるでしょう。

まあ、あんな幼稚な大嘘に騙される人は多くないと思います。
でも、ゼロでもないはずです。
「素晴らしき新世界」だと思って大金をはたいて移り住んでみたら、
「ただの辺境の島」だったとなるかもしれません。

この場合、社会通念としては
「そんな言葉に騙されたほうが悪い」ということになります。
恨まれるのも売主や販売会社、あるいはその担当者であって、
「素晴らしき新世界」を提案した広告代理店ではなく、
ましてやそれを考えたコピーライターでもありません。

だから、ほとんどのコピーライターは
日々そういう「嘘」を書いていても心に何の痛痒も感じません。
むしろ、多くの人をコロリと騙せるコピーはないものかと、
日ごろから頭を悩ましているのです。

さて、私は自分のメインの仕事を4年ほど前に、
コピーライターからジャーナリストに変えました。
それまで毎日上手な「嘘」言葉を考えるのが仕事だったのですが、
一転「真実の姿」をみなさんに伝えることになったのです。
前述のように、それは時に表現ベクトルが180度も異なります。
特に、東京ワンダフルプロジェクトのような物件については、
ほぼほぼ広告とは真逆のことを語ることになります。

この大転換・・・
実は、私はこの業態変換によって精神衛生がかなり良くなりました。
20年以上、コピーばかり考えていた時には気がつかなかったのですが、
ネが正直者の私にとって、嘘をつくよりも本当のことを語るほうが
よほど性に合っていた様なのです。

ところが・・・困ったことがあります。
基本的な業態転換を行って以来、新しい本業が忙しいのと
「嘘作り」が嫌になったので、完全にやめたワケではないのですが、
自分から広告の仕事を求めることはしませんでした。
それでも「広告のコピーを書け」とか「企画書を作れ」という
オーダーが未だに入ってくるのです。
気持ちとしては断りたいのですが、いろいろ「浮世の義理」があります。
ですので、年に数物件くらいは今でもコピー仕事をやっています。

まあでも・・・精神的にはよろしくないですね。
まず、大前提として「嘘」を考えることが今では苦痛になりました。
次に、依頼主の誰かが「嘘」をこねくり回してきます。
広告と言うのは、お金を出すスポンサーを頂点に、
広告代理店、制作プロダクション、クリエイターと続く、
上下関係の明解なヒエラルキーの中で作業が進められます。
私のようなフリーのコピーライターは、もちろんその最底辺。
上位にある誰かが「もっと違うコピー(嘘)を考えろ」とか
「企画書の・・・を・・・みたいに変えろ」と言い出すと
「ハイ、左様に」といって応じなければいけません。

不動産広告世界の場合、この序列の性質がちょっとユニーク。
まず、スポンサーは不動産屋(マンションデベ)さんたち。
広告代理店は総じて三流か四流。二流でさえないことがほとんど。
制作プロダクションは・・・私もかつて経営していたのですが、
クリエイターが社長になっている場合がほとんど。
私のようにコピーライター出身は少数派で、だいたいがデザイン出身。

この構造のどこがユニークかと言うと、
力関係は上から順に、不動産屋→広告代理店→プロダクション→
クリエイターなのですが、各担当者の知的水準はその真逆、
ということがままあるところでしょうか。
はっきりいうと、上に行くほどおバカさんになる場合が多いのです。
コレ、渦中にいるとけっこうたまりませんよ(笑)。

最上位に位置づけられる不動産屋が財閥系などの学歴社会型でなく、
マンションデベ専業みたいに実力競争型の場合は、ほぼそうなります。
不思議なことに、マンションを売る能力は受験偏差値と無関係ばかりか
往々にして反比例します(笑)。
だから、マンションデベで出世している人は、
どういうわけかみんな声がでかくてエネルギッシュ。
それでいて漢字が読めなくて中学レベルの英単語も知らない、
脳みそツルツルタイプがやたらと多いのです。

で・・・広告代理店はどうかというと、そこはやはり三流四流。
一応名の知れた学校を卒業している方がほとんどですが、
やはり電博旭を落ちてやっとひっかかった、と言う人たちの集団です。
もとの私の仲間たちなので、あまり詳しくは言いません。
制作プロダクションは・・・これも差し障りがあり過ぎるので(笑)。

最底辺のクリエイターは・・・・
自分で言うのもなんですが、フリーランスの場合は
ある程度の技量がないと仕事が入ってきません。
コピーライターなら、最低限「文法上間違いでない日本語」かつ
「読みやすい文章」が書ける国語能力と、
気の利いた「嘘」を思いつく想像力が必要です。
また、それらしく理屈をこねて企画書を書けなければいけません。
私が24歳で潜り込んだ某四流広告代理店には
大勢の先輩コピーライターが在籍していました。
驚いたことに、そのうち半分くらいが早稲田出身でしたね。

というワケで広告の仕事を引き受けると、
日々ヒエラルキーの上位方面から降りてくる
ワケの分からない要望や指示を仰ぎながら、
出来の悪い「嘘」をあれこれ考えて弄り回すことになります。

時には腹もたつし、気疲れもします。
何よりも、作ったものの大半が日の目を見ません。
ボツになるのです。
それも、ボツになるかどうかを決めるのは、
ヒエラルキーの上位に座っている不動産屋さんたち。
私たちコピーライターの「嘘」づくりも物悲しいのですが、
結局何もカタチが残らない可能性が8割9割のものを
おバカさんたちに付き合っていじりたくる虚しさはひとしお。
それも、出来上がったモノの運命が、場合によっては
当用漢字もロクに読めないレベルの人によって左右されるのです。

私はよくいいました。
あの世界で成功するために何よりも必要な資質は
各専門分野の才能や能力ではありません。
最も求められるもの・・・それは、理不尽を堪え抜く「忍耐力」です。
私は様々な能力を遺伝子によってご先祖様から受け継ぎ、
比較的ラクに人生を泳いできましたが、
この「理不尽を堪える忍耐力」だけは人並み以下です。
それはもう、自分が一番よく分かっています。

こんな時代に、我々はどうすればいいのか、一緒に考えてみませんか?

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い わゆる「土地神話」が崩れ、マイホーム購入が「資産形成」ではなく「資産リスク」になってしまった現代。我々は不動産とどう向き合い、どうかかわっていく べきなのでしょうか? あるいは、マイホームについてどのように考えればいいのか? そして、どのような不動産投資が有利なのか?
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セミナーで取り上げる3つのテーマは次の通り
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場  所:ルーテル市谷センター 第1・第2会議室
東京都新宿区市谷砂土原町1-1
地下鉄有楽町線「市ヶ谷」駅徒歩1分、JR中央線「市ヶ谷」駅徒歩5分
電話 03-3260-8621
参加費:お一人様5000円(ご夫婦で参加の場合は二人で7000円)
定  員:50名(定員になり次第締め切り)
お申込:下記の申込フォームに必要事項を入力の上、お申し込みください。

当日の予定
セミナーの部 15:30~
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2012/11/7 12:44 Comments (0)

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